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人は「お金持ち」より「寛大な人」を選ぶ【ただし富の格差が大きいと……】

  • 2026.3.2
人は寛大さを重視するが…… / Credit:Canva

「あなたは一緒に組むなら、お金持ちと寛大な人、どちらを選びますか?」

そんな問いに、私たちは「人柄を重視する」と答えたくなるかもしれません。

大阪公立大学の研究チームは、この直感がどこまで本当なのか、そして状況によって重視点が変わるのかを実験で確かめました。

本研究は2025年7月8日付のに『Evolution and Human Behavior』に掲載されています。

目次

  • 人間は冨より寛大さを重視するが、富の格差があるとその傾向は小さくなる
  • 人間は「寛大さ重視」がデフォルト

人間は冨より寛大さを重視するが、富の格差があるとその傾向は小さくなる

人間社会では、友人関係でもビジネスでも恋愛でも、「誰と組むか」はとても重要です。

では、良いパートナーとはどんな人でしょうか。

研究者たちは、良いパートナーとは自分に利益をもたらし、余計なコストをあまり生まない相手だと整理します。

その判断材料として、人は大きく2つの側面を見ています。

ひとつは「どれだけ与えてくれるか」という寛大さであり、もうひとつは「どれだけ与えられるか」という能力や富です。

ただし、どちらをより重視するかは、いつも同じとは限らないかもしれません。

著者らが立てた仮説は、集団内でより「ばらつき」が大きい特性ほど、相手選びで重視されやすいというものです。

みんなが同じような特性なら、そこで選び分けても得るものが小さいからです。

そこで第1実験には、米国在住の成人350人が参加しました。

参加者は、自分にお金を分配してくれるパートナーを選ぶという仮想的な状況を想像します。

その前提として、20人の候補者が過去にどのようにお金を分けたかの情報が提示されました。

ここで研究者は、実際に分配されたドル額は同じままにして、ばらつきの所在だけを操作しました。

寛大さにばらつきがある条件では、候補者全員の持ち金は約150ドルでほぼ同じですが、分配率は3%から56%まで大きく異なっていました。

一方で富にばらつきがある条件では、分配率は29%から31%とほぼ同じですが、持ち金は16ドルから280ドルまで大きく異なっていました。

その後、参加者は本番のパートナーを選ぶ前に、どの情報を見たいかを選びます。

持ち金を見るか、分配率を見るかのどちらか一方のみを選ぶ仕組みです。

この「どちらの情報を優先するか」が、参加者が何を重視しているかの手がかりになります。

結果ははっきりしていました。

寛大さにばらつきがある条件では、参加者の約82%が寛大さの情報を見たいと選びました。

一方で富にばらつきがある条件では、寛大さを選ぶ割合は約55%まで下がりました。

つまり人々は寛大さに関心を向けやすい一方で、「富に大きな差がある」と分かると、寛大さへの関心が弱まることが示されたのです。

そしてこの結果は新たな疑問も生みます。

人間は「寛大さ重視」がデフォルト

第1実験の結果は、もう1つの疑問も生みます。

そもそも人間には、特に情報がないときでも寛大さを優先する「デフォルトの好み」があるのでしょうか。

この点をよりはっきり確かめるために、第2実験ではコントロール条件が追加されました。

第2実験には600人が参加しました。

寛大さにばらつきがある条件富にばらつきがある条件に加え、候補者の過去の分配情報を見せないコントロール条件が設けられました。

コントロール条件では、参加者はこの集団で富と寛大さのどちらがどれくらいばらつくのかを知らない状態で、どの情報を見たいかを選びます。

結果は次のようになりました。

寛大さにばらつきがある条件では90%が寛大さを選びました。

コントロール条件では87%が寛大さを選びました。

富にばらつきがある条件では61%が寛大さを選びました。

コントロール条件と寛大さばらつき条件の差は小さく、大きな違いは見られませんでした。

つまり、ばらつき情報がない状態でも、人は自然と寛大さの情報を見ようとする傾向があるといえます。

一方で、「富に大きな差がある」と分かった場合には、寛大さへの関心がはっきり低下しました。

研究者たちは、参加者に寛大さを優先するデフォルトの傾向があると述べています。

その理由として、祖先環境では寛大さのほうが能力よりも変動しやすかった可能性や、寛大なパートナーを優先すること自体が社会的なシグナルになる可能性があることを挙げています。

本研究の重要な点は、「人はいつでも寛大さだけを見る」と結論づけているわけではないことです。

人には寛大さを重視する傾向がありつつも、周囲の状況を見て、何を優先するかを調整する可能性が示されました。

また研究者たちは、富の格差が大きい社会では富への関心が強まるだろうという予測も述べています。

私たちのパートナー選びは、思っている以上に環境の「ばらつき」に敏感なのです。

参考文献

People prefer generous partners over wealthy ones, unless wealth is highly unequal
https://www.psypost.org/people-prefer-generous-partners-over-wealthy-ones-unless-wealth-is-highly-unequal/

元論文

Wealth or generosity? People choose partners based on whichever is more variable
https://doi.org/10.1016/j.evolhumbehav.2025.106727

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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