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教え子でない私に、なぜ? 卒業式の日、担任でもない先生が、花束を抱えて待っていてくれた理由に涙

  • 2026.3.2

筆者の話です。
卒業式の日、私はほとんど覚えていない出来事がありました。
あとから親に聞かされて、初めて意味を知ります。

画像: 教え子でない私に、なぜ? 卒業式の日、担任でもない先生が、花束を抱えて待っていてくれた理由に涙

すれ違う時に挨拶

中学3年生の時、担任のA先生の奥様が、私立高校で家庭科を教えていました。
その年、私の学年からも複数人がその高校を受験し、無事に合格しています。
私といとこも、その中の一人でした。

入学後、校舎の廊下ですれ違うたびに、私たちは声をかけていました。
「A先生、元気ですか?」
「あいかわらずよ」
そんな短いやり取りをして、そのまますれ違っていました。
それを特別な行動だと思ったことは、一度もありませんでした。

当たり前の日

声をかけると、先生はいつも笑顔でうなずいてくれました。
忙しそうな時は、軽く会釈を返してくれるだけの日もあります。
挨拶を交わしても、そのあとはすぐに友だちとの会話に戻ります。

授業のことや、放課後の予定。
私たちの意識は、いつも目の前の高校生活に向いていました。
あのやり取りが、誰かの記憶に残っているとは考えもしなかったのです。

卒業式の花

卒業から数年経った頃、母から聞かされた話があります。
卒業式の日、先生が私といとこそれぞれに、花束を用意して渡してくれていたというのです。

「ちゃんと覚えていてくれたんだよ」

その一言で、私は初めてその光景を想像しました。
式のあと、人の流れが行き交うざわついた会場で差し出された花束。
けれど私は、その出来事をまったく覚えていませんでした。

「そんなことあったっけ?」
親にしてみれば、担任でもなかった先生が花束を手に教え子でもない私たちを待ってくれていた姿が、強く印象に残っていたようです。
『卒業おめでとう』
花にはカードが添えられており、中学校の担任だったA先生とその奥様である先生の名前が連名で書かれていたそうです。

親の記憶

私たちは友人との別れで頭がいっぱいでした。
その場で起きていたことに、気づく余裕がなかったのかもしれません。

一方で、母たちはその様子を今でもはっきり覚えていました。
「どちらの先生にも、大切にしてもらったよね」

何気なく交わしていた挨拶が、相手の心に残っていたこと。
そして、その優しさを親がずっと覚えていてくれたこと。
あとから知ったその事実に、胸の奥がじんわり温かくなりました。

【体験者:50代・筆者、回答時期:2026年2月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

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