1. トップ
  2. 「高すぎるから…」最新iPhoneを分割で買った人の“末路”→数年後に、家計を襲う“思わぬ追加請求”【ITジャーナリストが解説】

「高すぎるから…」最新iPhoneを分割で買った人の“末路”→数年後に、家計を襲う“思わぬ追加請求”【ITジャーナリストが解説】

  • 2026.3.20
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

最新のiPhoneは10万円から20万円近くに達し、すっかり高額な家電となりました。そんな中、「数年後に高く売ればいい」「キャリアのプログラムで返却すれば実質負担は軽い」と考えて分割購入する人が増えています。

しかし、その「後で高く売れる」「残債が免除される」という前提が崩れたらどうなるのでしょうか? いつものように「普通に使っていただけ」のスマホが、数年後に思わぬ追加請求や残債の違約金を招くとしたら……。

なぜ「高く売れるはず」の計算が狂ってしまうのか、そして想定外の出費を防ぐにはどうすればいいのか。ITジャーナリストの富塚 大海さんに、購入時の見落としがちなリスクと、明日からできる確実な対策について詳しく解説していただきました。

「後で売れば安い」に潜む4つの落とし穴

---最新のiPhoneなどは高額ですが、「後で高く売ればいい」「返却プログラムを使えば実質負担は軽い」と考えて分割購入する人は多いと思います。この買い方にリスクはあるのでしょうか?

ITジャーナリスト 富塚 大海さん:

「前提として、2026年3月時点の日本では、最新iPhoneはすでに「気軽に買い替える家電」ではなく、かなり高額な耐久消費財になっています。Apple公式ではiPhone 17eが99,800円から、iPhone 17 Proは179,800円から案内されており、「後で売れば実質負担は軽い」と考えたくなる価格帯です。実際、Apple自身もTrade Inや分割払いを前面に出しており、買う時点では負担感が薄く見えやすい構造になっています。

ただし、ここで見落とされやすいのは、「リセールバリューが高い」と「将来の売却額が確定している」はまったく別だという点です。AppleのTrade Inは、申込時点の見積額がそのまま保証されるわけではなく、実機到着後に申告内容と状態が一致しなければ査定額が変更されます。しかも分割購入で概算下取り額を前提に新機種を買っている場合、実機査定で価値が下がれば、その差額は購入時の支払い方法に請求されます。つまり、購入時には「下取り前提で安く見えた」のに、後から不足分が現金で戻ってくるのではなく、追加請求として表面化する構造です。これは、リセールを前提にした資金計画が崩れやすい大きな落とし穴です。

さらに、日本の大手キャリアが提供する「返却で残債免除型」の購入プログラムは、実質的には単純な中古売却ではなく、「所定条件を満たした返却」が前提の契約です。たとえばドコモの「いつでもカエドキプログラム」は、返却時に未払金がないこと、故障・水濡れ・破損・改造がないこと、所定の査定基準を満たすことが条件で、返却期限までに端末到着が確認できない場合には、免除されるはずだった分割支払金相当を違約金として支払う必要があります。つまり「高く売れるから安心」ではなく、「期限どおり、条件どおり返せたら残債が軽くなる」仕組みです。返却できなければ、想定していた軽減効果が一気に消えます。

auやソフトバンクも同様で、auの「スマホトクするプログラム」は、端末回収・査定条件を満たさなかった場合、最大22,000円の支払いが必要になる場合や、特典自体を受けられない場合があると案内しています。ソフトバンクの「新トクするサポート」でも、査定基準を満たさない場合は機種回収に加えて22,000円の支払いが必要で、さらに一部プランでは早期返却のためのオプション利用料が最大29,700円かかります。分割購入時の月額が低く見えても、返却条件未達、査定落ち、早期利用料といった複数の追加コストが後ろに控えているわけです。

市場面でも、リセール前提の見通しは固定ではありません。MM総研によると、2024年度の中古スマホ販売台数は321.4万台で前年度比17.7%増と過去最高でした。中古市場が拡大していること自体は売却機会の多さを意味しますが、同時に相場が安定的に上がり続けることを意味するわけではありません。povoの解説でも、新モデル発売により旧モデルの価値は下がるため、使っていないスマホは早めに売る方がよいと説明されており、さらにApple公式やキャリアの下取りは「モデルの新しさ」に左右されやすい一方、中古店は「人気」に左右されると整理されています。つまり、発売サイクル、人気の変化、在庫状況、キャンペーンの強弱で価格は動きます。「数年後も今のイメージどおり高く売れる」とは限らないのです。

要するに、想定外の出費を招く本当の背景は、単なる端末劣化だけではありません。見積額が確定額ではないこと、返却型プログラムが厳格な条件付き契約であること、返却期限や査定条件を外すと残債免除が消えること、そして中古相場が新機種発売や市場需給で変動すること。この4つが重なることで、「高く売れるはずだったのに、残債と追加費用だけが残った」という事態が起きやすくなります。」

「普通に使っていただけ」が最大2万円超の負担に?

---画面のちょっとした傷や、普段どおりに使っていて起きるバッテリーの劣化など、「普通に使っていた」つもりでも、査定で追加費用をとられたり残債免除がなくなったりするリスクは現実的に高いのでしょうか?

ITジャーナリスト 富塚 大海さん:

「結論から言うと、リスクは「かなり現実的」です。少なくとも大手キャリア各社は、返却時の端末状態についてかなり具体的な査定条件を公表しており、日常使用のつもりでも査定上は「破損」や「故障」と扱われるケースがあります。特にauは基準の開示が具体的で、画面割れだけでなく、「指の腹をあてて引っ掛かりがあるキズ」も破損判定の対象としています。さらに、背面・側面の擦り傷、筐体の欠け、液晶のシミ、カメラレンズ割れ、SIMトレイ破損、充電不能、水濡れ反応、非純正バッテリーなども該当例として示しています。日常使いのつもりでも、ポケット内の砂粒や机の縁との接触で生じた深めの傷、落下による角の欠けなどは、十分に追加費用リスクになり得ます。

費用水準をみると、決して小さくありません。auでは、所定条件を満たさなかった場合に最大22,000円の支払いが必要になる場合があり、サポート加入時でも故障時利用料は2,200円、未加入なら22,000円です。ソフトバンクでも、査定基準を満たさない場合は22,000円の支払いが必要です。ドコモの「いつでもカエドキプログラム+」では、故障端末でも利用可能ですが、その場合の故障時利用料は補償コースに応じて5,500円、8,250円、12,100円、23か月目以降は2,200円と案内されています。つまり、「多少の傷だから大丈夫だろう」と思っていても、実際には数千円から2万円超の負担に変わる可能性があります。

また、より重いのは、追加費用だけで済まない場合があることです。auは、所定の条件を満たさない場合には追加費用が必要になるだけでなく、特典が受けられない場合もあるとしています。ドコモは返却期限までに端末到着が確認できない場合、免除されるはずだった分割支払金相当を違約金として支払う必要があるとしています。つまり、端末状態が悪い、返却が遅れた、初期化やロック解除が不十分だった、といった事情次第では、「2万円程度の追加負担」で終わらず、残債軽減の前提そのものが崩れるリスクがあります。

ご質問にある「画面の傷」については、軽微な擦れなら通る場合もありますが、少なくともauの公表基準を見る限り、引っ掛かりのある傷はアウトです。したがって、フィルムを貼らず裸運用していた端末や、バッグの中で鍵などと一緒に持ち歩いていた端末は、本人の感覚以上にリスクが高いと考えた方が安全です。返却型プログラムでは「中古で売れる程度の見た目」ではなく、「査定基準を満たす状態」が求められるため、主観的な“まだキレイ”はあまり当てになりません。

一方で、バッテリーについては少し整理が必要です。各社の公開条件を見る限り、「最大容量が何%以下なら一律で追加請求」と明示しているケースは限定的です。そのため、通常使用によるバッテリー最大容量の低下だけで直ちに返却不可と断定するのは適切ではありません。ただし、Appleはバッテリー容量が80%を下回った場合、AppleCare+の対象なら追加料金なしで交換できると案内しており、逆に言えば80%未満は劣化が進んだ一つの目安です。加えて、中古買取の現場ではイオシスが「バッテリー最大容量80%未満は約20%減額」と公表しています。返却型プログラムで一律請求にならなくても、私的売却や買取では価値下落が起こりやすく、しかも膨張、充電不良、非純正バッテリー交換まで進むと、公式査定でも不利になりやすいです。

つまり、想定外費用のリスクは「レアケース」ではありません。特に、画面・筐体・レンズ・充電機能・バッテリー周辺を雑に扱うと、数年後の返却時に数千円から22,000円程度の追加費用、あるいは残債免除喪失という形で表面化しやすいと考えるべきです。リセールバリューを前提に分割購入するのであれば、「普通に使っただけ」という感覚ではなく、「数年後に第三者査定を受ける前提」で扱う必要があります。」

想定外の出費を防ぐ!明日からできる5つの対策

---数年後に後悔しないために、私たち消費者は日常的にどのような対策をすればよいのでしょうか? スマホの扱い方や買い方のコツを教えてください。

ITジャーナリスト 富塚 大海さん:

「いちばん効果が高いのは、「高く売れるか」を祈ることではなく、「査定で落ちる要因を日常から潰す」ことです。

まず外装面では、ケースと画面保護を“見た目のため”ではなく“残価防衛のため”に使う発想が重要です。auの査定基準では、引っ掛かりのある傷や角の欠け、レンズ割れ、背面の擦り傷まで判定対象に入っています。つまり、裸運用で1回落としてしまっただけで、数年後に最大22,000円クラスの追加負担に発展する可能性があるわけです。ケースは薄型でも構いませんが、四隅を守れるものを選び、画面フィルムも「傷の身代わり」と考えて早めに貼るのが合理的です。

次に、温度管理です。AppleはiPhoneを0〜35℃で使うよう設計しており、駐車中の車内放置や長時間の直射日光、高温環境下での充電・放置は避けるよう案内しています。高温はバッテリーの持ちを悪化させ、耐用年数にも悪影響を与えます。つまり、夏場に車内へ置きっぱなしにする、充電しながら高負荷ゲームを長時間続ける、発熱したまま布団の上に放置する、といった行動は、将来の査定額や修理リスクを自分で削っているのと同じです。明日からできる対策としては、「熱いと感じたらケースを外して冷ます」「車内放置をしない」「充電しながら重い処理を続けない」の3つだけでもかなり違います。

バッテリーの扱いも重要です。Appleは、バッテリーの耐用年数には充電サイクルや手入れの仕方、高温環境が影響すると説明しています。細かく神経質になる必要はありませんが、極端な0%放置や高温充電を避け、日常では最適化された充電設定を活用し、長期保管する場合は50%前後で保管するのが基本です。加えて、非純正バッテリー交換はauの査定条件で不利になり得るため、バッテリー交換が必要なら正規または信頼できる正規相当のルートを選ぶ方が安全です。バッテリー最大容量が80%未満になる前後は価値下落の目安になりやすいので、その時点で「まだ使うのか」「返却前に交換するのか」「早めに売却するのか」を見直すのが実務的です。

清掃も意外に効きます。Appleは、糸くずの出ない柔らかい布を少し湿らせて使うこと、研磨剤や溶剤、家庭用洗剤などを避けることを案内しています。返却直前だけ慌てて磨くのではなく、普段から優しく汚れを落とす方がコーティングや外装を傷めにくいです。アルコールや研磨剤で無理に擦ると、細かい傷やコーティング劣化を招きかねません。査定前の掃除は「見栄えを整える」のに有効ですが、誤った清掃で逆に傷を増やすのは本末転倒です。

契約面での工夫も欠かせません。返却型プログラムを使う場合は、購入直後に「何か月目に返却できるか」「故障時利用料はいくらか」「期限を過ぎたら何が起きるか」をメモしておくべきです。ドコモは返却期限超過で違約金、ソフトバンクは査定落ちで22,000円、auは条件未達で追加負担または特典対象外の可能性を明示しています。にもかかわらず、実際には契約時の説明を忘れたまま2年後を迎える人が少なくありません。スマホ本体の扱いだけでなく、返却月のリマインドをカレンダーに入れる、補償加入の有無と月額を確認する、返却前にバックアップ・初期化・「探す」オフの手順を事前に確認しておくことが、想定外出費の防止に直結します。Appleも売却・譲渡・下取り前にはバックアップ、データ削除、「探す」のオフを案内しています。

最後に、買い方そのものを見直すのも有効です。数年後の出費を避けたいなら、「最上位モデルを残価前提で買う」より、「1つ下のモデルを無理のない価格で買い、状態が良いうちに早めに手放す」方が、結果として総コストが読みやすい場合があります。中古市場は成長していますが、成長していることと将来価格が保証されることは別です。したがって読者におすすめしたいのは、明日からすぐできる実践として、ケース・フィルム装着、高温回避、正しい充電、正しい清掃、返却期限の管理、この5点を徹底することです。リセールバリューは“おまけ”として考え、返却・売却時に減点されにくい運用を日常化することが、いちばん確実な節約になります。」

リセールバリューは「おまけ」と考え、確実な防衛策を

最新スマホを手に入れる際、「後で高く売れる」「返却すれば安くなる」という言葉は非常に魅力的です。しかし、富塚さんの解説から見えてきたのは、その仕組みが「厳格な条件付きの契約」であるというシビアな現実でした。

「普通に使っているつもり」でも、小さな傷やバッテリーの劣化が、数年後に数万円の追加出費や残債免除の喪失に化けるリスクがあります。だからこそ、高額なスマホを分割で買うなら、ケースやフィルムでの保護、高温を避けた正しい充電、定期的な清掃、そして返却期限のスケジュール管理といった「査定で落ちる要因を潰す」日常のケアが欠かせません。

リセールバリューに過度な期待を寄せず、「万全な状態で使い、無事に返却する」ことを意識する。それが、高額化するスマホ時代を賢く生き抜くための一番の節約術と言えそうです。


監修者:ITジャーナリスト 富塚 大海
1997年東京都大島町生まれ。 通信系ITベンチャーの株式会社FREEDiVEに新卒入社後、国内向けモバイルWi-Fiレンタル事業の立ち上げを経験。 その後、海外・国内eSIM事業の立ち上げを連続的に担当し、通信インフラ分野における事業開発・商品設計・ユーザー導線設計に従事。現在は、スマートフォン、Wi-Fi、eSIM、パソコン、アプリ活用などを中心に、生活者目線でのIT活用術や通信費最適化に関する情報発信を行う。通信業界の実務経験を基盤に、技術的背景とユーザー体験の両面からわかりやすく解説するスタイルを強みとする。通信課題の分析・改善提案に加え、データ活用やUX設計の観点から、個人・企業双方のIT活用を支援している。