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『3月に退職して4月から新しい会社』の人は要注意。4月の給与明細を見て“絶句”…社会保険料が倍になる「意外な落とし穴」

  • 2026.3.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「退職日を1日早めれば得になるのでは?」「各種手続きは会社がやってくれるはず」といった誤解が、思わぬ出費を招く原因になっています。

なぜこのようなトラブルが起きるのでしょうか?転職時に損をしないための正しい知識と対策について、あゆ実社労士事務所さんに詳しく解説していただきました。

数日のずれが命取り?空白期間に発生する「保険料の罠」

---3月末で退職し、4月から新しい会社に入る場合、社会保険料の支払いで想定外のトラブルが起きることがあると聞きました。具体的にどのようなケースで問題になるのでしょうか?

あゆ実社労士事務所さん:

「転職のタイミングを少し間違えただけで、4月の給与明細を見て思わず目を疑う、という経験をされた方は少なくありません。

社会保険料は「月末時点で加入している制度に保険料が発生する」という仕組みになっています。そのため、3月31日まで在籍した場合、3月分の社会保険料は退職前の会社で発生し、4月1日に新しい会社へ入社すれば4月分は新しい会社で発生します。これ自体は通常の流れです。

問題が起きやすいのは、3月末退職から4月入社までの間に「日付のずれ」が生じたときです。たとえば3月31日に退職し、4月1日ではなく4月15日に入社した場合、その空白期間は国民健康保険や国民年金への加入が必要になります。その結果、退職前の会社から3月分、国民健康保険・国民年金で4月分の一部、さらに新しい会社で4月分と、実質的に複数の保険料負担が重なる月が出てきます。

こうしたトラブルは「4月1日入社のつもりだったのに、会社の都合で入社日が数日後ろ倒しになった」という状況で起きやすいと感じています。入社日が1日でもずれると、保険料の扱いが大きく変わる場合があります。転職先との入社日の確認は、できるだけ早い段階で書面や口頭で明確にしておくことが重要だと思います。」

「月末退職より1日早めるとお得」は本当か?

---保険料を節約しようと、「3月31日ではなく、あえて3月30日を退職日にする」という話もよく耳にします。この方法は本当に手取りを増やす効果があるのでしょうか?

あゆ実社労士事務所さん:

「「月末退職より1日早めれば保険料が少なくなるのでは」と考える方は多く、その発想自体は理解できます。ただ、実際には逆効果になるケースが少なくありません。

社会保険料は「退職日の翌日(資格喪失日)が属する月の前月まで」発生するという仕組みです。つまり、3月31日退職であれば資格喪失日は4月1日となり、3月分の保険料まで前の会社が徴収します。一方、3月30日退職にすると資格喪失日は3月31日となり、2月分までしか前の会社では徴収されません。では3月分はどうなるかというと、3月31日時点で別の保険に加入していなければ、国民健康保険や国民年金として自分で3月分を支払う必要が生じます。

たとえば、手取りを少しでも増やしたいと考えて3月30日を退職日に選んだ方が、翌月に国民健康保険の納付書が届いて「こんなはずでは」と驚かれるケースを、私は複数回経験しています。月末退職であれば、その月の保険料は前の会社が給与から控除して納付してくれます。しかし1日早めることで、その手間と費用が自分に移ってくるだけという結果になりやすいのです。

退職日は「節約できる日」ではなく「保険の継続性を守る日」として設定する視点が必要です。特に4月から新しい会社に入る場合は、原則として3月31日退職・4月1日入社の組み合わせがもっともシンプルで、余計な負担が生じにくいと感じています。」

会社任せは危険!転職前後に「自分でやるべき」手続きとは

---転職時の社会保険の手続きは「会社がやってくれるもの」と思いがちですが、トラブルを防ぐために、私たち自身が気をつけるべきことは何でしょうか?

あゆ実社労士事務所さん:

「「なんとなく手続きはされるだろう」と思っていたら、気づいたときには未加入期間が生じていた、という声を耳にすることは珍しくありません。転職前後の社会保険は、自分でも流れを把握しておくことが大切です。

まず今日できることとして、転職先の「入社日」を正確に確認することをお勧めします。内定通知書や雇用契約書に記載されている日付を確認し、4月1日入社であることを書面で確認できているか、改めてチェックしてみてください。口頭での確認だけでは、直前に日程が変更されたときに対応が遅れる場合があります。

次に、現在の会社に「退職日がいつになるか」を確認しましょう。自分では3月31日退職のつもりでも、会社側が有給消化の都合などで日付を変更しているケースがあります。退職届の控えや離職票の予定内容も、早めに確認しておくと安心です。

そして、万が一4月1日入社が4月中旬以降にずれる可能性がある場合は、退職後すぐに市区町村窓口で国民健康保険・国民年金の加入手続きが必要になります。この手続きは「加入すべき日から14日以内」が原則とされています。14日を過ぎても加入自体はできますが、その間に医療機関を受診した場合は一時的に医療費を全額自己負担しなければならないケースがあります。また、加入が遅れても保険料は本来の加入日まで遡って請求されるため、「手続きが遅れた分だけ保険料が減る」わけではない点も知っておくと安心です。

トラブルが起きる方の多くは「きっと会社がやってくれる」という前提で動いていた印象があります。保険の加入・脱退は会社が手続きしてくれますが、空白期間の対処は自分自身が動かなければなりません。一つひとつの日付を自分の目で確認することが、4月に慌てないための最初の一歩だと思っています。」

退職日と入社日の「確実な把握」が安心な転職の第一歩

社会保険料の仕組みは複雑で、「少しでも節約したい」「会社がやってくれるだろう」という思い込みが、かえって痛い出費や未加入のリスクを招くことがわかりました。

トラブルを防ぐために今日からできるのは、内定通知書や退職届の控えで「確実な入社日と退職日」を自分の目でしっかりチェックすることです。

転職という新たな門出を気持ちよくスタートさせるためにも、保険の継続性を意識し、自分自身でスケジュールを管理していく視点を持っておきたいですね。


監修者:あゆ実社労士事務所
人材育成・キャリア支援を軸に約10年の実務経験を持つ、社会保険労務士/国家資格キャリアコンサルタント。 IT企業の人事として、新卒・若手育成、研修設計、評価・キャリア支援の仕組みづくりに携わる一方、個人では企業や個人に向けたキャリア相談・人事支援を行っている。 これまでに累計100名以上のキャリア面談を実施し、1on1制度設計や面談シートの設計、育成施策の言語化を支援。 近年は生成AIを活用した業務設計・人事業務の効率化にも注力し、「現場で使えること」を前提にしたAI活用の伴走支援を行っている