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「扶養内で働いていれば安心」は間違いだった。年金の見込額を見て“驚愕”…パート主婦が今からすべき“たった1つのコト”

  • 2026.3.18
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出典元:phootAC(※画像はイメージです)

「130万円の壁」を意識して意図的にシフトを減らす。手取りを守るためのそんな「就労調整」が、実は将来の大きな年金格差につながるかもしれないとしたら?

「扶養内で働いていれば安心」という認識のままでいると、老後の年金見込額を見て愕然とすることになるかもしれません。

なぜ扶養内パートのままだと損をしてしまうのか。そして、手遅れになる前に私たちが取るべき対策とは?社会保険労務士のあゆ実社労士事務所さんに、制度の裏側に潜む現実と、40代からでも間に合う具体的なアクションについて詳しく解説していただきました。

「扶養内だから安心」は危険? 生涯で数百万円の差になる年金の落とし穴

---「扶養内で働いているから安心」と思っていたのに、老後の年金見込額を見てショックを受ける方が多いと聞きます。なぜ、同じように働いていてもそこまで大きな差が生まれるのでしょうか?

あゆ実社労士事務所さん:

「『扶養内で働いているから安心』と思っていたのに、年金額の通知を見て愕然とした。そういったお声を聞いたことがある方も多くいるかもしれません。

この格差が生まれる根本には、日本の年金制度の構造があります。公的年金は『国民年金(1階部分)』と『厚生年金(2階部分)』の二層構造になっています。扶養内で働く第3号被保険者は、国民年金の保険料を自分では納めていないにもかかわらず、老後に受け取れるのは基礎年金のみです。一方、厚生年金に加入して働く人は、給与に応じた上乗せ分が毎月積み上がっていきます。

たとえば、同い年で同じ40代から働き始めた女性でも、扶養内パートのままでいた人と、社会保険に加入してフルタイムに近い形で働いた人とでは、65歳以降に受け取る年金額に月数万円の差が生じることも珍しくありません。20年間受け取り続けると、その差は総額で数百万円規模になることもあります(年金額は加入期間・報酬額・毎年の改定率によって個人差があります。ねんきんネットや毎年届くねんきん定期便で、ご自身の見込み額を確認されることをおすすめします)。

加えて、第3号被保険者という制度自体も、長年にわたり見直しの議論が続いています。2025年の年金制度改正では制度そのものの即時廃止は見送られましたが、社会保険の適用拡大を通じて対象者を段階的に減らしていく方向性は明確になっています。現在の仕組みが将来も同じ形で続くとは限らない、という視点を持っておくことは大切だと思います。『今は扶養内でも損をしていない』という認識が、将来の年金格差という形で表面化するのが、この問題の難しさだと感じています。」

「130万円の壁」を意識した就労調整に潜む最大のリスクとは

---手取りを減らさないために「130万円を超えないように」とシフトを調整している人はたくさんいます。この働き方には、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか?

あゆ実社労士事務所さん:

「『130万円を超えないように』と、毎年秋になるとシフトを意図的に減らす。そういった働き方をしている方は、今も多くいらっしゃいます。気持ちはよくわかります。ただ、その選択が老後にどう響くかを、少し立ち止まって考えてほしいのです。

就労調整の最大のリスクは、厚生年金の加入期間が積み上がらないことです。厚生年金は、加入期間と報酬額の両方で将来の受給額が決まります。40代から20年間、扶養内に収め続けた場合と、同じ期間で社会保険に加入して働き続けた場合とでは、老後の受給額に大きな差が生じやすい傾向があります。

また、見落とされがちなのが『障害年金』や『遺族年金』への影響です。第3号被保険者でも障害基礎年金・遺族基礎年金の受給資格はありますが、厚生年金に加入していれば、さらに『障害厚生年金』『遺族厚生年金』が上乗せされます。元気なうちはあまり意識しない部分ですが、万が一のときの保障の厚さには大きな差が生じやすい傾向があります。

さらに、社会保険の適用拡大が段階的に進んでいます。現時点(2026年3月)では、従業員51人以上の企業で働くパート・アルバイトについて、『週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・2ヶ月超の雇用見込み・学生でない』という4つの要件をすべて満たす場合、本人の意思に関わらず社会保険に加入することになります。
なお、月額賃金8.8万円以上という要件は将来的に撤廃される方向で改正が進んでおり、最終的には週20時間以上働けば企業規模にかかわらず加入対象となる見通しです。『調整してきたつもりが、いつの間にか加入対象になっていた』という状況は、今後さらに生じやすくなると思います。
就労調整による手取りの維持が、将来の年金受給額や万が一の保障と引き換えに成り立っている面があることを、一度整理して考えてみることが大切ではないかと感じています。」

「もっと早く知っていれば…」と後悔しないために、40代からできること

---将来への影響が大きいことはわかりましたが、「もう遅いのでは」と不安になる人もいると思います。手遅れにならないために、今からできることはありますか?

あゆ実社労士事務所さん:

「『もっと早く知っていれば』と後悔する前に、40代という今だからこそできることがあります。まだ十分に間に合う時期だと、私は思っています。

最初の一歩として、ぜひ『ねんきんネット』か毎年届く『ねんきん定期便』で、現在の年金見込み額を確認してみてください。自分の老後がどんな数字になっているかを知るだけで、働き方を見直すモチベーションが大きく変わります。『思っていたより少ない』と感じた方は、それが見直しのスタートラインになります。

次に、現在の勤務先が社会保険の適用対象かどうかを確認することをおすすめします。週の所定労働時間や月収額によっては、少し働き方を変えるだけで社会保険に加入できるケースもあります。職場の担当者や社労士に相談しにくい場合は、年金事務所の窓口や『ねんきんネット』の試算機能を活用するだけでも、大まかな見通しが立てやすくなります。

私が人事として関わってきた職場でも、『社会保険に入るのが怖かったけれど、手取りがそこまで減らないとわかって安心した』という方が少なくありませんでした。手取りへの影響を実際に試算してみると、思ったよりもマイナスが小さいケースも多くあります。『損をしたくない』という気持ちは自然なことですが、今の手取りを守ることと、将来の年金を育てることのバランスを、一度じっくり考えてみる価値はあるのではないでしょうか。」

目先の手取りと将来の安心、どちらを選ぶ?

「扶養内で働くことが一番損をしない」というかつての常識は、社会保険の適用拡大や年金制度の見直しに伴い、少しずつ変わりつつあります。目先の手取りを維持するための就労調整が、将来の数百万円の年金格差や万が一の保障の薄さにつながるかもしれないという事実は、多くの人にとって見過ごせないポイントでしょう。

まずはご自身の「ねんきん定期便」を確認し、老後に受け取れる金額を把握することが、最初の一歩になります。手取りへの影響を恐れて思考停止するのではなく、具体的な数字をもとにシミュレーションしてみることで、意外とマイナスが少ないことに気づくかもしれません。

40代の今からでも、将来の年金を育てる選択は十分に可能です。「あの時見直しておけばよかった」と後悔しないために、これからの働き方と未来の安心のバランスについて、ぜひ一度じっくりと考えてみてはいかがでしょうか。


監修者:あゆ実社労士事務所
人材育成・キャリア支援を軸に約10年の実務経験を持つ、社会保険労務士/国家資格キャリアコンサルタント。 IT企業の人事として、新卒・若手育成、研修設計、評価・キャリア支援の仕組みづくりに携わる一方、個人では企業や個人に向けたキャリア相談・人事支援を行っている。 これまでに累計100名以上のキャリア面談を実施し、1on1制度設計や面談シートの設計、育成施策の言語化を支援。 近年は生成AIを活用した業務設計・人事業務の効率化にも注力し、「現場で使えること」を前提にしたAI活用の伴走支援を行っている。