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貢いだ年下男に道端ですがりついた70代の母。「彼も私のことが好きなはず」盲目の恋に困惑……

  • 2026.2.27
70代後半の母が20歳近く年下の男性に恋をし、道端ですがりついた挙句に警察沙汰になった。「恋愛して何がいけないのよ、あんたには分からない」と開き直る母に、娘ができることはあるのだろうか。※サムネイル画像:PIXTA
70代後半の母が20歳近く年下の男性に恋をし、道端ですがりついた挙句に警察沙汰になった。「恋愛して何がいけないのよ、あんたには分からない」と開き直る母に、娘ができることはあるのだろうか。※サムネイル画像:PIXTA

誰がどういう恋愛をしようと基本的にはその人の自由だが、当事者が「高齢の母親」となると、娘としては口を挟まずにはいられなくなる。

恋愛などしないと断言していた母が

近所で一人暮らしをする70代後半の母のことが心配でたまらないと、ミナさん(44歳)は言う。ミナさんには中学1年生の娘と小学5年生の息子がいる。共働きなので、子どもたちが小さいころは母には助けてもらった。

「それは感謝しています。今も夫婦で残業になって、どうしようもないときは母に頼るしかなくて。母は『私は趣味で忙しいけど、早めに言ってくれればいつでも手伝いに行くよ』と言ってくれる。週に1度は母も含めてみんなで食事をしたり、たまに一緒に旅行したりとこちらも感謝を伝えてきたつもりです」

母は以前から友達が多く、「もしかしたら恋愛しているのかな」と思った時期もあった。それとなく聞いてみたこともあるが、「今さら恋愛なんかするわけないでしょ。私は男には懲りてるの」というのが口癖だった。母はわがままな父に尽くし、60歳のときに父を見送って「これでやっと自分の人生が始まる」と言った。だから恋愛などするはずがないと断言したのだ。

母の様子がおかしい

「友達関係でいるのが一番、とも言っていました。でもこの半年以上、なんだか母の様子がおかしいんですよ」

母はメッセージアプリや電話での返信が早いのが特徴だった。だが、昨年夏、電話しても出ない、折り返しも来ない、メッセージもなかなか返ってこないことが続いた。そのつど、「友達とボウリングに行ってて気づかなかった」「講演会に行ったから電源切ってたの」と、もっともらしい言い訳はするのだが、講演会の内容を聞いても答えられないなど、何かが怪しかった。

「娘が『おばあちゃん、恋しているのかも』と言いだしたのが昨年秋。どうしてと聞いたら、母の家にいるとき電話が鳴った。母はそそくさと立ち上がって『ちょっと待っててね』と娘に言って別の部屋で電話に出たというんですよ。そんなことしたことない、私の前でいつも電話に出るのにと娘が言う。あげく『何を言っているか分からないけど、漏れ聞こえてきたおばあちゃんの声が、いつもよりオクターブ高かった』って。娘の感覚は正しいんだろうと私は思いました」

それ以来、ミナさんは母の言動を注視していた。

彼に貢いでいた母

年明け、母が救急搬送されたと連絡があった。道端で男にすがりついてひきずられ、男は逃げ去り、目撃者が救急車を要請してくれたのだという。

「ひったくりにあったのかと思いきや、なんと別れ話のもつれから母が男にすがりついて振り払われたんだと分かりました。やっぱり付き合っている人がいたんですね。しかも相手は20歳近く年下。老後の資金を貢いでいたことも分かった」

ただ、相手が強要したわけではなく、母が自ら貢いでいたという。彼はもらったものを全部返し、別れを告げたのだが、母は納得できなかったようだ。

「相手の方に会ったら、決して恋愛というわけではなく、自分は友達という感覚だったと。でも母は相手を家に入れて、裸になって迫ったこともあったみたい。それで彼は縁を切ろうとしていた。『みっともない、お母さん、いくつだと思ってるの』と思わず怒ると、『人の恋愛を邪魔するな』と大激怒。認知症を疑って病院で診てもらったけど、そうではなくて……。だからこそ、私としてはどうしたらいいか分からなくなりました」

ともあれ、これ以上つきまとってはいけないと警察からも言ってもらったが、母が彼を思う気持ちは今も消えていないようだ。

高齢者の恋愛を否定するつもりはないが

「恋愛して何がいけないのよ、あんたには分からないのよと母は言っていましたが、それは互いの気持ちが一致したときの話、お母さんのは片思いだから、しつこくしたら相手が迷惑するだけ。好きな人に迷惑をかけたくないでしょとくどくどと説教しました。でも母は『彼だって本当は私のことが好きなはず』と思ってる。そこが怖いところですよね」

父と見合いで結婚した母は、恋愛をしたことがないのかもしれない。自分の話に同調してくれ、一緒に笑い合うような関係を築くことができなかったから、そんなことができる彼に惚れ込んでしまったのだろう。同情する余地はあるが、一方的な気持ちの押しつけは恋ではないと折に触れて母に言い聞かせた。

「隣町に住んでいたその彼は、奥さんと死別して独り者だった。だから恋愛するつもりなら障壁はない。母と恋愛するつもりなどなかったというのは本当でしょう。ちょっとせつないけど、母にはそれを分かってもらわないといけない」

このところ母はようやく少し落ち着いているが、恋の残り火がいつ再燃するか分からない。

「高齢者の恋を否定するつもりはありません。むしろいくつになっても恋をしてほしいとも思う。でも恋は相手あってのこと。それだけは忘れてほしくないですよね」

複雑な表情でミナさんはそう言った。

文:亀山 早苗(フリーライター)

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