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FPが断言「きょうだいが絶縁する事例は意外と多い」…相続で「もめる家族」の親がやっていない"死後の準備"

  • 2026.2.26

相続での揉めごとは他人事ではない。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「特にきょうだい間は揉めやすい。絶縁状態になるケースもたくさん目にしてきた」という――。

※この連載「高山一恵のお金の細道」では、高山さんの元に寄せられた相談内容を基に、お金との付き合い方をレクチャーしていきます。相談者のプライバシーを考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

テーブルで向かい合う男女
※写真はイメージです
きょうだいが絶縁するケースも少なくない

読者の皆さんも一度は周囲で“相続”の話題を耳にしたことがあるでしょう。そして、“相続”が“争族”になりやすいこともまた、ご存知かと思います。

人口のボリュームゾーンである団塊の世代が後期高齢者に達し、団塊ジュニア世代も50代。相続問題に直面する人が急増する今、家族がハッピーになれる相続のコツをお伝えします。

ファイナンシャルプランナーの私が日々痛感しているのは、相続は本当に揉めやすい、ということです。特にきょうだい間は揉めやすく、親が残した財産をきょうだいで分割するとなった際、それまで仲の良かったきょうだいが取っ組み合いのケンカをしたり、果ては絶縁してしまう悲惨なケースを散々、目にしてきました。

そして今まさに絶縁の危機にあるのが、白川さん兄弟です(仮名)。数年前にお母さまが逝去された後、弟さんが80代の父親とふたり暮らしをしていたのですが、その父も昨年、他界。地方で自分の家族と暮らす兄との関係は希薄でしたが、仲が悪いというわけでもなく、年に一度は顔を合わせていました。

問題は、亡くなったお父さんの遺産が想定よりも多かったことです。兄弟ともに父親の資産状況を知らされていなかったため、亡くなってから突如、現金だけで5000万円の遺産があることが判明。加えて、これは前からわかっていたことですが、都内にある持ち家を誰が引き継ぐのかについて、兄弟間で話し合いが行われました。

法定相続分では「2500万円ずつ」になるはずが…

民法で定められた法定相続分では、現金5000万円は長男・次男でそれぞれ「2分の1」となります。よって、互いに2500万円ずつ均等に分ければいいだけ……なのですが、そう簡単には事が運ばないのが相続です。

待ったをかけたのは、両親と長年同居してきた弟の貴文さん(仮名)でした。貴文さんの主張は、「高齢の両親をずっと面倒みてきたのは自分。家の管理を担ってきたのも自分であり、今現在もこの家に暮らす自分が不動産を引き継ぐのは当然」というもの。さらに現金5000万円についても、「均等の割合はおかしい」と、踏み込んだ要求をしました。やがて明らかになったのは、“長男びいき”ゆえに疎外感を味わってきた貴文さんの、積年の恨みです。

貴文さんいわく、なにかにつけて家族は長男ばかりを優遇し、兄の聡さん(仮名)自身も弟の貴文さんに対し、「白川家の長男は俺なんだから」と、傲慢な態度をとってきたそう。両親が亡くなるまではぐっとこらえて大人な態度で接してきた貴文さんも、「親父に一番可愛がられていた長男の俺が家をもらうのは当然」といった兄の発言を受け、遂に爆発。「両親を面倒みてきたことに加え、兄からこれまで受け続けてきた精神的苦痛を勘案しても、到底2500万円では納得がいかない」と、法定相続分以上の金額を要求したのでした。

弁護士を立てて遺産分割審判を行うことに

白川家のように遺言書がない場合にまず行うのが、「遺産分割協議」です。誰がどれだけ遺産を引き継ぐのかを相続人同士で話し合い、全員が合意することで遺産相続を成立させる方法ですが、当然、白川兄弟の意見は真っ向から対立。顔を合わせる度に「あの時はああ言ったじゃないか!」と、長年の鬱憤が爆発し、殴り合いのケンカになってしまったそうです。

遺産分割協議が決裂した際、次に行うのが「遺産分割調停」です。調停委員を挟み、家庭裁判所での解決を目指す方法ですが、白川兄弟は調停も不成立となり、最終的には互いに弁護士を立てて「遺産分割審判」の場で強制的に結論を得ることになりました。聡さんと貴文さんは今も絶縁状態のままです。

対策は「遺言書」「生命保険」

まさに“争族”となってしまった白川兄弟ですが、このように家族が揉めないための相続対策を考えていきましょう。

対策の最初は、親に「遺言書」を作成してもらうことです。「法テラス」や、市区町村などの無料相談もあるので、作成方法などを相談するのもおすすめです。

2つ目は、「生命保険」です。受取人が指定できる点を利用し、たとえば、死亡保険金がそれぞれ500万円のA保険会社とB保険会社に親が加入。そして、A保険会社の受取人を長男、B保険会社の受取人を次男として契約しておけば、きょうだい間の遺産分割がスムーズにできます。

また、生命保険は相続税対策にもなる点でもおすすめです。生命保険の場合、「500万円×法定相続人の数」が非課税になるため、遺された子どもにとってありがたいのです。加えて、生命保険の非課税枠は、相続税の基礎控除とは別枠で利用できるのも大きなメリットでしょう。

相続税の基礎控除は2015年1月から大幅に引き下げられ、増税になっています。それまで「5000万円+(1000万円×法定相続人)」だった基礎控除は、「3000万円+(600万円×法定相続人)」に縮小されました。相続税というと「資産家にしか関係ない」と思われがちですが、相続税の課税強化により、幅広い人に影響が及ぶようになっています。

夫が亡くなり、妻と子1人で遺産相続する場合、「3000万円+(600万円×2)」=4200万円までが非課税となるわけですが、例えば夫が都内に持っていた物件を売却すれば、それだけで非課税枠を超過してしまうかもしれません。繰り返しになりますが、先程紹介した生命保険の非課税枠は、相続税の基礎控除とは別枠で利用できますので、上手に使っていただきたいと思います。

【図表1】相続税における基礎控除の改正
相続税の基礎控除はこんなに変わった
生前贈与は最新情報を要チェック

年間110万円までの生前贈与も非課税ですが、2024年1月に大きな改正があったことから、注意が必要です。

これまでは相続開始3年前までの生前贈与が相続財産として課税対象になっていましたが、法改正により、相続開始7年以内の生前贈与が相続税の課税対象となりました。

亡くなる10年前から年間110万円ずつ生前贈与した場合、これまでのルールでは、合計1100万円のうち、直近3年間分の330万円が相続税の対象となっていました。しかし、新たな制度では、7年間分が相続税の課税対象となるのです(※ただし、経過措置として延長された4年間に贈与により取得した財産については、総額100万円まで加算対象外となる。詳細は国税庁ホームページに掲載)。

なかなか複雑ですが、改正後のポイントを簡単に言うと、「生前贈与をするなら早めにはじめる」ことです。生前贈与における節税対策は非課税期間を長く持つことになりますので、計画的に、早めに生前贈与をすることで節税効果を得やすいでしょう。

親から子に資産状況を伝えてほしい

そして最後にもっとも大切なポイントは、親は元気なうちに、子どもとお金の話をしておくことです。相続がうまくいっているご家庭は、自分の資産状況を早くから子どもにオープンにされているので、亡くなった後のきょうだい間トラブルもなく、気持ちよく親御さんを送り出している印象があります。

通帳を見ている親子
※写真はイメージです

子どもから親の資産を聞くのは憚られるでしょうし、親にしても、「資産の整理をしたら自分の死期が早まる気がして嫌」というお声も聞きます。そうして互いに「そのうちね」と踏み込めないまま、突然、親が亡くなってしまうケースをたくさん見てきました。遺言書もないまま遺された家族の苦しみは、白川兄弟のケースを見ても明らかです。

家族の人生を思えばこそ、親御さんは少しずつ、お子さんに資産状況をお話ししてほしい。“相続”が“争族”にならない最大の秘訣は、オープンな話し合いでしょう。

構成=小泉なつみ

高山 一恵(たかやま・かずえ)
Money&You 取締役/ファイナンシャルプランナー(CFPR)、1級FP技能士
慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演・執筆活動・相談業務を行い女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。著書は『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年前後のお金の強化書』(きんざい)など多数。FP Cafe運営者。

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