1. トップ
  2. 「退職金でなんとかなる」定年後に“築25年マイホーム→最新マンション”に住み替え…5年後、60代男性を襲った“悲惨な結末”

「退職金でなんとかなる」定年後に“築25年マイホーム→最新マンション”に住み替え…5年後、60代男性を襲った“悲惨な結末”

  • 2026.3.16
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは!金融ライターの遠藤リラです。

今回は、元地方公務員・68歳男性・Aさん(仮名)の事例から、シニア世代の大きな買い物が招いた予期せぬ後悔についてお伝えします。

55歳からの決断「老後のために便利なマンションへ」

公務員として安定した収入を得ていたAさん。30歳で購入した郊外のマイホームは築25年を超え、あちこちにガタがきていました。

「不便な郊外の戸建てをリフォームするより、駅に近くて設備が最新のマンションへ住み替えよう。通院や買い物も便利になるはずだ」

そう考えた佐藤さんは、55歳でモデルルームを訪問。定年まであと5年、退職金でなんとかなるだろうという見通しで、頭金がほぼない状態での住み替えを決意しました。

資金不足を埋めた「無担保ローン」の罠

しかし、現実は甘くありませんでした。子供の教育費で貯金はわずか。物件価格以外にかかる諸経費を含めると、通常の住宅ローンでは200万円ほど足りないことが判明します。

そこで銀行員から提案されたのが、「無担保住宅ローン」でした。

  • 特徴: 審査が通りやすく、手続きが早い。
  • リスク: 通常の住宅ローンより金利が高めに設定されている。

「月々2万円なら払える」と安易に契約してしまいましたが、これが後々の家計を圧迫する要因となります。一方、銀行側は「ノルマ達成」を優先し、佐藤さんの返済能力に一抹の不安を感じながらも融資を実行したのです。

誤算だった「退職金」と「セカンドキャリア」

60歳で定年を迎え、待ちに待った退職金が入りました。しかし、ローンのボーナス払い分は完済できたものの、月払い分を全額消すことはできず、15年分のローン残高が残ってしまいました。

佐藤さんは「働いて返せばいい」と考え、マンション管理人の職を得ますが、そこで現実に直面します。

  1. 収入の激減: 現役時代の半分以下の給料。
  2. 身体の限界: 慣れない肉体労働で体を痛め、休みがちに。
  3. 維持費の負担: ローン以外に管理費、修繕積立金、駐車場代が重くのしかかる。

「こんなはずではなかった」と後悔しても、一度組んだローンや購入した物件を元に戻すことはできません。

50代以降でローンを組む際の「3つの鉄則」

シニア世代がローンを検討する場合、現役時代と同じ感覚で考えるのは非常に危険です。以下のポイントを必ずシミュレーションしましょう。

1. 「退職時の残高」を徹底的に減らす

住宅ローンは初期ほど元金の減りが遅いものです。余裕があるうちに繰り上げ返済を行い、退職時の残高を「ゼロ」に近づける計画が必要です。

2. 再雇用の「賃金カット」を計算に入れる

60歳以降も働ける場は増えていますが、賃金は大幅に下がるのが一般的です。また、年金と賃金の合計額によっては年金がカットされる仕組みもあるため、収入を多めに見積もるのは禁物です。

3. 「所有するだけでかかるコスト」を見落とさない

マンションの場合、ローンを完済しても管理費や修繕積立金は一生払い続けます。これらが年金生活のなかで「固定費」としてどれほど家計を圧迫するか、具体的な数字を出すことが重要です。

50代のローンは「出口戦略」がすべて

「なんとかなるだろう」という楽観的な予測は、老後の生活を根底から壊しかねません。

  • 購入前にリタイア後の収支を1円単位でシミュレーションする。
  • 「無担保ローン」などの高金利商品に手を出さない。
  • 今の家を売却した資金を確実に頭金に充てる。

大きな買い物をする前に、まずは自分の「健康」と「将来の正確な収入」を冷静に見つめ直してみてください。


執筆:遠藤リラ(金融ライター)
CFP®、1級ファイナンシャルプランニング技能士。金融機関に20年以上勤務した経験を活かし、読者の生活に寄り添った視点で執筆中。