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「人を優先することが美徳」という価値観が変わった。がんをきっかけに変わったこと【著者インタビュー】

  • 2026.2.23
©御前モカ(秋田書店)2024
©御前モカ(秋田書店)2024

【漫画】本編を読む

主人公・秋山紅葉(もみじ)ががんの宣告を受けるところから始まる漫画『おはよう、おやすみ、また明日。』(御前モカ/秋田書店)。キャビンアテンダントの仕事ぶりを描いた「CREWでございます!」シリーズで知られる漫画家・御前モカさんが、自身の闘病体験をもとに描いた作品だ。闘病体験を描くと同時に、主人公が“限りある人生だからこそ”とよりよく生きることを模索していく姿も描かれている。紅葉がこれまでの自分を見つめ直す姿は、限りがある人生だからこそ人は輝いているのだということを私たちに教えてくれる。御前モカさんにインタビューし、自身のがんとの向き合い方からご家族・ご友人など周囲の人の変化まで、さまざまなお話を伺った。

――本作は自分のことを大切にできていなかった主人公・紅葉が、自分のことを見つめ直す物語という側面もありますよね。例えば、がん告知を受けたあと入ったレストランでランチのメインを肉か魚かを選べる時に、肉が残り1食分と知った紅葉は「自分が肉を食べてしまうと次の人は肉を食べられなくなってしまう」と考えます。しかし、「自分を優先させていいんじゃないか?」と思い直して、肉を注文します。こうしたエピソードには御前さん自身の内面の変化が反映されているのでしょうか?

御前モカさん(以下、御前):私は紅葉ほど相手優先ではないと自分では思っております。ですが人を優先することが美徳という価値観で育ってきましたし、きょうだいが小児がんだったため、いわゆる“きょうだい児”(障がいや病気を持つ兄弟姉妹がいる子どもたちを指す言葉)でした。例えば両親がきょうだいの方にかかりきりで寂しいと思ったとしても「それを言うと誰かを傷つけてしまうからやめておこう」と自分より他の人を優先するところはあったと思います。

――そんな中で、もっと自分を大切にしようと思うようになったのはがんになったことがきっかけですか?

御前:そうです。「もっと自分が楽しいことをしよう」と思うようになって、お金の使い方も生き方も変わりました。ただ私の場合、自分を優先しすぎるとそれがかえってストレスになることもございますし、誰かが喜んでくださる姿を見るのも嬉しい。自分が苦しくならないバランスを取るようにしております。

――私も自分を後回しにしがちなのですごく刺さるテーマでした。

御前:私はこれまで相手にノーと言うことを控えておりまして…。せっかくのご厚意を拒否したら失礼なのではないかと考えてしまっていたのです。そうしたら友人に「そのノーが嫌か嫌じゃないかは私が決めること」と言われまして。自分の気持ちは自分で処理するから「相手が嫌な気持ちになるのでは」と考えなくていいと。この言葉でもう少し自分を優先してもいいかなと思えるようになりました。

取材・文=原智香

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