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ADHDの夫の「見ている世界」を知ったら、すれ違いだらけの夫婦生活が劇的改善!? 特性を持つ家族との向き合い方が変わる一冊【書評】

  • 2026.2.22

【漫画】本編を読む

夫婦関係のすれ違いは、往々にして「性格の不一致」や「価値観のズレ」で片付けられがちだ。しかし、『もしかして、うちの夫はADHD? ~夫の見てる世界を体験したら、すれ違いが減りました~』(はなゆい:著、司馬理英子(精神科医):監修/オーバーラップ)は、その根本にある「認知の違い」を、当事者の体験として丁寧にひもといていく。

主人公・結衣は、ADHDが疑われる夫との日常で繰り返し訪れる、すれ違いに悩んでいる。何度注意しても片づけをしない、約束を忘れる、予定通りにいかないとパニックになり怒り出す。注意するたびに険悪になり、結衣は「何でわかってくれないのか」と心をすり減らしていく。一方、夫は決して悪意を持って妻と接しているわけではない。妻の誕生日のためにサプライズを考えるなど、家族をないがしろにしているわけではないのに、その行動や思考がなかなか妻に届かないのだ。それどころか、結衣はコミュニケーション不全のせいで孤独感に襲われるカサンドラ症候群になりかけてしまう……。

その時に現れたのが、精神科医のブル先生と、はなゆい探偵という神出鬼没のふたりの助っ人。彼らに導かれ、結衣は夫の「世界の見え方」を自ら体験し、理解しようとする。彼が見ている視野の狭さや、思考の段階を追体験しながら「わざとやっているのではなく、特性のせいである」という結論に至るのだ。一歩ずつ、段階を登って気づきに向かう結衣の姿勢は、同じような夫婦関係に悩む人に深い示唆を与えるはずだ。

本書が優れているもう一つのポイントは、思考の過程にとどまらず、具体的な対処法が描かれていることだ。ブル先生から与えられる、特性を持つ人の思考に合わせた「対策」のひとつひとつは、決して「ADHDの人にはこうしておけばよい」というマニュアルにとどまらない。「見え方」を理解することが関係改善の最大の鍵であることを示し、どれも腹落ちしやすいものばかりだろう。本書は、ADHDの人や、その特性をなかなか理解できず苦しむ人の心強い味方となり、お互いがもう一度向き合う勇気を与えてくれるはずだ。

文=ヒルダ・フランクリン

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