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【編み物の世界へようこそ】世界のニッター最前線、注目のクリエイターを紹介。

  • 2026.2.21

身近な創作活動のひとつ、編み物。パンデミックでお家時間ができたことも後押しとなり、編み物ラバーが増えている。注目のニッターや気になる毛糸情報まで、アールドゥヴィーヴル(暮らしの美学)を彩る編み物の世界をリサーチ。

01. 三國万里子が語る、幸せな編む日々のこと。02. 世界のニッター最前線、注目のクリエイターを紹介。03. 初級から上級まで、編み物の始め方と続け方。

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おばあちゃまから孫娘、3世代で紡ぐニット。

Mousse Handknitムス・ハンドニット

母ベネディクトと娘カミーユ。パリの自宅とドルドーニュ地方の田舎の家で、ふたりで全アイテムを編み上げる。人気のカーディガンJacquesを着て。

イラストレーターのカミーユ・ヴィットが、母のベネディクトとともに「上質素材、カラフルであったか、キャンディみたいなニットを提案したい」とブランドを開始。ふたりのニット愛は、いつも編み物をしていた1920年代生まれの祖母マルグリット=マリーから受け継いだもの。ドルドーニュ地方の自然に囲まれた家族の田舎の家で生まれるニットは、子どもの頃の思い出がインスピレーション源だ。母がフォルムを考え、娘が色を選ぶ二人三脚のクリエイションは、どれもふたりの手作りだけにオンラインのみの数量限定。

上左:102歳で先日亡くなった祖母。母娘に編み物を教えてくれた大切な存在。上右:母娘で機械編みも習得。機械で編み始め、手編みで仕上げることが多い。下:コレクションの撮影は田舎の家で。ティラミスカラーのカーディガンJacquesとバイカラーのマフラーUgoはいずれもモヘアとシルク混紡。

Mousse Handknithttps://www.moussehandknit.com/@mousse.handknit

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カラフルな配色が魅力のキッズ小物が大人気。

Mademoiselle Quincampoixマドモワゼル・カンカンポワ

キャロリーヌは『Les Tricots Bébé de Mademoiselle Quincampoix』(Glénat刊)などハウツー本も多数上梓。

陶芸、刺繍、パンチニードルなど手仕事ならなんでも好き、というキャロリーヌ・ヴァローニュは、2010年頃にニットで舞台装飾やストリートアートを展開したアヴァンギャルドなニッター集団、コレクティフ・フランス・トリコのメンバーのひとり。マドモワゼル・カンカンポワの名でブログやインスタグラムでクリエイションを紹介し、編み図をオンライン販売している。「ミニマルや控えめとは正反対。大胆な色の組み合わせが好き」という彼女は、4歳と1歳の子どもを持つママ。可愛くて編み方も簡単なキッズアイテムや小物が人気。

上左:モヘアのカーディガンCandy。作り方のサイズ展開はSからXL。上右:お得意のべべのアイテムは新生児から24カ月までの展開。帽子Béguin Nava/Géranium、ポンポン付きブルマーBloomer Havhäst/Hippocampe。下:かぎ針編みのベッドスプレッドCouverture Dala、クッションカバーCoussin Elinなど、インテリアやバッグなどの小物の編み方も提案。

Mademoiselle Quincampoixhttps://mademoisellequincampoix.com/@mllequincampoix

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ビギナーパリジェンヌに好評!カフェの無料編み物教室。

Perrine Delfortrieペリーヌ・デルフォルトリー

編み棒も毛糸も提供。ペリーヌ(左)が手取り足取り指導する。申し込み制で、この日の参加者は13人。

昔からいつも編み棒を動かしていたというジャーナリストのペリーヌ・デルフォルトリー。息子のトムに頼まれて目出し帽を編んだところ周囲から注文が殺到、ふたりでシャルミというブランドを立ち上げるも、息子がカフェをオープンしたことで休眠状態に。そこでペリーヌは、そのカフェを舞台に無料の編み物教室を開始した。毎週水曜の夕方に集まる編み物初心者たちは毛糸と編み棒を手に、慣れない手つきで作り目からトライ。ワインやお茶を飲みながらのレッスンは、和気藹々、気取らぬ雰囲気が魅力だ。

左:ペリーヌがシャルミでデザインしたモヘアの袖付きTシャツ。右:編み棒を手にするのが初めての参加者がほとんど。

Café Cortadoカフェ・コルタド31, rue Charlot 75003 Paris France※編み物教室は毎週水曜18:30~20:00、開催日にインスタグラムのストーリーズで告知。@cortado.paris

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毛糸やデザインも展開、金メダリストの編み物愛。

Tom Daleyトム・デーリー

トム自慢のメイド・ウィズ・ラブとウールマークによる「MWLxウールマーク」のメリノウールの毛糸はキュートなパステルカラーが揃う。

男子飛び込み競技選手として金メダルを獲得した東京2020オリンピックで、ニッティングする姿でも注目を集めて「編み物王子」とも呼ばれるトム・デーリー。ウールマークとのコラボで毛糸を発売したり、編み物バトル番組「ゲーム・オブ・ウール」の司会をしたりと現在も編み物愛が炸裂中。今年の冬季オリンピックではベン シャーマンとのコラボで彼がデザインしたマフラーとキャップを開&閉会式で旗手を務める英国選手が身に着ける。「ステッチのひとつひとつは世界に羽ばたく選手たちの努力と功績を表しています」

左:ローゲージのキャップも国旗カラー。右:オリンピック開&閉会式でお目見えする手編みのマフラーにはグレートブリテンのGBとユニオンジャックが。

Tom Daleyhttps://www.bytomdaley.com/@tomdaley

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編むことを通して、人と人を繋ぐ。

Elena Lo Prestiエレナ・ロウ・プレスティ

「編み物道具を常に持ち歩いて、すき間時間にも編んでいます」とエレナ。

エレナがニッティングを始めたのはパンデミック中に編み物が得意な祖母と暮らした時。編む作業は人々を繋ぐと知り、路上生活者にモチーフ編みの毛布を贈るプロジェクト、ブランケット・フォー・ロンドンを企画し、2021年には編み物を通してコミュニティを活性化するチャリティ団体クラフト・フォワードを設立。「ワークライフバランスのために、たとえ仕事でも情熱を持って楽しんで続けられる物事を見つけることが大切。私にとって編み物はまさにそんな存在です」。現在はロンドンだけでなく英国全土とハンガリーに毛布寄付の拠点を持つ。

左:デイジーやスヌーピーなど自分のお気に入りをモチーフとした自作のベスト。右:ブランケット・フォー・ロンドンは毎年の恒例行事となり、2025年は100枚近くの毛布を寄付。

Craft Forwardhttps://craftforward.com/@craft_forward

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機能美を追求した、タイムレスな編み図。

Susanne Müllerズザンネ・ミュラー

夏用の小さなスカーフELISEは、斜めに入った透かし模様がさりげなくてエレガント。バンダナのように頭に巻いても。

ベルリンスカーフが日本でも人気のズザンネ・ミュラー。祖母に8歳で手ほどきを受けて以来の編み物好き。石製建造物の修復師としてドイツ中の建設現場を飛び回る合間にも、毛糸と編み針は必ず携帯。仕事後は夜中まで編み物に熱中し同僚にプレゼントする中、2011年にマーケットプレイスに出品したところ注文が殺到。16年からは編み図の販売にシフトし、人気を集める。モットーは「Less is more」。時代を超えて愛されるバウハウスのようなデザインだ。

左:こちらも人気のフード付きマフラーNOMADを纏ったズザンネ。右:長いフリンジが印象的なロングスカーフBERLIN。オリジナルデザインの編み図の中でも特に人気で日本語訳も発売予定。

Susanne Müllerhttps://www.ravelry.com/designers/susanne-muller@paulastrickt

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シンプル明快なパターンのソフィスカーフで一躍著名に。

PetiteKnitプチニット

プチニットが提案するパターンは、明快かつ実用的でわかりやすいと大好評。

初心者がトライしやすく、デザイン性の高さもあって世界的流行となったソフィスカーフ。その生みの親こそ、ニットデザイナーのプチニットだ。医学を学んでいた彼女が本格的に編み物を始めたのは産休中。素材も色もサイズも自分好みにでき、技法との組み合わせで無限大の可能性があるセーター作りにのめり込んだ。たくさんの作品を生み出している彼女だが、大切なのは"過程"だという。「速さを競ったり何枚のセーターを編めるかではなく、長く愛用できるものを作り上げる」ことが魅力と語る。

ニッター界で一世を風靡するソフィスカーフ。ほぼ表編みで構成されているので、初心者にもおすすめ。首に巻いたり、耳当てやバンダナ風にしても可愛い。くるっとまるめるとクロワッサンのような見た目に。

PetiteKnithttps://www.petiteknit.com/en/@petiteknit

*「フィガロジャポン」2026年3月号より抜粋

 

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