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透明感あふれるピアノで神話を奏でる——オリヴィア・ベッリ、最新アルバム『ダイモン』が示す新境地

  • 2026.2.20

ネオクラシック界で静かに、しかし確実に存在感を高めてきたイタリア出身のコンポーザー・ピアニスト、オリヴィア・ベッリが、2年ぶりとなるフルアルバム『ダイモン』をリリースした。レーベルはソニー・クラシカル。これまでXXIMレコーズから作品を発表してきた彼女にとって、新たなフェーズを示す一枚である。

アルバムタイトルの『ダイモン』とは、古代ギリシャ哲学において“内なる導き”や“魂の本質”を意味する言葉。そのコンセプトの核にあるのは、ホメロスの叙事詩『オデュッセイア』だ。オデュッセウスが幾多の試練を越え、故郷イサカへと帰還する物語。その旅路は単なる冒険譚ではなく、「人はどこへ向かい、何のために生きるのか」という普遍的な問いを投げかける。

アルバム冒頭を飾るピアノ協奏曲『ダイモン』は、『出発』『旅路』『帰還』の三楽章構成。透明感あふれるピアノが、時に静謐に、時に叙事詩的なスケールで鳴り響く。そこには神話の英雄だけでなく、音楽家としての彼女自身が歩んできた葛藤や苦難も重ねられている。人生は本質的に“旅”であるという思想が、音の風景として立ち上がる瞬間である。

オリヴィアは、アレクサンダー・ロンクィッヒ、イェルク・デームス、フランコ・スカラ、ピエロ・ラッタリーノら名だたるピアニストに師事し、クラシックの伝統を徹底的に吸収してきた。一方で、バッハやショパンのみならず、フィリップ・グラスやアルヴォ・ペルトといったミニマル/現代音楽からも影響を受け、独自のサウンドスケープを築いている。

これまで発表してきた『SOL NOVO』『INTERMUNDIA』が自然からのインスピレーションを色濃く映し出していたのに対し、『ダイモン』はより物語性が強く、内面的で哲学的だ。マリ・サムエルセンやゴーティエ・カプソン、アナ・ラップウッドらへの楽曲提供でも評価を高めてきた彼女は、今や新世代インストゥルメンタルの中心的存在といっていい。

神話と個人史が交差する音世界。その透明な旋律の奥に潜むのは、誰もが抱える“帰るべき場所”への渇望である。『ダイモン』は、聴き手自身の旅をも静かに照らす一枚となりそうだ。

●アルバム情報

『ダイモン』Daimon

2026年2月20日全曲配信/ハイレゾ同時配信

収録曲

1-3 ピアノ協奏曲「ダイモン」 Piano Concerto”Daimon”

4-10 イサカ組曲 Ithaca Suite      

11-13 ナウシカアのためのソナチネ Sonatina for Nausicaa    

演奏:オリヴィア・ベッリ(ピアノ、作曲)

ジョン・メトカフ指揮ドイツ・カンマーオーケストラ・ベルリン(1-3)

カネア・カルテット(4,10)

エルビョルク・ヘムシング(ヴァイオリン 5)

ラファエラ・グロメス(チェロ 9)

ジェス・ギラム(サックス 6,8)

録音:2025年2月、3月 ベルリン

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