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恋愛経験ゼロの2人が「偽装カップル」に? 犬猿の仲の使用人同士の“恋愛学習”ラブコメディ『ひとまず恋に慣れさせてください』【書評】

  • 2026.2.20
ひとまず恋に慣れさせてください たきどん / 白泉社
ひとまず恋に慣れさせてください たきどん / 白泉社

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「花とゆめ」で大好評連載中のラブコメディ『ひとまず恋に慣れさせてください』(白泉社)の第1巻が2月20日に発売された。著者は『うちの黒魔導士がかわいすぎる!』(同)で人気を博した、たきどん先生だ。今作も美麗な作画やテンポのいいストーリー展開、充実したコメディ要素と胸キュンポイントは健在である。

犬猿の仲の男女がカップルを演じることになった経緯とは…?

物語の舞台は、貴族社会でも指折りの名家「オルタンシア家」。主人公は、そこで次期当主ノエルに仕えるメイド長のクロエだ。彼女はノエルを尊敬、というよりもはや信仰しており、彼の役に立つために日夜全身全霊で仕事に尽くしている。

そんな彼女のライバルが、同じくノエルに仕える執事長のレイだ。

仕事ができて、誰よりも使用人としての歴が長いレイは、クロエに対して小言が多く、すぐに2人は言い合いになってしまう。

ノエルへの愛が重いゆえに、衝突ばかりしてしまうクロエとレイ。しかし、そんな犬猿の仲の2人は、ある日ノエルから「恋について知りたい」と相談を受けてひどく狼狽することになる。

というのも、2人は昔から仕事一筋で、恋愛をしたことがなかったのだ。しかし、敬愛するノエルの期待には応えたい。そんなクロエとレイがたどり着いた結論は「カップルを演じること」だった。ここから恋愛偏差値0の2人による、恋愛学習の日々が始まるのだった……。

完璧な美男美女のウブな姿が愛おしい!

仕事ができて、男前。常にクールで完璧に見えていた執事長のレイは、しかし意外とウブで、クロエの顔が近づくだけで赤面してしまうほど。一方で、馬鹿真面目だからこそ出てくるドストレートな誉め言葉や甘いセリフに、今度はクロエが赤面してしまう。

完璧な美男美女が、慣れない恋愛に振り回され余裕がなくなっていく様が愛おしい。たきどん先生の美麗な作画がその姿をより一層魅力的にしている。とにかくクロエの赤面姿は可愛らしいし、美しい青年であるレイが馬鹿真面目に恋愛に向き合おうとしている姿は胸が締め付けられる。そして、そんな彼らが仕える次期当主のノエルもまた顔が良い。

正直私は、この作品の最初の1ページ目、ノエルの登場シーンの美しさの時点で目を奪われてしまっていた。クロエが熱烈な感情でお仕えする気持ちも十分にわかる麗しさだ。

また、この作品のいいところは、クロエもレイもとにかくピュアでまっすぐなところだ。お互いに初めてのことばかりで、どうしてもすれ違ったり、間違った選択をしてしまったりすることがある。そんなとき、彼らは常に一生懸命に相手に向き合おうとする。最初は「恋人を演じる」だけだったはずなのに、気がつけばお互いのことを理解し合おうと歩み寄り始める2人の姿がある。

そして、それは次第に新しい気持ちの芽生えへとつながる。大嫌いだったはずのレイに対して、気がつけば心が揺り動かされるようになっていくクロエ。そんなクロエを見て、無自覚ながら向き合い方が変わっていくレイ。

2人の恋の物語はまだ始まったばかりだ。もちろんいつか彼らがお互いの気持ちを自覚して結ばれることを祈るが、今はまだ恋愛に不慣れな美男美女のドタバタコメディをニヤニヤしながら見ていたい気持ちもある。これからクロエとレイがどんな形で恋愛を学んでいくのか、続きが楽しみな作品である。

文=園田もなか

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