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「1時間ご飯を食べるだけでお金がもらえる」その言葉を信じて15歳が人生を踏み外した“パパ活”の入口とその先【作者に聞く】

  • 2026.2.12
「パパ活しないの?超効率いいよ」と勧めてくる同級生の言葉に、思わず心が揺れる…。 画像提供:(C)グラハム子/オーバーラップ
「パパ活しないの?超効率いいよ」と勧めてくる同級生の言葉に、思わず心が揺れる…。 画像提供:(C)グラハム子/オーバーラップ

「1時間ご飯を食べるだけで1万円。めっちゃ稼げるよ」。中学時代の友人からそう言われ、安易な気持ちで足を踏み入れてしまう高校生・千紘。バイト代だけでは足りない現実、周囲との経済格差、少し背伸びしたい気持ち。その延長線上にあったのが“パパ活”だった。もし自分の娘が同じ選択をしていたら――。自身の経験と現役女子高生への取材を重ねて描かれた、グラハム子さん(@gura_hamuco)の新書「娘がパパ活していました」を紹介する。

「顔合わせだけ」で揺らいだ15歳の心

「娘がパパ活をしていました」01 画像提供:(C)グラハム子/オーバーラップ
「娘がパパ活をしていました」01 画像提供:(C)グラハム子/オーバーラップ
「娘がパパ活をしていました」02 画像提供:(C)グラハム子/オーバーラップ
「娘がパパ活をしていました」02 画像提供:(C)グラハム子/オーバーラップ
「娘がパパ活をしていました」03 画像提供:(C)グラハム子/オーバーラップ
「娘がパパ活をしていました」03 画像提供:(C)グラハム子/オーバーラップ

郊外に住む千紘(15歳)は、渋谷の私立女子校に進学した。内部進学の同級生たちはお金にも余裕があり、大人びた雰囲気をまとっていた。置いていかれないようにと始めたファミレスのアルバイト。カラコンを入れ、まつ毛を上げるだけで印象が変わっていく自分を見るのが、千紘には少し楽しかった。そんなある日、旧友に学校やバイトの話をすると、「バイトってコスパ悪くない?」「1時間ご飯を食べるだけで1万円」「顔合わせだけだよ」と、パパ活を勧められる。学校の2~3割がやっているらしい、という言葉に、千紘の心は大きく揺れ動く。

編集からの依頼と、9年前の記憶

本作の制作は、編集者からの依頼がきっかけだったという。グラハム子さんは「女の子や女性の心の成長」はこれまでも、そしてこれからも描き続けたいテーマだったと語る。担当編集の松田さんは、9年前にグラハム子さんが初めてコンクールに応募した際の審査委員長でもあった。「夢は叶わなかったけれど、『おもしろい』と言ってもらえたことがずっと心の支えでした」と振り返り、今回の依頼は特別な喜びだったと明かす。

スマホとSNSが近づけた危険

スマホが生活に欠かせない時代、SNSのDMを通じて見知らぬ人と簡単につながれることは、親世代が経験してこなかった環境だ。危機感を持ちにくい子どもたちの言動に戸惑いながら、「もしも娘がパパ活をしていたら、親はどう向き合うべきか」という問いを軸に描かれたのが本書である。

母と娘、どちらにも偏らない視点

描写で特に意識したのは、娘側と母側、どちらか一方に寄らないことだったという。「娘も母もそれぞれが今見えている世界を精一杯生きている、というのが伝わるようにしたいと思いました」と語るグラハム子さん。母の視点は現在の自分、娘の視点は過去の自分を重ねながら描いたと語る。

現役女子高生への取材で見えた現実

制作にあたり、グラハム子さんは現役女子高生2人に取材を行った。派手なタイプではなく、ごく普通の高校生たちだったという。本人たちはやっていないものの、「知人でやっている人がいる」と語り、その身近さに驚かされた。かつて援助交際は遠い存在だったが、今のパパ活はずっと近い場所にある。その背景には、やはりスマホとSNSの存在があると感じたという。

現実は「ご飯だけ」では終わらない

「ご飯を食べるだけなら」。その言葉に背中を押され、千紘はパパ活を始めてしまう。しかし、当然トラブルへと発展していく。グラハム子さんは「世の中、そんなに甘くありません」と語る。「ほとんど、むしろほぼ全てと言っていいほど、男性はそれ以上のことを求めてきます。ご飯は“最初の入り口”なだけ」。高校生だった当時の自分は、純粋で、無知で、世間を知らなかったと振り返る。

「無知ながらも、『なんか嫌だな』『なんか怖いな』という違和感はありました」とグラハム子さんは続ける。「その“なんか”を無視しないでほしい。嫌だったり怖かったりしたら、まず距離を置いてほしい。とくに性に関しては、嫌なことを我慢することが成長ではありません」。その言葉は、物語を超えて強く胸に残る。

一方、娘がパパ活をしていると知った母は、「まさか」という思いと、過去に感じた小さな違和感の記憶に揺れる。娘を持つ母親であれば、きっと同じ気持ちになるだろう。親の立場としても、自然と自分事として読める構成になっている。

感情が詰め込まれた“ビンタ”の1コマ

グラハム子さんが特に気に入っているシーンとして挙げたのは、母が娘にビンタをする場面だ。そこにあるのは怒りだけではない。悲しさ、信じたくない気持ち、自分を責める思い。複雑な感情をどう表現するか、表情や構図を何度も描き直したという。親であれば、胸が締め付けられる場面だろう。

「自分だったらどうするか」を考えてほしい

現在、小学生の子どもを持つグラハム子さんは、数年後に子どもがスマホを持ち、SNSを始める未来を思い描く。自分が経験していない世界の歩き方を、どう伝えるべきか。その難しさと向き合いながら、本作の母親も娘に想いを伝えた。「自分だったらどうするだろう?」と考えながら読んでもらえたらうれしいと語り、親子で一緒に読むことも勧めている。

読者からは、「世の中には搾取する人間が一定数いることを知ってほしい」「心と身体を守る術を学ぶ機会が必要だ」という声も寄せられた。本書「娘がパパ活していました」は、2025年2月15日に発売されている。家族や身近にいる大切な人のことを思いながら、読み進めてみてほしい。

取材協力:グラハム子(@gura_hamuco)

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