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写真家の三好和義さんが愛する屋久島。その森に日本庭園の原形を見出して

  • 2026.2.9
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屋久杉で知られる屋久島は、九州最高峰の宮之浦岳(標高1936m)が聳(そび)え、大半が原生林で覆われた周囲約130kmの島です。亜熱帯から亜寒帯までの、多様な植生の垂直分布が見られ、1993年には日本初の世界自然遺産に登録されました。原始の森で過ごす時間、それは何にも代えがたい極上のウェルネスそのものです。

1990年初頭の頃に屋久島を訪れた写真家の三好和義さんに、そのエピソードを伺いました。

<Profile>
三好和義(みよしかずよし)/写真家
1958年、徳島県生まれ。14歳で写真家を志し、’85年のデビュー写真集『RAKUEN』で木村伊兵衛賞を最年少(当時)で受賞。2000年には大型豪華写真集『世界遺産 屋久島』を発表。近年は「東大寺」「法隆寺」「室生寺」をはじめ、日本各地の古社寺の撮影にも精力的に取り組む。

屋久島が教えてくれた日本の伝統美

<strong>白谷雲水峡<br></strong>「白谷雲水峡」は、白谷地区の標高600mから1000m前後にかけて広がる原生林にあり、映画「もののけ姫」の舞台としても知られています。屋久杉を中心とした原始の森と、白谷川の渓流沿いの散策コースを楽しみます。 三好和義(楽園)

海辺の景色を主に撮影してきた私が、次に撮影してみたいと思ったのは森でした。アマゾンをはじめ世界中の森の様子を調べた結果、理想の森林として候補となったのが屋久島です。1990年初頭の頃でした。

撮影はアシスタント2名、ガイド2名の計5人での1週間ほどのテント生活です。それは私にとって初めての経験でしたが、とても楽しく、屋久島の大自然の虜ともなる1週間でした。以来、四季折々幾度か足を運び写真集も作っています。

雨が多く、湿度も高いためにカメラが動かなくなることも何度かありますが、原生林が作る景色から思い浮かべたのは日本庭園です。重なった岩の景観を喜び、コケの緑を愛で、水の流れを楽しむ。屋久島の原生林の風景こそが、日本庭園の原形なのでは、そんなことに気が付いたのです。その気付きは、日本の美しさを撮影してみたい、という思いへつながり、京都御所をはじめとする庭園や、室生寺などの寺院の撮影となって実現しています。屋久島の森で過ごした時間は、日本の伝統美へと私の興味が移っていく、大きな転機となったといえるかもしれません。

<strong>縄文杉<br></strong>縄文杉とは、標高1300m付近の屋久島の山中に根を張る最大級の杉の一個体に付けられた名称。約2000年から約7000年の間の樹齢と推定されています。 三好和義(楽園)

初出:リシェスNo.54 2025年11月28日発売

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