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「NHKすごいな…」「民放では作れないんじゃないか?」“大胆な挑戦”に視聴者衝撃…輝かしい“受賞歴”が示す“確かな完成度”

  • 2026.2.18

ドラマや映画の中には、放送をきっかけに大きな話題を呼び、記憶に刻まれる作品があります。今回は、そんな中から「快挙を遂げたNHKドラマ」を5本セレクトしました。本記事ではその第4弾として、特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』(NHK総合)をご紹介します。“生理”という、長らくテレビドラマではタブー視されがちだったテーマに正面から切り込んだ本作。炎上した父と、それを恥じる娘が繰り広げる、可笑しくも愛おしいラップバトルとは――?

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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東京ドラマアウォード2023授賞式に出席した上坂樹里(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』(NHK総合)
  • 放送日:2023年3月24日
  • 出演:原田泰造(光橋幸男 役)ほか

主人公は、生理用品メーカーの広報マン、光橋幸男(原田泰造)。高校生の娘・花(上坂樹里)と中学生の息子・嵐(齋藤潤)を育てるシングルファーザーです。

半年前、「生理についてよく知ろう!」と呼びかける動画がバズり、"生理のおじさん"として活動しています。一躍人気者となった父親に、思春期の娘・花は複雑な思いを抱いていました。

生放送の情報バラエティで、コメンテーターの北城うらら(菊地凛子)から「あなたは女性のことを全然分かってない」と挑発された幸男は、思わず「僕は娘の生理周期も把握している!」と発言してしまいます。

会社にはクレームが殺到し、学校でいじられた花は家出してしまいました。激しく落ち込む幸男…。はたして、幸男は炎上を乗り切り、愛娘の花と仲直りできるのでしょうか――。

吉田恵里香×原田泰造―“生理”を描いた大胆な挑戦作

本作は、ドラマ『恋せぬふたり』で第40回向田邦子賞を受賞した脚本家・吉田恵里香さんと、演出・橋本万葉さんが手掛けたオリジナルドラマです。後に社会現象となった2024年の連続テレビ小説『虎に翼』を生み出すことになるこの二人に加え、大河ドラマ『いだてん』や『鎌倉殿の13人』などを制作してきた強力なスタッフ陣が集結しました。

主演をつとめたのは、お笑いトリオ・ネプチューンの原田泰造さん。生理用品メーカーの情熱的な広報マンとして、「生理についてよく知ろう!」と呼びかける"生理のおじさん"こと光橋幸男を熱演しました。そんな父に反発する娘・花役には、オーディションで選ばれた上坂樹里さんが抜擢され、その高い演技力が話題に。

ほかにも、幸男の部下・橘正樹役に三山凌輝さん、幸男と対立するコメンテーター・北城うらら役に菊地凛子さん、花の弟・嵐役に齋藤潤さん、語りに麻生久美子さんと、実力派キャストが集結しています。

そして、本作を語る上で外せないのが、クライマックスで父と娘が互いの思いをラップバトルでぶつけ合うユニークな演出です。その挑戦的なテーマと誠実な制作姿勢が高く評価され、第60回ギャラクシー賞奨励賞や、東京ドラマアウォード2023優秀賞(単発ドラマ部門)を受賞しました。まさにドラマ界に一石を投じた挑戦作です。

連続テレビ小説『虎に翼』との対比を感じさせる場面も

本作の見どころは、綺麗事だけでは済まされない“生理”のリアルを、ユーモアと切実さを交えて描き出した点にあります。

脚本家の吉田恵里香さんは、2024年9月13日に公開された『Numero TOKYO』のウェブインタビューで、出産シーンについて

女の人が汗をかいて陣痛に苦しむことを『感動』として消費されていることに抵抗があります出典:『虎に翼』吉田恵里香インタビュー「生理を描く覚悟」『Numero TOKYO』 2024年9月13日

と語り、生理の描かれ方についても、1回やったら終わりという消費の仕方に強い嫌悪感を覚えるなど、ドラマの都合で女性の身体的負担を「消費」しないという一貫した姿勢を示しています。

この言葉通り、吉田さんのポリシーは、後の連続テレビ小説『虎に翼』(2024年)で色濃く反映されています。特に話題となったのが、主人公・寅子が生理痛の重さを訴える姿と、男子学生が股間を蹴り上げられる場面が同じ週に描かれたことでした。

視聴者からは、対比になっているのではないか、との声も聞かれ、「当事者とそうでない人の間にある深い溝」を象徴するシーンとして共感を呼びました。

連続テレビ小説『虎に翼』で問われた「他者の痛みへの想像力」というテーマは、実は本作ですでに描かれていたのです。

本作を観た視聴者からも「虎に翼と重なって胸アツ」「吉田恵里香の最高傑作」といった称賛の声が多数寄せられています。『虎に翼』の“エピソード0”とも呼べる本作は、そのメッセージの深さを知るためにも、今こそ見返すべき一作と言えるでしょう。

“分かりたい父”と“拒む娘”―ラップバトルに込めた本音

本作が描くのは、「分かり合えない者同士が、どう寄り添うか」という普遍的なテーマです。

原田さん演じる幸男は、「娘の生理周期も把握している」と生放送で発言し、大炎上してしまいます。

それは彼なりの愛情でしたが、娘の花にとってはデリカシーのない暴力でもありました。「理解したい父」と「放っておいてほしい娘」。この決定的なズレを通して、本作は「分かり合えない他人同士が、どう寄り添うか」という普遍的な問いを投げかけます。その繊細かつリアルな描写には、「テーマもキャラも心に刺さった」と深く共感する人が続出しました。

そして、物語のクライマックスを飾るのが、ラップバトルを通して互いの感情をぶつけ合うシーンです。説教臭くならずにエンターテインメントとして昇華させた手腕は圧巻で、「光橋家のラップバトルが最高」「最初から最後まで惹きこまれた」と絶賛されました。

わずか73分という単発ドラマながら、その密度と完成度は圧倒的です。生理というデリケートなテーマを真正面から扱いながらも、重苦しさに陥ることなく、ユーモアと温かさを織り交ぜた語り口で観る者を惹きつけ、最後には涙を誘う極上のヒューマンドラマに仕上がっています。

そのあまりの面白さゆえに「特集ドラマなのが残念」「毎週見たかった」と、一夜限りの放送を惜しむ声が上がる一方で、「この長さでこんなに面白いドラマは初めて」「最初から最後まで惹きこまれた」「さすがNHK「NHKすごいな…」「民放では作れないんじゃないか?」と称賛や衝撃を受けた視聴者の声が続出しました。既存の価値観を揺さぶり、公共放送の新たな可能性を切り拓いた本作は、まさに「快挙を遂げたNHKドラマ」の名にふさわしい傑作です。


※記事は執筆時点の情報です