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連載終了から8年 “アニメ化決定”に相次いだ歓喜→「待ってほんとに?」「涙とまらん」制作陣の“原作愛”が生んだ完成度

  • 2026.2.20

「まさか今、この作品が動くなんて」――数年の沈黙を破って帰ってきたアニメは、懐かしさだけでは終わらない新たな表情を見せています。今回は、そんな“数年ぶりにアニメ化され話題になった作品”を5本セレクトしました。

本記事ではその第4弾として、アニメ『戦国妖狐』(TOKYO MX・ABCテレビほか)をご紹介します。『葬送のフリーレン』などでも知られるEvan Callさんが音楽を担当し、原作漫画の連載終了から8年を経てアニメ化された一作です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(放送局):アニメ『戦国妖狐』(TOKYO MX・ABCテレビほか)
  • 放送期間:2024年1月10日~2024年4月3日(世直し姉弟編)、2024年7月17日~2024年12月25日(千魔混沌編)

時は永禄7年、闇(かたわら)と呼ばれる魑魅魍魎・妖怪変化たちが息づく戦国時代。齢200年を生きる人間好きの妖狐・たま(CV:高田憂希)と、義姉弟となった仙術使いの少年・迅火(CV:斉藤壮馬)は“世直し姉弟”を名乗り、障怪(さわり)退治の旅をしていました。旅の最中、障怪退治を生業とする僧兵集団・断怪衆(だんがいしゅう)と関わった姉弟は、彼らが障怪に対抗するため、人と闇を人為的に融合した霊力強化改造人間を集めていることを知ります。

断怪衆の行いに怒りを覚えたたまと迅火は、自称浪人・兵頭真介(CV:木村良平)と、断怪衆から脱走した霊力強化人造人間の少女・灼岩(CV:黒沢ともよ)とともに、断怪衆総本山へと乗り込みます。対する断怪衆は、“闇喰い人”を自称する剣士・雷堂斬蔵(CV:東地宏樹)と、霊力強化人造人間精鋭・四獣将を差し向けたのでした。

二部構成で描かれる戦国バトルファンタジー

アニメ『戦国妖狐』は、人と闇が同じ時代を生きる世界で、相反する価値観を抱えた義姉弟が旅を通して変わっていく、骨太な成長ストーリーが見どころとなっています。たまと迅火は、善意だけでは片づかない乱世の現実に足を踏み入れ、断怪衆が進める人と闇を融合させる非道な実験と対峙していきます。

バトルの気持ちよさはもちろん、勝つための力が誰かを守る力でもあり、誰かを傷つける力でもあるという二面性を、キャラクターたちの選択によってていねいに描くのが本作の強みです。怖がりの剣士・真介や、過酷な運命を背負った灼岩たちが加わることで、正義の形がますます揺さぶられ、ドラマは加速します。

さらに、第一部“世直し姉弟編”から第二部“千魔混沌編”へとスケールが広がっていく“大河感”も大きな魅力。全3クールでのアニメ化という構成が、旅の時間や関係の変化をしっかりと伝えてくれるのです。

再構築から感じられる“原作愛”

本作は、2008年から2016年まで『月刊コミックブレイド』や『MAGCOMI』(マッグガーデン)にて連載された水上悟志先生による漫画を原作としています。連載終了後から8年を経てアニメ化された『戦国妖狐』についてSNSでは「待ってほんとに?」「涙とまらん」との声があがりました。

アニメ『戦国妖狐』の音楽を務めたのは、Evan Call(エバン・コール)さんです。Evanさんは『葬送のフリーレン』『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』といったアニメ作品のほか、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の音楽も担当。彼が生み出す壮大な音楽は、本作が持つ和風ファンタジーの世界観にもマッチしています。

また、アニメ・声優系の総合情報サイト“アニメイトタイムズ”のインタビューにて、たま役を務める高田憂希さんは、3クールで構成された本作について以下のようにコメントしています。

アニメに参加させていただくことになった時、全3クールとお聞きしてすごくビックリしました。それでも全17巻、約100話あるお話を3クールにまとめるのは大変だろうなと思いましたが、台本を読むと取捨選択しながら原作に沿いつつ、アニメで初めて触れる方にも楽しんでいただけるように工夫されているのがわかりました。
出典:『冬アニメ『戦国妖狐』第一部「世直し姉弟編」斉藤壮馬さん(迅火役)×高田憂希さん(たま役)インタビュー|キャスト・スタッフ陣の作品愛にあふれたアニメ。「魂を出し尽くした」第一部ラストまでぜひ見てほしい』アニメイトタイムズ 2024年1月10日

第3話にて登場するたまと迅火の父親のシーンは、原作では後半に出てきます。しかし、あえて序盤で描いたことで、それぞれのキャラクターの想いを対比することができ、わかりやすくなっています。物語の流れを違和感なく変更するのは、原作を熟読して深く理解していないと難しいでしょう。3クールにまとめるうえで行われた再構築から、アニメ制作陣の作品愛が伝わってくるのです。

本作の壮大さと切なさを行き来する音楽は、心にじんわりと残ります。加えて、原作の魅力を損なわない作りから感じられるのは、確かなリスペクト。だからこそアニメ『戦国妖狐』は、最後まで見届けたくなる物語になっているのです。


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari