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94歳の現役フラメンコダンサー【小松原庸子さん】80歳で患った大病からも2カ月半のリハビリで復帰!

  • 2026.1.26

94歳の現役フラメンコダンサー【小松原庸子さん】80歳で患った大病からも2カ月半のリハビリで復帰!

日本を代表する舞踊家の一人で、日本のフラメンコ界の第一人者でもある小松原庸子さん。80代で患った変形性膝関節症の激痛も克服し、今も後進の指導と、新作の創作に意欲を燃やす。その情熱を支える健康の秘訣を聞いた。

お話を伺ったのは
小松原庸子さん(94歳)スペイン舞踊家、フラメンコダンサー

こまつばら・ようこ●1931年東京・柳橋生まれ。
邦楽一家に育ち、幼い頃から三味線、日本舞踊、クラシック・バレエなどを習い、15歳で小牧バレエ団に入団。俳優座で演劇活動も始める。
60年に単身スペインに渡り、エンリケ=エル=コホらにフラメンコを学び、ステージに立つように。帰国後の69年、小松原庸子スペイン舞踊団を結成。
受賞歴は芸術祭舞踊部門大賞、文化庁最優秀舞台、スペインのジェラルド・ブレナン賞など。96年には紫綬褒章、2004年に旭日小綬章、09年にスペインのイザベル女王勲章エンコミエンダ章受章。

カスタネットの練習は欠かさない

今までに患った一番大きな病気は変形性膝関節症。

「フラメンコは踊りながら足を踏み鳴らしますから、腰や股関節に負荷がかかるんです。80歳を過ぎて変形性膝関節症になり、死ぬほど痛かった。約半年は車いすが欠かせなくて……。でも、いいお医者さまに巡り合えて、手術してもらったら、また踊れるようになりました。リハビリは2カ月半ぐらいしましたよ。きちんとリハビリをしたおかげで、それ以来、痛みもなく、先生には心から感謝しています」

普段、筋トレなどはしているのだろうか?

「筋トレはしたことないです。そんな必要もないですよ(笑)。フラメンコをやっていたら、それが全部筋トレになっていますから」

朝、起きると無意識に伸びをし、テレビで体操番組をやっていたら一緒にやることもあるのだそう。

「この2カ月くらい体調を崩して、フラメンコの基礎練習をサボっていましたが、だいぶよくなってきたので、再開しなくちゃ。パリージョ(カスタネット)の練習もしないと指が動かなくなっちゃう」

フラメンコでは、踊りながらパリージョでリズムを刻み、豊かな感情表現をすることがある。両手の指をそれぞれ素早く動かしながら、パリージョを鳴らす。老化防止にも効果がありそうだ。

「カスタネットは、ベティ(ビクトリア・エウヘニア)先生に教えていただきました。30歳でスペインに行き、初めてフラメンコを習った恩師です」

小松原さんの健康習慣

指先を動かすことも健康の秘訣

フラメンコを踊りながらリズムを刻むパリージョ(カスタネット)。小松原さんは、その練習にも余念がない。左右別々に素早く動く指先。乾いた小気味よい音が響き、気分が高揚してくる。指先を動かすことで、結果的に脳にもいい影響がありそうだ。

「ちょっと練習をサボると指が動かなくなっちゃうのよ」。生きている限り、昨日より少しでも上達したい、今もその気持ちは変わらない。

スペインでの最初のフラメンコの恩師ベティ先生(写真右)と小松原さん。「エリザベス・テイラーのように美しい先生でした」

手作りのポーチに入れてベティ先生がプレゼントしてくれたパリージョ。鳴らすたびに、60年前の初心がよみがえるという。

生まれ変わってもフラメンコを

最近は、自ら踊るより教えることが中心になっている。

「教えることの素晴らしさは父から学びました。父は三味線の師匠で、音色にはとても厳しかったですが、弟子をたいそうかわいがる人でした」

指導した生徒たちが上達して舞踊団に入り、いい舞台をやってくれるときが最高に幸せだと言う。

「作品を創ることにも情熱を注ぎました。演出指導を受けたいという人にはできるだけの力でありったけ丁寧に教えてきたつもりです」

2026年は小松原さんがフラメンコの舞台を始めて60年。

「記念公演をやりたいと思っているんです。あとひとつ、いい作品を創りたい」

教え子たちの舞台を見届け、最後に自分も踊って、あとは継いでくれる人に託したいという。

「舞台が終わったところで、『それじゃあね』といなくなれたら最高だと思うの。私の人生は舞台とは切り離せない。幼い頃、歌舞伎座の楽屋で育って、演じることや踊ることが体にしみ込んでいるんです」

生まれ変わっても、またフラメンコをやりたいか、聞いた。

「次はもっといいフラメンコダンサーになりたい。もっとキレのある踊り手に」

どこまでも表現者であり、どこまでも成長を願う人だ。好きなことに全身全霊で打ち込み、「もっと、もっと」と前進する。

「その情熱が失われないことが元気の秘訣かもしれませんね」

レッスン場でフラメンコの指導をする小松原さん。普段の柔和さから一転、90代とは思えない凛とした叱咤の声が飛ぶ。

撮影/神ノ川智早

※この記事は「ゆうゆう」2026年2月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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