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「美容医療より照明を変えてみて」! ヘレン・ミレンが教える、鏡の前で落ち込まないための極意

  • 2026.1.25
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ヘレン・ミレンはFワードでさえも歌うように、いたずらな笑みを浮かべて口にする。その演技は美しく大胆不敵だ。

次回作の映画『Switzerland(原題)』では犯罪小説家パトリシア・ハイスミスを演じることが決まっているヘレンは、現在80歳。「ロレアル パリ」のグローバルアンバサダーを長年務める彼女は先月ロサンゼルスで開催された同ブランドの「Women of Worth」ディナーに出席。女性主導の非営利団体へ20年間で数百万ドルを寄付してきた功績を称えるイベントに出席した。

そのイベントに先立ちヘレンはUS版『ELLE』のインタビューに応じた。語られたのは永遠の若さを追い求めるテック業界の男性たち(テックブロス)の無益さ、厳格な美容ルーティンを持たないことの喜び、そしてフェイスリフトの極意は実はバスルームの照明にあるかもしれないという持論についてだ。

Maarten De Boer

「老い」とは「成長」

―あなたにとって「ロンジェビティ(長寿)」とは何を意味しますか。

「私にとって長寿とは、人生の長い時間をかけて活動的かつ自発的、そして生産的であり続けることを意味します」

「生きるとは、人生における具体的な喜びを享受すること。自然の美しさや、運よく仕事で成功できた時の高揚感、そして家族や子供たちとの時間。つまり、可能な限り長く、あらゆる方法で社会に貢献し続けること。それが私の定義です」

「人生は有限です。これに抗うことはできません。たとえ50年後に目覚めることを期待して自らを氷漬けにする人々がいたとしてもです。それは夢であり幻想に過ぎません。私にはとても奇妙なことに思えます。私は年齢を重ねることを老いとは呼ばず、成長と呼んでいます。人は人生を通じて常に成長し続けるものですから。しかし自分が老いて死ぬという現実に向き合えないテック業界の人々はそれに耐えられないのでしょう。とても滑稽だと思います。彼らはまだ大人になっていないだけなのです」

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ロンジェビティという言葉について

ー美容の文脈においてロンジェビティという言葉はあなたにとって何を意味しますか。最近、多くの製品でこの言葉を見かけるようになりました。

「でもそれって単なるバズワードでしょう? アンチエイジングという言葉がどこか時代遅れでカッコ悪いとされているから、代わりに使われている新しい言葉に過ぎません。ただ、長寿のほうがより適切な表現かもしれませんね。なぜならそれは、確かに人は老いていくものだけれど、新しい理解や知識を得ながら、ポジティブかつ創造的に年齢を重ねることができるという意味を含んでいるからです」

整形手術を勧められて

―かつて、20代の頃に鼻の整形手術を受けるようプレッシャーをかけられたけれど断った、とおっしゃっていましたね。何があなたを思いとどまらせたのですか。

「当時は全く異なる時代でした。だからこそ社会が変化し、多様なセクシュアリティや身体的特徴、人種が受け入れられるようになるまで長生きできて本当によかったと思っています。今の世界は私が20代前半だった頃とは大きく様変わりしましたから」

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「プレッシャーというほどではありませんでしたよ。ただ、ある映画監督に『鼻を直さなければキャリアは築けないだろう』と言われただけ。まったく愚かな男でした。あの素晴らしく才気あふれるバーブラ・ストライサンドの横顔を見てください。力強く意志があり、そして紛れもなく美しい。もし彼女が何らかの整形手術を受けていたとしたら、それは惨劇だったでしょうね」

「ちなみに言っておくと、私は美容整形に反対しているわけではありません。そこははっきりとさせておきたいのです。もしそれで本人が幸せな気分になれるなら、やればいい。自分の顔の一部を嘆いて惨めな気持ちで過ごすには、人生はあまりにも短すぎますから」

フェイスリフトよりバスルームの照明

―若くしてフェイスリフトを受ける人々が増えていることについて、多くの議論がなされています。これを見てどう感じますか。

「そうですね。もし女性であれ男性であれ、鏡を見てひどく自信を喪失したり打ちのめされたり、あるいは鬱々とした気分になっていて、それを変えるだけの経済力や精神的な余裕があるのならそれは構わないと思います」

「ただソーシャルメディアや加工アプリの影響で現実の自分を見て文字通り落ち込んでしまうのだとしたら、それは本当に、本当に悲しい状況だと思います」

「手術など何か大きな決断をする前に、まずはバスルームの照明を最高のものに変えてみなさい。そうすれば鏡を見るたびに美しく照らされ、自分が素晴らしく見えるはずです。そう感じられたら、あとの細かいことなんてどうでもよくなるものよ。最後に見た自分の姿について『あら、私って最高にファビュラス』と思えれば、そのまま胸を張って出かけられるでしょう?」

「フェイスリフトを受けるよりずっと安上がりですしね。バスルームの照明については冗談ではなく本気で言っているんですよ。悪い照明は本当に気分を滅入らせますから。ただ20代で美容整形を受けるのは大きな間違いだと思います。顔は年齢とともに変化していくものです。その人が幸せになるために選んだことを批判したり攻撃したりするのは好きではありません。でも、加工された偽物の写真のような顔になろうとするのは、恐ろしいことだと思います」

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スキンケア・ミニマリスト

―美容のルーティンをほとんど持っていないというのは本当ですか。

「ええ、本当にないんですよ。洗顔をして顔を清潔にする。そして毎朝晩、保湿クリームを塗るだけ。正直なところ、複雑な工程は一切ありません。その辺にあるものを適当に手に取って使うだけです」

「もちろん、その99%は『ロレアル パリ』製品ですけどね。驚きでしょう(笑)私はこのブランドのアンバサダーであることをとても誇りに思っています。なぜなら製品が徹底的に研究され、先進的でありながら、手頃な価格だからです。大多数の人々が経済的に手の届かないようなブランドや製品とは関わりたくありませんでしたから」

「私はドラッグストアのコスメ売り場が大好きな“ジャンキー”なんです。何故だかわからないけれど、新しいリップライナーを見つけるとすごくワクワクしてしまう。それはいつだってドラッグストアにあるものです」

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美の定義に抗う

―あなたはよく“ステレオタイプな美の定義に抗う人物”だと評されます。それは常にあなたの使命だったのでしょうか。

「役を演じるというのは素晴らしいことです。俳優であることの醍醐味と哲学は、全く異なる世界に入り込めることにあります」

「パトリシア・ハイスミス、ゴルダ・メイア、映画『シャザム!』のローマの女神、犯罪組織の女家長、そしてドラマ『1923』での開拓地の女性。そうした驚くほど異なる世界や外見、そして人間と宇宙との繋がりに踏み込んでいくわけです。そうなると必然的に、そうした文脈の中では凝り固まった態度ではいられなくなります」

「メイクアップアーティストに『つけまつげがないと無理』とか『この色のリップじゃないと死んじゃう』なんて言えませんから。むしろ、極端な変化に身を委ねなければならない。そうした姿勢は、おそらく人生そのものにも通じているのだと思います」

「撮影などでメイクアップアーティストと仕事をする時も、私は決して彼らに指示を出しません。『あなたのやりたいようにやって。インスピレーションのままに』と伝えます。結局のところ、私たち一人の人間が持つ想像力には限りがあるからです。他者の想像力や創造性を体験し、彼らに自由に創作させて、そこから学ぶことの方がずっと刺激的でしょう。私は常にそうした姿勢でいます」

Realization : Kathleen Hou Translation & Text : Nathalie Lima KONISHI

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