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看護師の私が、義父の「最期の世話」をさせてもらえなかった理由は──言葉なき『最高の親孝行』の形

  • 2026.1.4

訪問看護師として働く私。技術と経験には自信があり、義父の看取りが決まった際も「私が完璧なケアをして恩返しをする」と意気込んでいました。しかし、義父は私の申し出を頑なに拒否します。その理由とは? 友人が、体験談を語ってくれました。

画像: 看護師の私が、義父の「最期の世話」をさせてもらえなかった理由は──言葉なき『最高の親孝行』の形

看護師の私だからこそできる「最高の親孝行」

私は訪問看護師として働いています。

お年寄りのケアは天職だと思っており、技術と経験には自信がありました。

だからこそ、離れて住んでいた義父の病気が分かり、在宅での看取りが決まった時、真っ先にこう思ったのです。

「お義父さんの最期は、私がこの手で看てあげたい」

今までお世話になった恩返しができる。プロの私なら、床ずれも作らせないし、痛みもコントロールできる。体を拭いて清潔にする清拭(せいしき)だって誰より上手にしてあげられる。

私の頭の中には、完璧なケアプランが出来上がっていました。他人に任せるより、家族でありプロである私がやった方が、義父も安心するはずだ。そう信じていました。

頑固な義父がケアを拒んだ、切実な理由

しかし、私の申し出に対する義父の反応は、予想外のものでした。

「Aさん(私)には、世話になったらいかん。他人のほうが気楽だ」

義父は頑として首を縦に振りませんでした。

「仕事なんだから慣れています」「他人より家族の方がいいでしょう?」と食い下がりましたが、義父は「嫁に迷惑はかけられない」の一点張り。

最初は、私の技術が信用されていないのかと寂しく、どこか虚しい気持ちにもなりました。しかし、何度も言葉を交わすうちに気づいたのです。

私にとっては「日常的な医療行為」でも、義父にとっては「息子の嫁に、下の世話や弱りきった姿を見せる」という、耐え難い恥じらいがあるのだと。

私が選んだ「何もしない」というケア

義父は、最期まで私に対して「威厳ある義父」でいたかったのでしょう。

私の「やってあげたい」という気持ちは、プロとしての自負が先走った看護師としてのエゴだったのかもしれない。

義父の最後のプライドを守ることこそが、今の私にできる一番のケアなのだと、自分を納得させました。

結局、義父のケアは地域の看護師さんにお任せし、私はただの「家族」として、枕元で手を握りました。

亡くなる直前まで、「世話かけたな」とは言わず、「仕事に行け」と私を気遣った義父。

最期の最期まで、頑固で優しい「お義父さん」を貫き通したその生き様には、プロの私も脱帽したのでした。「何もしない」という選択が、私たちがたどり着いた最高の親孝行の形だったのだと、今では胸を張って言えます。

【体験者:50代・女性看護師、回答時期:2025年12月】

※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

FTNコラムニスト:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。

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