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「NHKアニメの最高傑作」放送終了から19年、今なお「神作」として“評価され続ける”至高の一作

  • 2026.1.21

NHKのアニメには、不思議な余白があります。派手に泣かせたり笑わせたりしないのに、観終わったあとに少しだけ世界の見方が変わっているのです。今回は、そんな中から“NHKの傑作アニメ”を5本セレクトしました。

本記事ではその第4弾として、アニメ『精霊の守り人』(NHK-BS2)をご紹介します。上橋菜穂子さんによる原作のシリーズ累計は460万部を突破している、子どもから大人まで愛される作品です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(放送局):アニメ『精霊の守り人』(NHK-BS2)
  • 放送期間:2007年4月7日~2007年9月29日

100年に一度卵を産む水の精霊に卵を産みつけられ、“精霊の守り人”としての運命を背負わされた新ヨゴ皇国の第2皇子・チャグム(CV:安達直人)。そのチャグムを疎ましく思う父帝の追っ手から、女用心棒・バルサ(CV:安藤麻吹)はチャグムを守るよう母妃に託されます。追っ手やさまざまな謎が、バルサとチャグムの前に立ちはだかるのでした――。

リアリティのある緻密につくり上げられた世界観

本作のいちばんの見どころは、ファンタジーなのに現実の手触りがある世界観です。舞台となる新ヨゴ皇国は架空の国でありながら、そこに息づく文化や食べ物、身分制度といった緊張感までもがとても具体的で、ただの異世界ではなく本当にどこかにある国のように感じられます。この世界観の厚みが、物語への没入感をぐっと高めてくれるのです。

主人公であるバルサもまた、この作品の大きな魅力。圧倒的な槍の腕前を持ちながら、彼女の本質は“誰かを守りたい”というやさしさにあります。過去の罪と後悔を抱えながら、命をかけてチャグムを守る姿は、必死に生きているひとりの大人として胸に響きます。

そして物語の核にあるのは、精霊と人間、自然と国家といった対立です。チャグムの体に宿った水の精霊の卵は災いとされ、国は彼を亡き者にしようとしますが、そこに絡んでくるのは長年信じられてきた神話と、都合よく歪められた政治の思惑。激しい戦いの合間に描かれる焚き火の温もりや、人と人が言葉を交わす時間が、命の尊さをより際立たせています。

上橋菜穂子さんがバルサを“30歳”に設定した理由

『精霊の守り人』は、『獣の奏者』『鹿の王』を代表作とする上橋菜穂子さんによる小説を原作としています。“守り人シリーズ”と呼ばれ、シリーズ累計は460万部を突破。第34回野間児童文芸新人賞第44回産経児童出版文化賞・ニッポン放送賞など、多数の賞を受賞しており、国内外から高い評価を得ている点も大きな特徴です。

また、2016年よりNHK放送90年大河ファンタジーとして、綾瀬はるかさん主演のドラマも放送されました。『精霊の守り人』についてSNSでは「言わずと知れた名作」「NHK名作アニメ」「NHKアニメの最高傑作」「神作」との声があがりました。

本作の主人公であるバルサは30歳。上橋さんが物語の草稿を担当編集者に見せたとき、このキャラクター設定が原因で怒られたそうです。しかし、“精霊の守り人・「守り人」シリーズ 公式サイト”にて上橋さんは、『精霊の守り人』と30歳のバルサについて以下のようにメッセージを寄せています。

若さの名残を残してはいるけれど、もう若い娘ではない。世間の裏の裏まで見てきた、経験豊かな大人の女が、閉じた宮のなかで神の子孫として育てられていた、無垢な少年を守って闘う、そういう話が心に浮かんできて、その物語を書きたいという衝動に突き動かされるようにして、一気呵成に書き上げた物語なのです。
出典:『精霊の守り人・「守り人」シリーズ 公式サイト|上橋菜穂子 - 偕成社』

突如として上橋先生の頭のなかに浮かんだ、バルサのイメージ。それがきっかけで、『精霊の守り人』は生まれたそう。熟練の女用心棒とまっすぐな少年の物語を描いた本作は、幅広い世代から愛され続ける傑作です。


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari