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「よくNHKで放送したな」「開始5分で強烈」NHKが実現した“至極の完成度”…放送終了後も「神アニメ」と称される名作

  • 2026.1.16

NHKのアニメには、不思議な余白があります。派手に泣かせたり笑わせたりしないのに、観終わったあとに少しだけ世界の見方が変わっているのです。今回は、そんな中から“NHKの傑作アニメ”を5本セレクトしました。

本記事ではその第1弾として、アニメ『チ。―地球の運動について―』(NHK総合テレビ)をご紹介します。原作漫画は数多くの賞を受賞しており、静かで熱いセリフが心を揺さぶる傑作です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(放送局):アニメ『チ。―地球の運動について―』(NHK総合テレビ)
  • 放送期間:2024年10月5日~2025年3月15日

舞台となるのは、15世紀のヨーロッパ某国。飛び級で大学への進学を認められた神童・ラファウ(CV:坂本真綾)は、周囲の期待に応え、当時もっとも重要とされていた神学を専攻すると宣言します。しかし、以前から熱心に打ち込んでいた天文への情熱を捨てられずにいました。

ある日、ラファウはフベルト(CV:速水奨)という謎めいた学者と出会います。異端思想に基づく禁忌に触れたため拷問を受け、投獄されていたというフベルト。彼が研究していたのは、宇宙に関する衝撃的な“ある仮説”でした――。

『チ。』が描く“人間ドラマ”と“継承”

『チ。―地球の運動について―』(以下、『チ。』)の見どころは、“地動説”という一見すると学術的で難しそうなテーマを、人間ドラマとして燃え上がらせている点にあります。舞台は天動説が絶対視される時代。真理を探ろうとすること自体が罪になりかねない世界で、人は何を信じ、何を守り、何を捨てるのか。派手なバトルがなくとも、観ている側の心臓がじわじわと締めつけられるような緊張感があります。

また、本作は天文学の話をしているようで、じつは思想の継承を描いています。ある人物が命を懸けてつかんだ仮説や情熱が、べつの誰かへと受け渡され、形を変えながら生き延びていく。その連鎖が、視聴者の胸を強く打ちます。

そして何より心をつかまれるのは、登場人物たちがけっして英雄ではないこと。迷い、時には裏切りながらも、それでもなお“知りたい”という衝動から逃れられない普通の人々が、歴史をほんの少しだけ動かしていく。その姿が、いまを生きる私たちにも重なるのです。

数々の名言と、実力派声優陣が生み出した説得力

魚豊先生による『チ。』の原作漫画は、第26回手塚治虫文化賞でマンガ大賞、『マンガ大賞』では2021年、2022年と連続入賞を果たすなど、数々の賞を受賞しています。また、松山ケンイチさんやキタニタツヤさんといった著名人も本作のファン。『チ。』についてSNSでは「よくNHKで放送したな」「歴史に残る大傑作」「NHK流石だわ」「開始5分で強烈」「神アニメ」との声があがり、放送終了後も称賛する声が相次いでいます。

なぜ、本作はこれほどまでに多くの人を惹きつけるのでしょうか。その理由のひとつとして、数多くの“名言”があります。たとえば、ラファウが言った「感動は寿命の長さより大切なものだと思う」という言葉や、ヨレンタによる「この世は、最低と言うには魅力的すぎる」というセリフ。どれも心に残る美しさと感動があるのです。

カルチャーメディア“リアルサウンド映画部”によるインタビューにて、魚豊先生は『チ。』のセリフについて以下のようにコメントしています。

理屈っぽく聞こえるけど面白いセリフを意識していました。分かりやすくはしたいと思ってましたが、できるだけ冷たく、簡単には言わないという姿勢が見えるように。聞こえる言葉の冷たさの中に、目に見えないアツさがあることを描きたかったんです。
出典:『魚豊が語る、創作の原点と『チ。』アニメ化への思い 「音楽で作品の成功率は90%上がる」』リアルサウンド映画部 2025年3月8日

キャラクターが発する言葉からは、静かながらも確かな“熱”が伝わってきます。そして、坂本真綾さんや津田健次郎さん、中村悠一さんといった実力派声優陣によって、セリフに力強い説得力が生まれているのです。

本作は、科学の物語であると同時に、人間が考えることをやめなかった物語でもあります。観終わったあとに夜空を見上げると、きっと登場人物たちの信念とともに歩んだ生涯に思いを馳せてしまうことでしょう。


ライター:まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムやレビュー、映画の作品評を手がける。X(旧Twitter):@kaku_magari