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放送から12年経ても「歴史的傑作」として君臨する至高ドラマ…“圧巻の完成度”に「天下のNHK」称賛の声

  • 2026.1.26

派手な宣伝や視聴率競争とは一線を画しながら、確かな作り込みで視聴者の心を掴んできたのがNHKドラマです。緻密に練り上げられた脚本、役柄に深みを与える俳優陣の演技、そして映像や音楽まで含めた総合的な完成度。これらすべてが高い次元で噛み合ったとき、作品は“ただのドラマ”を超え、強烈な余韻を残します。

今回は、放送当時から現在に至るまで高い評価を受け、「完成度の高さ」において語り継がれてきたNHKドラマを5作品セレクトしました。静かに、しかし確実に心を揺さぶる名作の魅力を、あらためて振り返っていきます。

本記事の第5弾としてご紹介するのは、ドラマ『紙の月』(NHK総合)です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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映画「35年目のラブレター」公開記念舞台挨拶 登壇した原田知世(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):『紙の月』(NHK総合)
  • 放送期間:2014年1月7日~2月4日

主人公である専業主婦の梨花(原田知世)は子どもはおらず、夫の正文(光石研)と二人暮らしを送っていました。やがて梨花はわかば銀行でパートタイムで働くようになり、仕事が生きがいになって生活に張りが出てきます。しかし、そのことについて正文は関心を持たず取り合おうともしませんでした。

梨花は次第に孝三(ミッキー・カーチス)たま江(冨士眞奈美)らの高齢の顧客から信頼を得るようになり、大金を預かるようになります。

その後、銀行の資格試験に合格しフルタイムで働き始め給料も上がっていきました。そしてその給料でペアウォッチを購入し、夫にプレゼントするものの、正文は相変わらず梨花にそっけない態度を示します。なんとも釈然としない家庭環境を抱えている中、ある日梨花は光太(満島真之介)という青年から写真を撮らせてほしいと頼まれます。

次第に仲睦まじくなっていく梨花と光太。しかしこの出会いが梨花の人生を大きく狂わせていくことになるとはこの時は当の本人ですら思いもしなかったのです――。

一体、梨花に何が起きたのか。高校時代の友人・岡崎木綿子(水野真紀)中条亜紀(西田尚美)は、梨花が起こした事件をたどるなか、それぞれが抱える心の闇と向き合わざるを得なくなっていきますー。

ドラマ版ならではの主人公・梨花の心理と転落劇の描写

普通の主婦だった梨花が、日常の中で満たされない気持ちを抱えつつ銀行で働くようになり、やがて着服・横領へと堕ちていく過程の心理描写がドラマの中心です。全5回のドラマということで、映画版では描かれなかった緻密な描写や梨花の心理の細やかさが際立って作り込まれています。

ドラマポスターを見てみても、梨花が自分で自分の首を絞める写真が使われており、“梨花”という人物へのフォーカスが強いことが伝わってきます。

SNSでは、「鳥肌が立つような冷たい怖さ」といった声が多く見られます。大声で恐怖を煽るのではなく、淡々と人間の弱さを映し出すからこそ、後を引く恐ろしさが残る――。そんな評価が本作の本質を捉えているといえるでしょう。

愛に飢え、満たされない思いを抱えた人間がたどりつく末路の一つを提示する『紙の月』は、観る者を人間の心の深淵へと引きずり込む力を持っています。

梨花を演じる原田知世の生活臭のある生々しさ

原田知世さんが演じる梨花は、特別に派手でも強烈でもない、どこにでもいそうな女性。しかし、その穏やかな佇まいの奥には、誰にも言えない孤独や欲望が渦巻いています。

彼女のささいな表情の変化や声の揺れが、物語の流れを大きく左右し、観る側を知らず知らずのうちに梨花の内面へ引きずり込んでいきます。

生活感のある佇まい、家事や仕事に追われる疲れがにじむ表情、そして徐々に理性を失っていく過程――そのすべてがリアルで、生々しい説得力を持って視聴者に迫ってくるのです。

ラストに向かうにつれて、梨花の選択を「責めきれない」自分に気づいたとき、観る者はこのドラマの怖さと深さを実感するはずです。本作は、原田知世さんという存在なくして語れない一本と言えるでしょう。

様々なアングルから楽しめる『紙の月』

梨花を取り巻く、銀行の顧客、友人、夫といった人々の存在も、本作に奥行きを与えています。彼ら一人ひとりの価値観や葛藤が丁寧に描かれることで、物語は単なる犯罪ドラマに留まらず、濃密な人間ドラマとして成立しています。

同じ出来事を見ていても、立場や心の状態が違えば受け取り方はまったく異なるその事実を突きつけてくる点も、本作の大きな魅力です。

ドラマ版で『紙の月』の世界に引き込まれた方は、ぜひ原作小説や映画版にも触れてみてください。それぞれ異なる角度から描かれる梨花の姿が、作品の奥行きをさらに深めてくれます。

NHK渾身の傑作ドラマ

派手な事件描写や刺激的な演出に頼るのではなく、日常のすぐ隣に潜む違和感や、心の隙間に忍び寄る危うさを静かに積み重ねていく構成は、観る者の感情にじわじわと染み込んできます。SNSでは、その完成度に「天下のNHK」「歴史的傑作」と語られ、今もなお高い評価を得ています。

主人公・梨花はどこへ向かおうとしていたのか。なぜ、取り返しのつかない一線を越えてしまったのか―。彼女の選択を追体験する時間は、決して他人事ではなく、観る側自身の内面にも問いを突きつけてきます。

逃亡劇のスリルと同時に、人を想うことの脆さ、そして人が人を必要とする理由を深く考えさせる、NHK渾身の傑作ドラマです。


※執筆時点の情報です