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「NHKの至高ドラマ」語り継がれる“群を抜く完成度”…16年前“NHKが生んだ”秀逸作

  • 2026.1.25

派手な宣伝や視聴率競争とは一線を画しながら、確かな作り込みで視聴者の心を掴んできたのがNHKドラマです。緻密に練り上げられた脚本、役柄に深みを与える俳優陣の演技、そして映像や音楽まで含めた総合的な完成度。これらすべてが高い次元で噛み合ったとき、作品は“ただのドラマ”を超え、強烈な余韻を残します。

今回は、放送当時から現在に至るまで高い評価を受け、「完成度の高さ」において語り継がれてきたNHKドラマを5作品セレクトしました。静かに、しかし確実に心を揺さぶる名作の魅力を、あらためて振り返っていきます。

本記事の第4弾としてご紹介するのは、ドラマ『八日目の蝉』(NHK総合)です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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舞台「大逆転!戦国武将誉賑」の製作発表会見に登壇した檀れい(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『八日目の蝉』(NHK総合)
  • 放送期間:2010年3月30日〜5月4日

主人公・野々宮希和子(檀れい)は、同じ会社に勤める秋山丈博(津田寛治)と不倫関係にあり、秋山との子を中絶した際の後遺症により、子どもを産めない体になってしまいます。

しかしその一方で秋山は妻である恵津子(板谷由夏)との間に子どもをもうけていました。それを知ってしまった希和子は絶望の淵に追いやられ、ふとした瞬間に秋山の子どもをさらってしまいます。こうして希和子は、4年にも及ぶ長い逃亡生活を生きていくことになります。

「私はもう、今までの私とは違う。私はこの子の母なのだ。」希和子は自分に言い聞かせるように心にその言葉を刻み込みます。

血のつながらない偽りの親子関係、血のつながりというものを乗り越えた逃亡劇の先に希和子が見るものとは――。物語は現代的な問題をも描きつつ、真正面から母とは何か、女とは何かを問いかけてきます

6話構成だからこそ描けた人間ドラマ

SNSでは「NHKの至高ドラマ」「神作」といった声もあるほどNHK版のドラマ『八日目の蝉』は絶大な支持を受けています。

その理由の一つにあげられるのが、ドラマならではの丹念な描写力です。約2時間に収められた映画版とは異なり全6回からなるドラマ版では、時間のゆとりから映画版で泣く泣くカットしたような場面を描くことが可能になり、より緻密に人間模様や情景を表現することができました。

原作に忠実でありながら、物語をより深く膨らませて作り上げられたNHK版は高い評価を得ています。

例えば、エンジェルの家と呼ばれる場所でさらってきた子どもである薫の成長を丹念に描写していたり、希和子の逃走場面のキリキリとするような迫り来る迫力は、ドラマ版ならではの尺を活かした描写が、作品に深みをもたらしたと言えるでしょう。

希和子の葛藤を体現した檀れいの圧倒的演技力

『八日目の蝉』NHK版の完成度を最大限にまで高めた立役者である檀れいさんのお芝居。彼女は希和子の約4年にわたる逃亡生活と、その前後の変化を見事に演じきり、母親としての葛藤や逃亡者としての焦燥感を年代に合わせた繊細な演技で表現しました。

『八日目の蝉』を希和子という一人の女性を軸に描き切る、というNHK制作陣の強い意志が感じられ、それに高い演技力で応えた檀れいさん。

檀れいさんが希和子として生きた、その生き様が凝縮した贅沢なドラマ作品に仕上がっています。檀れいさんの芯がありながらも、どこか危うげで不安げな絶妙な表情が忘れられなくなります。

あまりにも切なく、一気見できないほどの重厚さ

『八日目の蝉』は角田光代さんの原作がまず素晴らしいのですが、原作の初映像化作品として、その後の映画版とも比較されながら、今なお高い評価を得ています。

連続ドラマということで、毎週放送されていたのですが、待ち遠しいのと同時に“観るのが辛い”という感情を持った視聴者も少なくないと聞きます。SNSで「あまりに切な過ぎて一気見できない」とまで言われた、観る者の心を揺さぶってくる作品です。

ドラマを始めとするカルチャーは、触れる者を揺さぶり、心を耕すことこそが使命でもあります。その点から考えて、本作は確実に観る者を悩ませ、感情を泡立たせ、見終わった後も呆然としてしまうような“名作”でしか味わうことのできない体験ができるドラマなのです。

SNSの声からわかる感涙必至のNHK版

『八日目の蝉』NHK版の人気の高さはSNSからも伝わってきます。

「何度見ても泣いちゃう」「冒頭のシーンで早くも目が潤む」「毎回号泣」といった涙なしには見られないことを物語るコメントもあれば、「一気見できない」といった、作りの重さ、壮絶さを感じさせるコメントも少なくありませんでした。

心を揺さぶる名作であると同時に、中にはその揺さぶりに耐えられず挫折してしまったり一気に見ることは辛い…と感じる視聴者もいます。それだけ、感情に訴えかけるパワーを持った名作である証明とも言えるのです。

ドラマ版が伝えてくれるメッセージ

放送メディアの在り方が問われて久しい昨今ですが、テレビドラマの底力を見せてくれている本作。ドラマならではのメリットを存分に活かして作り上げられた豊かな表現。そして、毎週の楽しみが自分の家にやってくる心躍るような期待感があります。

現代では創作物が目が回るほど多く作られていますが、こうしてNHKのプロ集団が本気を込めて作ったドラマを観ると、テレビドラマはこれからもまだまだカルチャーの中心たりえると感じざるをえません。

ぜひ、映画版や小説を楽しまれた方にもドラマ版に触れていただきたいと思います。


※執筆時点の情報です