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「開始1分で傑作の予感」「本気度がエグい」冒頭で虜になる“NHKクオリティ”…ドラマ史に刻まれる『至高作』

  • 2026.1.20

民放ドラマの話題作が注目を集める一方で、静かに、しかし確かな完成度で視聴者の心を掴んできたのがNHKドラマです。派手な宣伝や視聴率競争とは距離を置き、時代や社会、人間の内面に丁寧に向き合った作品が数多く生み出されてきました。

なかには放送当時は大きな話題にならなかったものの、後年になって「実は名作だった」「今こそ観るべき」と再評価されている作品も少なくありません。脚本の緻密さ、役者の抑制された演技、余白を活かした演出──それらが重なり合い、観る者の心に静かな余韻を残します。

今回は、そんな“NHKの隠れた名作ドラマ”から、『ハルカの光』(NHK Eテレ)を紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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撮影に応じる黒島結菜(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):『ハルカの光』(NHK Eテレ)
  • 放送期間:2021年2月8日~2021年3月8日
  • 出演者:黒島結菜、イッセー尾形、山下容莉枝 ほか

主人公・幸本ハルカ(黒島結菜)は照明オタクで、数々の照明器具を取り扱うお店で働いています。店には様々な悩みを持つ客が訪れ、ハルカと店長の西谷(古館寛治)は客の心に寄り添いながらぴったりの照明を提案していきます。

店を訪れるのは、寿司屋の大将・岡林(イッセー尾形)プロボクサーの左京(駿河太郎)など個性豊かな面々。

そして実は店を訪れる客だけではなく、ハルカにも大きな事情、心の傷があったのです。ハルカは東日本大震災に遭い、心に深い傷を負っていたのでした。震災の影響で塞ぎこむようになったハルカはある日、漁師の父の船につく漁火を見て、ほっと心を和ませた体験がありました。ハルカの照明への愛、そして照明を通して客の人生をふわっと照らし、さらにいつの間にかハルカ自身も立ち直っていく――。

心の傷を癒すということは、人との交流や明日を生きる希望となる光が必要であると、じんわりと教えてくれる名作ドラマです。

照明が“心”を照らす、静かな感動

本作最大の魅力は、照明という身近でありながら普段は意識されにくい存在を通して、人の心の機微を描いている点です。

明るさや色味、光の広がり方ひとつで、人の気持ちは驚くほど変わる――。悩みを抱えた客たちに、ハルカと店長の西谷が寄り添いながら選ぶ照明は、問題を劇的に解決するわけではありません。それでも、その光は確かに“明日を生きるための灯り”となっていきます。

派手な演出に頼らず、光そのものが感情を語る演出は、NHKドラマらしい丁寧さと深みを感じさせます。

黒島結菜が体現する、静かな強さと再生

主演の黒島結菜さんが演じるハルカは、多くを語らない人物です。笑顔の裏に抱えた震災の記憶や心の傷を、黒島結菜さんは台詞よりも“佇まい”や“視線”で表現します。

照明に向けるまっすぐな眼差し、ふとした沈黙の間、少しずつ和らいでいく表情——。その一つひとつが、ハルカの内面の変化を雄弁に物語っています。

強く前に出る演技ではなく、静かに寄り添うような芝居だからこそ、視聴者は自然とハルカの心に近づいていくのです。

震災を“背景”として描く、優しいまなざし

『ハルカの光』は、東日本大震災を真正面から描く作品ではありません。しかし、ハルカの人生の奥底には常に震災の記憶があり、それが彼女の行動や価値観に静かに影を落としています。

漁火の光に救われた過去、そして照明に惹かれていった理由——それらが少しずつ明かされることで、視聴者もまた「癒しとは何か」「立ち直るとはどういうことか」を考えさせられます。

悲しみを消すのではなく、抱えながら生きていく。その姿勢を否定せず、そっと肯定してくれる優しさが、このドラマには満ちています。

SNSでは本作についてこんな声が語られています。「開始1分で傑作の予感」という声が見られ、視聴早々に作品の世界に魅せられる視聴者も。また、「NHKが本気出してきた」「本気度がエグい」という声には、作品の完成度の高さがうかがえます。全てを見終えた方からは、「静かな名作」「全話を一気観」「間違いなく名作ドラマ」などの声が溢れ、出会えた人の記憶に深く刻まれた作品であることが見て取れます。

『ハルカの光』は、疲れた心にそっと寄り添い「それでも、明日は来る」と教えてくれる、ドラマ史に刻まれる名作です。

小さな光が心を灯してくれるという希望

『ハルカの光』は、照明という小さな光を通して、人の心が少しずつほどけていく過程を丁寧に描いたドラマです。

誰かの人生を劇的に変えるわけではない、けれど確かに「今日を生きていくための灯り」を手渡してくれる—そんな優しさが作品全体に流れています。

東日本大震災という大きな出来事を背負いながらも、悲しみだけに囚われるのではなく、人との出会いや光のぬくもりによって前へ進んでいくハルカの姿は、多くの視聴者の心に静かな共感を残します。

黒島結菜さんの抑えた演技、個性豊かな登場人物たち、そして何気ない日常を照らす光の演出が重なり合い、観終えたあとには、部屋の灯りが少し愛おしく感じられるはずです。

心が疲れたとき、立ち止まりたくなったときにそっと寄り添ってくれる—。『ハルカの光』は、そんな“心の灯り”のような名作ドラマです。


※執筆時点の情報です