1. トップ
  2. 「伝説のNHKアニメ」NHK史に残る“圧巻の完成度”…「トラウマすぎる」33年前、視聴者がザワついた“衝撃の最終回”

「伝説のNHKアニメ」NHK史に残る“圧巻の完成度”…「トラウマすぎる」33年前、視聴者がザワついた“衝撃の最終回”

  • 2026.2.2

子どもの頃に観たアニメの中で、なぜか「楽しかった」だけでは終わらない作品が、誰にでも一つはあるはずです。思い出そうとすると胸の奥がきゅっと痛む。理由はうまく説明できないけれど、確かに心に刻まれている――。1992年に放送された『ヤダモン』(NHK総合・NHK教育)は、そんな“感情の原体験”として記憶されているアニメの代表格と言えるでしょう。本作は“NHKの隠れた名作アニメ”を振り返るシリーズ第5弾。ファンシーで明るい魔法少女アニメの顔をしながら、その実、別れと成長、そして喪失を極めて静かに描いた異色作です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

undefined
※Google Geminiにて作成(イメージ)
  • 作品名(放送局):『ヤダモン』(NHK総合・NHK教育)
  • 放送期間:1992年8月24日~1993年7月16日

主人公・ヤダモン(CV:かないみか)は、魔法の国から人間界へやってきた小さな魔法少女。名前の通り「ヤダ!」が口癖で、わがままで気まぐれ。失敗ばかりだけれど、どこか憎めない存在です。

ある日、ヤダモンは母親である魔女の森の女王に追放され人間界に飛ばされます。人間界のルブラン家にやってきたヤダモンが出会うのは、一人息子のジャンと、明るく個性豊かな家族たち。

最初は衝突しながらも、ヤダモンは次第に人間の世界に馴染み、友情や日常の温かさを知っていきます。

魔法を使ったドタバタな出来事、とはいえ物語の序盤では大した魔法をヤダモンは使えなかったり、笑いに満ちたエピソードが積み重なる一方で、物語は少しずつ“終わり”の気配を帯びていきます。

そして徐々に近づいてくる、ヤダモンが本来帰るべき場所というテーマ。人間界に留まることは許されないという現実。そんな避けられない別れが待っています。

最終回に向かって物語は、子ども向けとは思えないほど静かで残酷な選択を提示するのです。

明るさと不穏さが同居する独特の空気

『ヤダモン』の魅力は、その独特すぎるトーンにあります。色彩は明るく、キャラクターは愛らしい。一見すると、何気ない日常アニメのように見えるでしょう。しかし、物語の端々には、「この時間は永遠ではない」という予感が漂っています。笑っていたはずのシーンが、後になって切なく思い返される。その感覚は、大人になってから再視聴することで、より鮮明に浮かび上がってきます。

この“後味の悪さにも似た余韻”こそ、『ヤダモン』がただのファンシー作品で終わらなかった理由です。ヤダモンがいずれ自分の世界に帰らなくてはならないという事実、そして選択が本作に苦味の要素を加えて風味をより複雑に仕立て上げているのです。

子どもに容赦しない“別れ”の描写

本作が語り継がれる最大の理由は、やはり最終回の衝撃でしょう。

SNSでは今も、「最終回がトラウマすぎる」「思い出すだけで泣けてくる」といった声が絶えません。

そこにあるのは、劇的な死や派手な悲劇ではありません。むしろ淡々と、静かに、「一緒にいられなくなる」という現実だけが描かれます。だからこそ、心に深く突き刺さる。子ども時代に観た視聴者ほど、この別れを“理解できないまま受け取ってしまった”記憶を抱えているのです。しかし現実世界では“別れ”は避けて通れない残酷なものの一つです。本作は、子どもという、別れを多く体験していない世代にこの事実を容赦なく突きつけてきます。そしてこの時に受けたトラウマに似た傷は深く、ずっと心に残り続けることになるのです。

そして大人になった私たちが、今もう一度本作を観たならば…。いくつもの、時に理不尽な別れを経験した大人になった視聴者が観たならばまた異なった視点で心の傷をうずかせることになるのです。

NHK史に残る名作

『ヤダモン』は、決して頻繁に再放送される作品ではありません。そのため、SNSでは「もっと評価されるべき」「伝説のNHKアニメ」「NHK史に残る」などの声も聞かれます。今なお名前が挙がり、最終回の記憶が共有され続けている。それは『ヤダモン』が、確かに誰かの心を強く揺らした証拠です。

『ヤダモン』は、子どもにとっては少し残酷で、大人にとってはあまりにも切ないアニメです。けれど、「楽しい時間は終わる」「人は別れを経験して成長する」その現実から、決して目を逸らしません。だからこそ、この作品は忘れられない。そして、今なお語られるのでしょう。


※執筆時点の情報です