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21年前に各界の“レジェンド”が集まった名作「エンドロールやばい」「豪華すぎるでしょ」それぞれの垣根を超えた“妖怪映画”

  • 2026.1.11
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神木隆之介 (C)SANKEI

2005年に公開された映画『妖怪大戦争』は、水木しげるをはじめとする日本を代表する作家陣と、三池崇史監督という異色の組み合わせによって生まれたエンターテインメント作品だ。子ども向けの冒険譚でありながら、大人の目線でも楽しめる奥行きを持った物語で多くの観客を魅了した。

少年の成長譚として描かれる妖怪の世界

主人公・タダシ(神木隆之介)は、両親の離婚をきっかけに、母親と祖父とともに田舎へ引っ越してくる。都会育ちで気弱な彼は、新しい環境にもクラスにも馴染めず、孤独を抱えていた。そんななか、神社のお祭りで、数多くの子どもの中から“麒麟送子”に選ばれる。この出来事を境に、タダシは妖怪たちの争いごとに巻き込まれることとなっていく。

妖怪たちは恐ろしい存在として描かれる一方で、どこか滑稽で、人間味すら感じさせる存在でもある。タダシは彼らとの交流を通して、自分の弱さと向き合い、少しずつ変化していく。物語の根底にあるのは、選ばれし英雄の活躍ではなく、“臆病な少年が一歩を踏み出す”過程だ。その視点が、子どもには冒険のワクワクを、大人にはどこか切ない共感をもたらす。

作家集団『怪』と三池崇史が交差した企画

本作の原案を手がけたのは、水木しげる、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆきという、妖怪や怪異を語るうえで欠かせない面々によるプロデュースチーム『怪』。それぞれ分野の異なる作家たちが集結し、日本的な妖怪像を現代に蘇らせる試みがなされた。

その原案を映像化したのが、『着信アリ』などで知られる三池崇史だ。過激でエッジの効いた作風のイメージが強い監督だが、『妖怪大戦争』ではその個性を抑えつつも、どこか不穏で奇妙な空気感を作品全体に漂わせている。

また、主演を務めた神木隆之介を、「この映画で初めて知った」という人も少なくないだろう。まだ幼さの残る彼の演技は、特別に誇張されることなく、等身大の少年像としてスクリーンに立っている。その自然さが、タダシというキャラクターに説得力を与え、物語全体を支えている。

近年は幅広い役柄で活躍する神木だが、その原点のひとつとして『妖怪大戦争』を挙げる声があるのも納得だ。派手なCGや怪物描写だけに頼らず、子どもと大人の境目にいる主人公の心情を丁寧に描いた点こそが、この作品の大きな魅力と言える。

「ファンタジー」の一言では収まらない大作

『妖怪大戦争』は、子ども向けのファンタジー映画という枠に収まりきらない一作だ。妖怪という日本独自の文化を土台にしながら、喪失や不安、成長といった普遍的なテーマを織り込んでいる。年齢を問わず楽しめる一方で、観る人の立場によって受け取り方が変わる懐の深さも持ち合わせている。

SNS上では、「何回見ても好き」「今でも見たくなる」「エンドロールやばい」「豪華すぎるでしょ」といった熱量の高い声が届いている。表現力と存在感の両立が完璧に成立していたからこそ、この作品は長く記憶に残り続ける。世代を超えて愛され続けるのは、さまざまな垣根を超えて集まった伝説たちが、お互いに手を取り合って作り上げた“奇跡の一作”だからだろう。


ライター:柚原みり。シナリオライター、小説家、編集者として多岐にわたり活動中。ゲームと漫画は日々のライフワーク。ドラマ・アニメなどに関する執筆や、編集業務など、ジャンルを横断した形で“物語”に携わっている。(X:@Yuzuhara_Miri