1. トップ
  2. ベストセラー『三千円の使いかた』の作者【原田ひ香さん】物価高の中、3000円あったら何に使う?

ベストセラー『三千円の使いかた』の作者【原田ひ香さん】物価高の中、3000円あったら何に使う?

  • 2025.12.13

ベストセラー『三千円の使いかた』の作者【原田ひ香さん】物価高の中、3000円あったら何に使う?

ベストセラー『三千円の使いかた』をはじめ、お金をテーマとする作品が人気の原田ひ香さん。プライベートでは、どのようなお金とのつき合い方をしているのでしょうか。

原田ひ香さん 作家

はらだ・ひか●1970年神奈川県生まれ。
2005年「リトルプリンセス二号」でNHK創作ラジオドラマ大賞受賞。07年『はじまらないティータイム』ですばる文学賞受賞。
「ランチ酒」シリーズ、『一橋桐子(79)の相談日記』など著書多数。

10年来、愛用している軽くてスリムな長財布

原田ひ香さんのマネー小説では、財布も大事なモチーフ。『財布は踊る』には、お財布アドバイザーの「お財布の中身はあなたの頭の中身です。財布が整頓されているということは、あなたの頭もいつもクレバーで澄み切っているということなのです」というセリフが出てくる。

まずは、原田さんが使っているお財布を見せていただいた。

「10年くらい同じ型のお財布を使っているんですよ」と、取り出したのは、シンプルなデザインのL字ファスナー型長財布。紺と茶の色違いが2つ。

「だんだんツヤが出てくる皮の質感や、少しへなへなした感じが気に入っていて。気分を変えるのに色違いも持っています」

薄く見えるが収納力は抜群。

「カード入れが12枚分、病院の診察券なども入れています。外側のポケットも便利。価格もほとんど変わらず、今は1万2000円ほど。1~2年に一度、新しいものを買うんですが、製造中止が心配で買いだめしようかと思うくらい(笑)」

中を見せていただくと、すっきり。レシートは1枚もない。

「食費は現金でと決めていて、このお財布とは別に分けているので、レシートはそちらに入れています」

愛用の財布は「ダコタ」のもの。外側のポケットには財布が見つからないときにスマホで探すためのエアタグを入れている。貴重な「ギザ10」(10円硬貨)も。

日々の暮らしが楽しく豊かになることに使いたい

2021年に文庫化され、100万部を超えるベストセラーになった『三千円の使いかた』。読者からは「NISAやiDeCoが気になっていて、この本を読んでやってみようと思った」とか、「家計簿をつけてみようと思った」という声が多く届いたという。

「家計簿は家計管理や節約だけのためのものではなくて、未来にどういうふうにお金を使っていくか、将来のことを考えるためのものでもあるんですね」

コロナ禍以降は物価の上昇が続いている。老後の不安もあり、さらに節約を心がけている人も多い。

「私も55歳になり、老後の不安は感じます。お金も使わないでおこうと思えば使わないですむ。でも今年、思い切ってキッチンのリフォームにお金をかけたんですが、やってよかったです。使いやすく見た目もきれいだと、毎日よかったなと思えて。食器洗い機とか、日々の暮らしがラクになることにお金を使うのはいいと思います」

3000円あったら映画を1本観て帰りにカフェでお茶、かな

『三千円の使いかた』は、「人は三千円の使い方で人生が決まるよ」という印象的なフレーズで始まる。では今3000円があったら、原田さんは何に使うのだろうか。

「物価高で3000円の使いでがなくなりましたよね……。今ならサービスデーに映画を見て、文庫本を1冊買ってカフェでコーヒー、でしょうか。友達と一緒に、映画やちょっといいランチに行くのもいいですね。誰かと一緒に出かければ会話も楽しめる。そういう『生(なま)の楽しみ』に使いたいですね」

主婦ってすごい! 節約意識に驚いて書き始めた家計小説

原田さんが『三千円の使いかた』を書くきっかけとなったのは、15~16年前に美容室で手にした節約雑誌。「年収200万円の4人家族の主婦が、食費1万5000円くらいでやりくりしている記事で、リアルな数字をさらけ出しているのに驚きました」。それから10年後、小説に。これまでなかった「普通の家族の家計、節約、お金の使い方」をリアルに描き評判を呼ぶ。

生きるために「なくてはならない」お金をめぐる物語に、ハラハラしたり、ときに身につまされてしんみりしたり。税金やお金に関する制度や法律についての知識が得られるのも、原田さんの小説ならでは。

『月収』
『財布は踊る』
『三千円の使いかた』

撮影/鈴木江実子 取材・文/田﨑佳子

※この記事は「ゆうゆう」2026年1月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

元記事で読む
の記事をもっとみる