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マンションを手放して賃貸のUR団地へ!50代半ばから始めた「所有」にしばられない暮らし

  • 2025.12.12

マンションを手放して賃貸のUR団地へ!50代半ばから始めた「所有」にしばられない暮らし

人生の後半戦、“自分サイズ"を見直して、シンプルかつコンパクトに暮らし替えをされた方を紹介する「小さい暮らし」の見本帖。今回、登場いただくのは、会社員でユーチューバーのくらっしーさん。後編では、今の暮らしや物を所有することについての考えなどを伺いました。

すべてを手放すその日のための準備を

和洋折衷のレトロな雰囲気にあふれたくらっしーさんの住まい。UR団地を初めて内見したときに「暮らしの創造ができる場所」と感じ、引っ越し後はUR団地でのウェルビーイング(心身ともに健康で社会的にも満たされた状態)な暮らしの動画投稿もはじめた。

「UR団地は高齢者などへの対応が先進的で手厚いことも魅力の一つ。ちょっと狭かったり旧式だったりするのですが、そんな制限があることであれこれ工夫する楽しみもあります」

「山の上ホテル」や「大丸心斎橋店」で知られるアメリカ人建築家、W・M・ヴォーリズを敬愛するくらっしーさん。ヴォーリズ建築の中でも、日本初の西洋式の集合住宅「お茶の水文化アパートメント」が憧れの存在で、上質な家具が備えつけだったことにも共感している。

「家具はあくまで一時的な所有。次の住み手に継承していくスタイルは、エコで職人さんの技術も保護されますから、現代でも大いにありだと思います」

リビングに並ぶアンティーク家具も、いずれ購入店の再買い取り制度を利用して、次なる人へ渡していきたいと考えている。

「私たちはこの世を去るとき、すべてのものを手放しますよね。持ち家の場合も同じで、受け継ぐ人がいなければ体が動くうちに処分のめどをつけておくことが必要だと感じます」

将来は「お茶の水文化アパートメント」のような美しい集合住宅の企画に携わり、寮母のようなことをしていたい——。くらっしーさんの脳裏には、そんな密やかな夢が広がっている。

「やめたこと」はなんですか?

体調管理は大切。明け方まで作業に集中するのをやめました

考えごとをしたり、思いついたことを書き留めたりするのに夢中になり、気がつくと外が明るくなっていたということがよくあったそう。「年齢のせいか、翌日に影響が出るようになってしまいました。仕事の面でも自分の体調管理は大事なので、最近は自制中です」

「手放したもの」はなんですか?

置き忘れるとショック大!あえて長傘は持たずに折りたたみ傘だけに

「雨が上がるとかさばるし、すぐ置き忘れてしまうので、長傘は持たず折りたたみ傘だけに」。晴雨兼用でUVカット率100%の頑丈な高性能タイプ(右)と、コンパクトな超軽量タイプ(左)を使い分け。

テーブルとセットの椅子は味気なくて、部屋の広さに合わせて2脚処分

不用品回収業者に依頼して、4脚あったダイニングチェアを2脚に。「来客時は、いろいろな椅子を寄せ集めてくるほうが楽しいかなと」。普段愛用しているのは「飛騨産業」のヴィンテージチェア。

「はじめたこと」はなんですか?

ジムに近いことも住まい選びの条件に。無理せず週2回のペースで通っています

あらかじめジムが至近距離 にあるUR団地を選んで、 運動習慣を継続。「ゆっくりでも30分走れる体力をつけておくのが長期目標です」。出勤前に毎日通っていた時期もあったが、痩せすぎと周囲に心配されるようになり、今は無理せず週2程度に。

「予防にまさる治療なし」。口内環境のケアを意識するようになりました

「口内環境の健康はQOL(クオリティ・オブ・ライフ/人生の質)に直結していると思うので、2カ月に一度、歯のクリーニングを予約します」。歯磨き粉は、フランス発の老舗美容専門店「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」で購入。いい香りの上質なもので歯磨きタイムを楽しく。

「迎えたもの」はなんですか?

冬のヒートショック予防のためにバスローブを導入。こんなに便利で快適とは!

「わが家は浴室と洗面所が一体の欧米スタイルなので、バスローブの活用が理にかなっていました。湯上がりは汗をかきやすいので、すぐにパジャマに着替えず、いったん羽織ることで気持ちよく過ごせます」。くらっしーさんは「ラルフ ローレン」のものを愛用中。

発電機を購入したら安心感がケタ違い。太陽光でも蓄電できる優れものです

「災害時に停電してもスマホや扇風機などが使えるように『ジャクリ』のソーラー発電機を購入。太陽光で蓄電できるので安心です。色は部屋になじむベージュ系に。手の届きやすい位置にコンセントやUSBポートが増えたような感覚で普段使いしています」

コードレスにこだわって選んだハンドブレンダー。スープづくりに重宝しています

「スープづくりのために欲しいと思っていたハンドブレンダー。コードつきが多く、重さも気になって躊躇していましたが、『クイジナート』にコードレス製品があると知ってさっそく購入。これまで使っていたミキサーと違って洗う手間が少なく、とっても便利です」

縁あって、人間国宝の陶芸家・井上萬二さんのお茶碗を迎えました

夏に96歳で亡くなった白磁の人間国宝・井上萬二氏。くらっしーさんは春に、佐賀県有田町で井上氏の茶器を購入していた。「タクシーの運転手さんにすすめられて井上萬二窯を訪ね、お孫さんとお話しさせてもらったんです。不思議な縁を感じる宝物になりました」

Profile

くらっしーさん
●会社員&ユーチューバー 1969年千葉県出身。団体職員を経てケアマネジャーや区職員を経験。社会福祉士としてシニアの住宅相談にも関わり、”終の棲家”がテーマに。現在は不動産管理会社で高齢者対応の専門家として勤務。55歳からユーチューブ「くらっしー♡団地で実践ウェルビーイング」を開始。

撮影/土屋哲朗 取材・文/志賀朝子

※この記事は「ゆうゆう」2025年1月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

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