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【"なんとなく"で食べていない?ヨーグルトの本当の実力②】自分に合うヨーグルトの見つけ方

  • 2025.12.12

ヨーグルトの健康効果はわかったけれど、ではどんなヨーグルトを選んだらよい?乳酸菌の種類もいろいろだし、プレーン、ドリンク、フローズンなどタイプもいろいろ。どれを選んでいいかよくわからない人のために、自分に合うヨーグルトの見つけ方について、1回目に続き、食いしん坊倶楽部メンバーで医師の三浦雅臣さんにうかがいました。

【"なんとなく"で食べていない?ヨーグルトの本当の実力②】自分に合うヨーグルトの見つけ方

■万博で発見!プレーンヨーグルト

今回ヨーグルトについて調べる中でわかったのが、日本のプレーンヨーグルトの歴史は意外に浅いということでした。
ヨーグルトは木桶や皮袋に入れた家畜の乳に、偶然入り込んだ乳酸菌によってできたとされています。ヨーグルトそのものの歴史は1万年ほど前に遡ります。ヨーグルトの健康効果が注目されたのは、1900年代のはじめにブルガリアの人々が長寿であることに着目したロシアのイリヤ・メチニコフ博士が、実際にブルガリアに行って研究を続けた結果、ブルガリアの人たちが食べていたヨーグルトに含まれる乳酸菌が、長寿に影響しているという説を唱えたことがはじまりでした。さらに日本でプレーンヨーグルトが広まったきっかけとなったのが、1970年の大阪万博。それまでの日本のヨーグルトは甘く、ゼラチンなどでかためられたもの(ハードヨーグルト)がほとんどでしたが、万博会場のブルガリア館で甘みのないプレーンヨーグルトに出会い、そのことを契機に日本でも研究が進んで商品化されたようです。つまりプレーンヨーグルトが本格的に商品化されてからはまだ50年ほどということになります。

ヨーグルト
ヨーグルト

■パッケージで得意分野をチェック

とはいえ、最近では日本のヨーグルトも種類がいろいろと増えてきました。プレーンヨーグルトだけでも数種類は必ず棚に並んでいます。
ヨーグルトの健康効果については前回お話しさせていただいた通りですが、スーパーに並ぶさまざまな乳酸菌の名前を見ると、さて、どれを選んでいいものやら、そもそもそれほど大きな違いがあるのかと悩む人が多いのもうなずけます。
もちろん酸味や舌ざわりなど、味わいはそれぞれ違いますから、好みのものを選ぶのがよいと思いますが、健康効果で選ぶのであれば、まずはパッケージをよく見ることが大事です。
たとえば「LG21」という乳酸菌はピロリ菌に効く、「PA-3」は尿酸値の上昇を抑えるとあります。それぞれの特徴をチェックして、その効果を感じたいものから試してみるとよいでしょう。ただし1回食べたくらいでは効果はわかりません。2~3週間食べ続けてみるのがおすすめです。ヨーグルトは薬ではありませんから、完全に不調を治す効果はありませんが、なにかしらプラスαの効果があるかもというくらいの気持ちで続けてみてください。
「私はいつもこれ!」というお決まりの銘柄がある人も、たまにはいつもとは違うヨーグルトを試してみるのもいいかもしれません。数週間試してみたら、体にいい変化が出ることも考えられます。せっかくたくさんの種類があるのですから、楽しみながらいろいろ食べてみてはいかがでしょうか。

■続けやすいものをチョイスしよう

ヨーグルトの違いは乳酸菌だけではありません。甘くないプレーンヨーグルト、甘みやフルーツの入ったソフトヨーグルト、ゼラチンなどでかためたハードヨーグルト、飲むタイプのドリンクヨーグルト、凍らせたフローズンヨーグルトなどさまざまなタイプが選べます。
カロリーオーバーを避けたいなら、やはりプレーンヨーグルトです。おなかの調子を整える特定保健用食品の認可を受けたものもありますし、より低脂肪のタイプもあります。最近ではアルミパックのものもよく見かけるようになりました。輸送中の温度管理が可能で臭いや光も遮断でき、品質保持に最適と人気があります。
甘みがついているものやフルーツ入りのものはなんといっても食べやすさが抜群。プレーンヨーグルトではもの足りない人におすすめです。ただし砂糖などが添加されている分、カロリーも高め。ダイエット中の人は食べ過ぎないように気をつけましょう。加工の工程も多くなるので、健康効果としては控えめになってしまうものもあります。
液状のドリンクヨーグルトもありますが、普通のヨーグルトと何が違うかご存知でしょうか? 実は水分などを加えているわけではなく、普通のヨーグルトと成分はまったく一緒で、攪拌して液状に加工されています。いつでも手軽に取り入れやすいのがメリットですが、こちらも甘味料や果汁などが加えられているものが多いので気をつけてください。フローズンヨーグルトも人気です。アイスクリームよりも低脂肪でさっぱりと食べられるのがうれしい。ひんやりと冷たくて特に暑い季節は食べやすいのですが、冷たいと甘さを感じにくくなるので、思ったよりも糖を多く摂取することにつながりがちです。体を冷やすことにもなるので、食べ過ぎないようにしましょう。
ヨーグルトの水けをきったギリシャヨーグルトもスーパーで手軽に買えるようになりましたね。もっちりとして、食べごたえがあります。水分が少ない分、たんぱく質を多く含むのが特徴です。糖、たんぱく質、脂質がバランスよく取り込めるので、朝食やトレーニングのあとなどにいいですね。豆乳ヨーグルトは、乳糖不耐症の人や乳製品アレルギーの人に特におすすめです。大豆由来の植物性たんぱく質がしっかりとれますし、乳酸菌などの働きは普通のヨーグルトと遜色ありません。
健康効果はもちろんですが、ライフスタイルに合わせて、続けやすいものをチョイスするというのも大切なことかと思います。

■“ご当地ヨーグルト”を楽しむ

ヨーグルトの選び方というお話しからは少しはずれてしまいますが、私がぜひ試してみたいと思っているのが「ご当地ヨーグルト」。牧場などで手作りしたできたてのヨーグルトです。全国のスーパーなどで売られているものは、たとえば北海道で搾乳した牛乳を横浜などの工場に運び、加工して出荷されます。質のよいヨーグルトを安定して供給することはできますが、どうしても輸送に時間がかかります。その点とれたての牛乳を牧場の敷地内や近隣の工場で加工、販売しているヨーグルトは、フレッシュなおいしさを味わえると人気なのだそう。
ひとつの牧場や地域の牛乳だけで作られたり、ヨーグルト用として出荷できなかった牛乳を利用して作られたりしたヨーグルトは、味わいもさまざまのようです。食いしん坊倶楽部メンバーとしては、旅の途中にその土地ならではのヨーグルトを食べる機会を得ることをとても楽しみにしています。


――教える人

「三浦 雅臣先生」

東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 助教。2014年東京大学医学部医学科卒業。2021年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了・卒業。糖尿病や肥満症を専門に、最近では老化や睡眠、味覚についても探究を深める日々。


編集:出口雅美(maegamiroom) 文:久保木 薫 写真:Shutterstock

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