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“2022年以来”の朝ドラ出演に集まる注目「また見れるの嬉しい」「雰囲気が変わってる」再登場を心待ちにされる“名俳優”

  • 2026.1.8
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濱正悟 (C)SANKEI

神回続きで話題が止まらない朝ドラ『ばけばけ』。ついに心を通わせあったヒロイン・トキ(髙石あかり)と異国の教師・ヘブン(トミー・バストウ)に、熱い祝福の声が重なるなか、忘れてはならない“知識人”がふと顔を出す。ヘブンの通訳担当・錦織(吉沢亮)の親友であり、SNS上でも「良いバディ感」と好評の庄田多吉(濱正悟)である。

※以下本文には放送内容が含まれます。

自然に表出する、知性とユーモア

主役級の登場人物が連日熱量の高い演技を見せるなか、庄田のような、いわば余白のような存在が視聴者の記憶に残るのは、ドラマとしての成熟を物語っている。2022年放送の『舞いあがれ!』以来、2度目の朝ドラ出演となる濱正悟だが「また見れるの嬉しい」「雰囲気が変わってる」と好意的な声が上がっている。

濱演じる庄田の持ち味は、なんといってもそのひょうひょうとした軽妙さである。たとえば、大盤石である錦織と比べたら、自分なんて「半分弱」だとユーモア混じりに謙遜するシーン。自虐的なセリフだが、庄田のどこか誇らしげな様子、達観した佇まいのおかげで周囲は明るい。

怪談の朗読でも絶賛されている濱の美声と、どこか抑制された表情は、時代劇にも通じる品の良さや所作の丁寧さにも通じている。内なる知性とユーモアは、庄田を語るうえで外せない要素となった。彼に唯一無二の個性を与えている、このちょっとしたズレ感を、濱は感覚で自然に表出させているように見える。

まるで漫才コンビのようなバディ感

庄田のもう一つの魅力として語られやすいのは、錦織とのバディ感だ。常に冷静で、かつしたたかに己を磨き、目標達成に向け邁進する錦織と、そんな彼の背中を追いつつマイペースに、自分らしさを失わない庶民的な庄田。彼らの会話は常に絶妙なバランスを保っており、まるで漫才のような軽妙さを生む。

多くの視聴者が期待しているように、再び庄田が登場してくれるかどうかは物語に委ねるしかない。しかし、トキの面識のある庄田は、たとえ詳しい事情を知らずともヘブンとの関係を祝福してくれるだろう。視聴者の感情を代弁してくれる位置に、彼はいる。そして、トキとヘブンの関係を静かに見守る錦織の心境さえ、ひょうひょうとした態度で慮ってくれるはずだ。

誰よりも錦織を理解し、支える立場にいながら、あくまで軽やかに、それでいて深く踏み込まずに助言を送る。庄田のこの絶妙な距離感は、『ばけばけ』において常に“視聴者目線”を担ってくれていると思えてならない。

悲しみや苦難を乗り越える妙法

俳優・濱正悟は、直近ではクセのある役や感情のひだを丁寧にすくい取るような芝居で評価を高めている。本作で演じている庄田は、教養と庶民性を併せ持つ、知的な市井の男とでも言うような難しいポジションだ。しかし、濱はそれを力まずに体現している。こうした自然体かつ濃密な演技は、これからのキャリアに向けた彼の転機となるのではないか。

では、この先の『ばけばけ』において、庄田はどのような役割を果たすのだろう。トキとヘブンが夫婦として歩み始めるとき、もしも庄田がその場にいたら、余計な一言でも口にしたかもしれない。

しかし、それは単なる茶化しではないのだ。笑いと知恵に裏打ちされた一言が、ふたりの人生の節々でふと効いてくるはず。庄田は、トキとヘブンを待ち受けるであろう喜びと、悲しみや苦難さえまとめて乗り越える妙法を提示してくれるに違いない。

庄田が画面に登場するだけで、『ばけばけ』の味わいが深くなる。彼のような存在がいるからこそ、この物語は単なる偉人伝ではなく、いまを生きる私たちの物語として輝くのだ。


ライター:北村有(Kitamura Yuu)
主にドラマや映画のレビュー、役者や監督インタビュー、書評コラムなどを担当するライター。可処分時間はドラマや映画鑑賞、読書に割いている。X(旧Twitter):@yuu_uu_