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「一生忘れない」放送から30年、今なお語られる“第1話の衝撃”…「人生で唯一最後まで観た」称賛止まない至高ドラマ

  • 2026.1.20

“一度観ると忘れられない作品”このシリーズを通して取り上げてきた作品には、共通点があります。それは、観る前の自分には間違いなく戻れないということ。派手な仕掛けや刺激だけで記憶に残るのではなく、心の奥に触れてしまい、忘れようとしても残り続けるーー。そんな作品ばかりでした。 “一度観ると忘れられない作品”その締めくくりとして紹介するのが、1996年に放送された連続ドラマ『真昼の月』です。この作品ほど、人の心に残る“生傷のような痛み”が強烈な作品はありません。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます

あらすじ

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カネボウのイメキャラを務めた常葉貴子(C)SANKEI
  • 作品名(放送局):ドラマ『真昼の月』(TBS系)
  • 放送期間:1996年7月4日~9月19日
  • 出演者:織田裕二、常盤貴子、飯島直子、内藤剛志 ほか

山下舞永(常盤貴子)は、ある日恋に落ちます。相手は、富樫直樹(織田裕二)。ところがその直後、舞永は見知らぬ男たちから暴行を受けたことをきっかけに、不安性や恐怖症を発症してしまい……。人と距離をおき、感情を閉ざし、誰にも本音を明かせない日々。そんな彼女を、直樹は深い愛情で支えていきます。

心の傷を治してあげるのではない。起きてしまったことを忘れさせるのでもない。舞永が抱える痛みをそのまま受け止め、一緒に生きていこうとする直樹。

心に深い傷を負った男女が、互いの弱さと恐怖を否定せず、少しずつ前に進もうとしていきますーー。

第1話から突きつけられる“容赦のなさ”…「恋愛」を救いにしないリアルなドラマ

本作が語り継がれる理由のひとつは、第1話の衝撃にあります。SNSでは、「第1話から衝撃」「一生忘れない」といった声が物語るシーンとは、第1話のラストで描かれた、舞永が性暴力の被害に遭う場面です。

このシーンは、視聴者を引きつける“つかみ”として描かれたのではありません。身勝手で理不尽な暴力が、人生や人の心を壊してしまう現実を、誤魔化さずに描かれています。すべての傷には然るべき時間が必要です。本作は、傷を抱えた舞永と、彼女を献身的に支える直樹に焦点を当てた物語です。直樹の誠実さが、このドラマを忘れがたいものにしています。

直樹は、舞永を守ろうとしながらも、彼女の恐怖を完全に理解することはできません。そして舞永もまた、愛されることを望みながら、触れられること、近づかれることに怯え続けます。このすれ違いが、丁寧に、執拗に描かれることで、支えることの難しさや一緒に生きるという重さを観る者に突きつけられます。

ラブストーリーでありながら、恋愛を“万能薬”として描いていない点が、本作を名作たらしめている大きなポイントです。“恋をしたから、過去の傷も乗り越えられた、という恋愛ドラマ特有のストーリーは展開されません。なぜなら、救いや希望は、すぐに得られるものではないからです。

常盤貴子さんが体現した“壊れそうな強さ” 優しさだけでは救えないトラウマ

本作を語るうえで欠かせないのが、常盤貴子さんの存在です。彼女が演じる舞永は、常に怯え、不安定で、それでもなお生きようとしています。泣き叫ぶわけでも、感情を爆発させるわけでもない。むしろ、感情を押し殺そうとする姿が、痛々しいほどリアルです。呼吸を一つするだけで全身に痛みが走り出しそうなほど怯えている彼女の姿は見ていて目を背けたくなります。

しかし常盤貴子さんは、"被害者"という記号ではなく、傷を抱えた一人の人間として舞永を演じ切りました。その静かな演技が、視聴者の心に長く残り続ける理由でしょう。

ドラマ『真昼の月』は、観終わったあとにスッキリするドラマではありません。すべてが解決するわけでもなく、魔法のような救済が訪れるわけでもない。それでも、誰かが隣にいること。痛みを理解しようとする姿勢があること。それだけで、人はかろうじて前を向けるのかもしれない。そんな希望を、決して押し付けずに描いています。

本作は今を生きる私たちに、「人を愛するとは、相手の地獄さえも共有することではないか」と問いかけ続ける、劇薬のような物語です。すべてが解決するわけではない。けれど、二人で明日を向くことはできる。 その小さな、けれど尊い一歩に、私たちは何度でも涙するのでしょう。そんな本作には「人生で唯一最後まで観た」「すごい傑作だった」といった称賛の声が今なお見られます。

「一度観たら忘れられない」――その衝撃を、ぜひ今一度、あなたの目で確かめてみてください。


※執筆時点の情報です