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「気象予報士が解説!今年の冬は寒い?平年並みでも要注意」

  • 2025.12.1

気象庁が2025年11月25日に発表した3か月予報によると、12月~2月にかけては全国的に平年並みの寒さとなる見込みです。

今回の記事では、最新の3ヶ月予報をもとに今冬の傾向や防災のポイントを解説します。

1月は西日本以南を中心に寒くなる可能性

以下に気象庁が2025年11月25日に発表した3か月予報の12月~2月の平均気温について特徴をまとめています。

ここでポイントになるのが1月です。

1月はほぼ平年並みの気温と見込まれているものの、西日本は気温が平年並みになる確率(30%)や平年より高い確率(30%)に比べ、平年より低い確率(40%)が高くなっています。また、沖縄でも平年並みまたは平年より低い可能性が40%となっており、平年より高くなる可能性はかなり低いです。

一方で、北日本は平年並みになる確率(30%)や平年より低い確率(30%)に比べ、平年より高い確率(40%)が高くなっています。

2月についても全体的には平年並みであるものの、南ほど平年より低く、北ほど平年より高い傾向を示しています。

西日本以南で気温が低くなる要因

西日本以南で寒くなる可能性があるのは、期間の前半を中心にラニーニャ現象に近い状態が発生しているためです。

ラニーニャ現象は、太平洋赤道域の東風が平年よりも強く、暖かい海水が西太平洋熱帯域に運ばれることで、西太平洋熱帯域の海水温が上昇する現象です。

このため、西太平洋熱帯域では積乱雲が発生しやすくなり、周辺に比べて気圧が低くなります。

そして、風は気圧の高いところから低いところに向かって吹く性質があります。

西日本以南は、中国大陸の冷たいシベリア高気圧と、西太平洋熱帯域の低気圧に挟まれやすくなります。この影響で、冬の前半を中心に西日本と沖縄・奄美では、冬型の気圧配置が強まる時期がある見込みです。

ただし、完全なラニーニャ現象が発生しているわけではなく、冬が終わりに近づくにつれてラニーニャ現象に近い状態が解消されると予想されています。

このため、寒くなるにしても1月が中心で、2月以降は徐々に平年並みの気温に戻る見込みです。ただし、沖縄地方では2月にかけても低温傾向が予想されており、寒さが残る可能性もあります。

降水は北日本で多く西日本以南で少ない見込み

以下は気象庁が2025年11月25日に発表した3か月予報をもとに、12月~2月の降水の特徴をまとめています。

北日本と東日本の日本海側の降水量が多く予想されている理由は、温帯低気圧の影響を受けやすいためです。一方、東日本の太平洋側~西日本以南で平年より降水量が少ない理由は、温帯低気圧の影響を受けにくいためです。

そもそも冬の降水には大きく分けて以下の2パターンあります。

・温帯低気圧(南岸低気圧や日本海低気圧)による降水
・西高東低の気圧配置による降水

東日本の太平洋側~西日本以南は温帯低気圧の発生や接近が例年より少ないため、降水量も少なくなると見込まれています。

ただし、冬型の気圧配置に伴う降水が減るとは限りません。温帯低気圧の降水が減っても、強い西高東低の気圧配置時には、西日本~東日本の日本海側を中心に雪の量が増える可能性もあります。

特に雪に不慣れな西日本の平野部だと、数cmの積雪でも大規模な交通障害が発生しやすくなるため油断は禁物です。

防災のポイント

今冬は平年並みの気温であるものの、前半を中心に西高東低の気圧配置が強まり、西日本以南を中心に厳しい寒さや大雪の可能性があります。また、瀬戸内海や愛知県など日本海に面していないエリアでも、日本海から雪雲が流れ込んで大雪になる可能性があります。

特に年末年始は帰省や旅行などの移動が増加する時期となるため、冬の大雪災害に向けて以下を備えておきましょう。

・こまめに気象情報をチェックし、警報や注意報に注意する
・積雪地域ではスノーショベルなどの除雪道具を早めに準備する
・早めに冬用タイヤを装着し、チェーンも用意する
・飲料水、非常食、懐中電灯、携帯ラジオなど防災グッズを3日から1週間分備蓄する
・大雪が予想されている際には、不要不急の外出は控え、除雪や移動時は安全に注意する

天気予報やニュースで「強い寒波がやってくる」「大雪に注意」「急激に寒くなる」などの言葉を見聞きした場合は、他人事とせず早めに防災対策を行いましょう。

日頃からの準備と情報収集が、冬の災害リスクを軽減します。

<執筆者プロフィル>

田頭 孝志
防災アドバイザー/気象予報士
田頭気象予報士事務所。愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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