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本場を百度訪ねた中国通・奥村忍が推薦!東京・総武線沿いで味わえるガチ中華2選

  • 2025.12.1
擂辣椒皮蛋/ピータンと唐辛子のつぶし和えと、泡菜/発酵野菜
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毛沢東の愛した湖南料理がここに。錦糸町〈李湘潭 湘菜館〉

「錦糸町の〈李湘潭 湘菜館(りしょうたん しょうさいかん)〉は毛沢東の出身地、湖南省の料理を提供するレストラン。中国の辛い料理の代表格として日本では四川料理が挙げられますが、あれは“麻辣(マーラー)”と表現される唐辛子と花椒(ホワジャオ)が醸す痺(しび)れるような辛さ。湖南料理は、ただただ辛いというのが僕の印象です(笑)」

すり鉢で具材をつぶしながら食べる擂辣椒皮蛋(レイラージャオピーダン)は、湖南料理を代表する一皿。すりこ木を動かすたびに、生唐辛子の鮮烈な香りが鼻をかすめ、口にすれば刺激的な辛さが脳天を突く。「湖南省では、これをアテに白酒(バイジウ)を飲むのが慣習です」と、店長の徳重賢さん。奥村さんがよく注文する干锅(ガングォ)も、スープが少ないドライな鍋料理ゆえ、乾燥唐辛子のスパイシーさが、ダイレクトに舌に伝わる。

擂辣椒皮蛋 ピータンと唐辛子のつぶし和え
擂辣椒皮蛋/ピータンと唐辛子のつぶし和え  生唐辛子とピータン、パプリカ、油で揚げたピーマンをメイン食材とし、ニンニクや鶏ガラスープで風味づけをする。ちなみに本場ではパプリカではなく、乾燥唐辛子を使うそう。1,320円。
干锅牛蛙 カエルの干し鍋
干锅牛蛙/カエルの干し鍋  中国醤油ベースの味つけながら、乾燥唐辛子、塩漬けの青唐辛子、麻椒(マージャオ)パウダーと、辛味調味料のオンパレード。カエルは鶏ムネ肉に似た淡泊な味わいで、身も軟らかい。2,838円。

一方で、湖南省は内陸に位置するために新鮮な食材が入手しづらく、発酵の食文化が発達した。“酸辣(スワンラー)”と呼ばれる独特の辛味が生まれた由縁で、麺料理の定番・米粉(ミーフン)は高菜の酸味が効いた、爽やかな辛さを放つ。

牛腩粉 牛筋ミーフン
牛腩粉/牛筋ミーフン  米粉は自家製麺で、丸麺と平打麺からチョイスが可能(写真は丸麺)。食感が滑らか。スープは鶏ガラをベースにし、醤油と塩で味を調えたあっさり系。八角と桂皮の風味が香る牛すじがのる。1,408円。
湖南省のレストランで長年経験を積んだシェフ
湖南省のレストランで長年経験を積んだシェフ。ちなみに店長の徳重さんのお父さんが湖南省出身で、その縁で10年前に店を始めたそう。

Information

李湘潭 湘菜館
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李湘潭 湘菜館

毛沢東が愛した角煮は、湖南省を代表する名物料理であり、この店のスペシャリテでもある。絹豆腐を事前に揚げてから炒めて仕上げる湖南麻婆豆腐はたれの味わいがよく染みるため、酒のアテになると評判だ。

住所:東京都墨田区錦糸2-7-12 徳重ビル1・2F
TEL:03-5637-8728
営:11時〜14時30分LO、17時〜22時LO
休:無休

独自発達した貴州の発酵料理を守る。新小岩〈貴州火鍋〉

「さらに中国の発酵文化の奥深さに触れたいなら、新小岩〈貴州火鍋〉へ。貴州省はさらに内陸に位置するために塩が入手しづらく、代用として発酵の酸味を効かせる調理法が発達しました。乳酸発酵させた唐辛子、泡辣椒(パオラージャオ)を使った発酵野菜(泡菜)の炒め物は、複雑に辛味と酸味が絡み合う唯一無二の風味で、ほかでは食べられない代物。先人が知恵を絞って編み出した珠玉の一皿です」

泡菜 発酵野菜
泡菜/発酵野菜  泡菜(パオツァイ)を漬ける壺、泡菜壇子(パオツァイダンツ)。干し野菜に水、塩、ショウガ、白酒などを染み込ませて壺へ。口の周りの溝に水を張って椀形の蓋をすることで空気から遮断し、発酵の速度を速める。
折耳根炒社腊肉 ドクダミの根と干し肉の炒め
折耳根炒社腊肉/ドクダミの根と干し肉の炒め  ドクダミの根の渋味と苦味が、花椒と唐辛子、干し肉と好相性。1,848円。
砂肝と発酵野菜の炒めもの、塩漬け辛子菜とキュウリの焙煎唐辛子和え
泡辣椒はパンチのある辛味と爽快な酸味、凝縮された旨味を併せ持つ。これで風味づけした砂肝と発酵野菜の炒めもの1,518円は濃厚で辛い!飲むヨーグルト440円やライス300円を付け、定食にすることも。塩漬け辛子菜とキュウリの焙煎唐辛子和え(写真手前)は968円。

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貴州火鍋
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貴州火鍋

火鍋も提供するが、貴州料理を幅広く提供する。

住所:東京都葛飾区新小岩1-55-1 1F
TEL:03-3656-6250
営:17時〜22時(土・日12時〜15時、17時〜22時)
休:水曜

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奥村 忍

おくむら・しのぶ/1980年生まれ。商社、メーカー勤務を経た後、2010年にオンラインストア「みんげい おくむら」をオープン。本企画の端緒となった著作『中国手仕事紀行(増補版)』(青幻舎)が発売中。

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