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「景色が灰色に見える」「敗者復活戦というより“猛者”の集まり」嵐・北大騒動で浮き彫りになった「国立大・後期試験」の壮絶すぎるリアル

  • 2025.11.25

■素朴な疑問「なぜもっと早く予約しないの?」

受験生のイメージ
受験生のイメージ

嵐のラストツアーと北海道大学(北大)の後期入試の日程重複による「ホテル枯渇問題」が、SNSで大きな波紋を広げています。

この騒動をきっかけに、ネット上では経験者たちから「国立大の後期試験がいかに過酷か」を語る声が次々と寄せられ、その壮絶な実態に注目が集まっています。

今回の騒動に対し、SNSの一部では「嵐の日程発表前から宿を押さえておけばよかったのでは?」「準備不足だ」といった声も散見されます。

しかし、国立大志望者にはそれが難しい切実な事情があります。

多くの受験生は、1月中旬に行われる「大学入学共通テスト(旧センター試験)」の自己採点結果を見てから、最終的な出願先を決定します。

点数が良ければ強気な大学へ、思うように取れなければ志望校を変更して…と、結果次第で「行き先」がガラリと変わるため、「自分がどこの大学の後期試験を受けるか」が確定するのは、早くても1月下旬から2月上旬にかけてとなります。

半年以上前から日程が決まっているライブツアーとは異なり、受験生は仕組み上、「直前になるまで宿の手配ができない」のが現実なのです。

■北大ならではの「雪リスク」と「連泊」

さらに、北海道大学ならではの事情として「天候(雪)」の問題も見過ごせません。

3月中旬とはいえ、北海道はまだ冬。本州からの受験生にとって、最大の恐怖は「雪で飛行機やJRが止まり、試験会場にたどり着けないこと」です。

そのため、万が一の欠航や運休に備え、試験前日ではなく「前々日」から現地入りしたり、予備日を含めて長めに滞在したりといった「安全策」をとる受験生も少なくありません。

この「天候リスクへの備え」による連泊需要も、今回の宿不足に拍車をかけ、受験生たちの首を絞める要因となってしまっているのです。

■「同級生が遊んでいる中での孤独な戦い」

多くの高校では、3月上旬には卒業式を終えています。私立大や国立前期で合格を決めた同級生たちが「春休み」を謳歌し、旅行や遊びの計画を立てている中、後期組は一人、机に向かわなければなりません。

X(旧Twitter)では、当時の心境について以下のような投稿が見られます。

「前期で落ちて、心がボロボロの状態での敗者復活戦。周りが浮かれている中で気を抜かずに過ごす2週間は地獄だった」「後期試験の日、会場の窓から外を見たら景色が全部灰色に見えた。それくらい精神的に追い詰められていた」

メンタルの維持だけでも困難な状況下で、さらに「宿が取れない」というトラブルは、受験生にとってあまりにも残酷な追い打ちと言えるでしょう。

■「試験前夜に大部屋で…」経験者が語るリアル

実際に20年前、筑波大学の後期試験を受けた経験を持つ元受験生(40代・女性)は、当時の過酷な状況をこう振り返ります。

「前期は東京の大学を志望していて、後期のことは1ミリも考えていませんでした。でも前期が残念な結果になり、急遽、後期の勉強を始めることに。周りが進路を決めて遊んでいる中、メンタルはボロボロ。家族とも誰とも口をききたくないほど追い詰められていました」

さらに彼女を襲ったのが、今回の騒動にも通じる「宿」の問題でした。

四国から筑波へ向かうための宿を親が手配してくれたものの、予約がギリギリだったため個室が取れず、通されたのはまさかの「大部屋」。

「見知らぬ受験生たちが雑魚寝するような部屋でした。全員がピリピリしていて、試験前からメンタルもテンションも最悪の状態。一睡もできないまま朝を迎えた記憶があります」

もちろん、これは20年前のエピソード。現在はつくばエクスプレス(TX)の開通などで大学周辺のアクセスや開発も進み、宿泊施設の選択肢は当時より増えているでしょう。

しかし、どれだけ環境が変わっても、受験生が抱える「後がない」という心理的プレッシャーだけは今も昔も変わりません。

■後期試験は「猛者たちの潰し合い」

特に北大のような旧帝大クラスの後期試験には、前期で東京大学や京都大学などの最難関校にあと一歩届かなかったハイレベルな層が、「何としても国立に」と流れてきます。

定員が少ない狭き門を、傷ついた心とトップレベルの学力を持った受験生たちが奪い合う。

静かに、しかし熾烈な戦いに挑む彼らに、社会全体が少しでも温かい目を向け、環境を守ってあげることが求められているのかもしれません。

(LASISA編集部)

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