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日本茶インストラクター・星野孝太さんが案内する、日本茶の魅力を再発見できるティーサロン。

  • 2025.11.27

コーヒーとお茶にまつわるBetter Lifeのヒントを集めた、&Premium144号(2025年12月号)「コーヒーとお茶と、わたしの時間」より日本茶インストラクター・星野孝太さんのわざわざ行きたい極私的名店を教えてもらいました。

日本茶の魅力を再発見

冬夏 築100年超の日本家屋を改修したギャラリー&茶房。「敷地内に湧く地下水を使い、在来種の茶葉で淹れる茶は、まさに日本茶テロワールです」 。オーガニックティーペアリングコース¥3,900~。京都市上京区信富町298 075‒254‒7533 11:00~18:00 火休
多賀茶焙煎所 自家焙煎の日本茶と和菓子の喫茶。「目の前で焙煎して淹れるほうじ茶を飲んで感激! 浅煎り、中煎り、深煎りと選べるのも面白く、この店でほうじ茶の奥深さに目覚めました」 。多賀一番棒茶¥1,100。新潟県上越市仲町3‒1‒9 025‒526‒7570 10:00~16:30 火休
茶舎 觀壽(みこと) 店主が厳選した日本茶と台湾茶を味わえる店。 「試飲の予約をすると店主が淹れる茶と会話を1 対1 で楽しめ、とても勉強になります」。日本茶の試飲は¥800~。石川県金沢市彦三町1‒9‒66 070‒3982‒0463 10:00~13:00(試飲) 13:00~17:00(喫茶) 木日祝休
aotake 坪庭のある古い京町家で、地元生産者が単一農園で作る日本茶を楽しめる。 「畳敷きの和室で足を崩して飲む煎茶は、日本茶の根源的なおいしさを教えてくれます」 。煎茶¥1,400~。京都市下京区材木町485 070‒2287‒6866 11:00~16:30 火水休
HIGASHIYA GINZA 和菓子店『HIGASHIYA GINZA』に併設されている茶房。「スタイリッシュな空間でいただく浅蒸しの煎茶が最高です。甘味を抑えた、上品かつ洗練された和菓子がよく合います」 。煎茶¥1,980~。東京都中央区銀座1‒7‒7‒2F 03‒3538‒3240 11:00~19:00 無休
松葉屋茶寮 盆栽や器を慈しみ、茶と菓子を堪能する茶店。 「店の奥に御簾の掛かった茶席があり、そこで静かに季節の煎茶(¥1,430~)をいただきます。盆栽を愛でつつ飲む茶も、風情があっていいものです」東京都港区南青山5‒4‒27‒1F 070‒4441‒9857 10:00~20:00 無休

空間に入り込むことでより感じる日本ならではの奥深い茶の世界。

日本茶は私たちに馴染み深い茶です。私も自宅でほぼ毎日淹れて飲みますが、外の店で飲むときにはより深く茶を味わえるような気がします。最も大きな違いは空間です。例えば京都の『冬夏』や東京の『HIGASHIYA GINZA』はスタイリッシュな空間で、そこではすっきりした味わいの煎茶をいただきたくなりますし、しっくりくるんです。いっぽう京都の『aotake』のように昔ながらの畳敷きの和室で、足を崩して茶を飲む空間では、ぽってりと厚みのある茶が飲みたくなって、それがまたおいしい。「この雰囲気なら、この味」といったふうに、空間に合わせて自分で茶を選んでいると、日本茶の世界がより奥行きを持って感じられます。今回挙げた店はどこも、しつらえや、そこから見える風景など、その空間に入り込めるような感覚があります。その状態で飲むと茶の味をより深く、ピュアに感じられて、そのたびに「この場所で飲むからこそのおいしさだ」と感じ入るのです。日本茶は馴染み深い茶だと言いましたが、だからこそ知らないことも多い。専門のティーサロンではさまざまな産地の茶葉を味わえ、季節ごとの楽しみ方も教えてもらえるのもいいところ。『冬夏』では在来種の茶葉を大切にしています。日本茶の在来種とは種から育った茶樹から収穫した茶葉で、現在では茶の全栽培面積の1%ほどでしか作られていません。品種改良されていないため、その土地や株ごとに個性があって、飲むたびに驚きと発見があります。日本茶は日本の自然の中で育ち、作られる茶です。その味や文化を知ることは、自分が暮らす国や土地について改めて考えることに通ずるような気がします。

星野 孝太  日本茶インストラクター

日本茶インストラクター。2000年、北海道生まれ。’22年に茶ユニット「長春」を結成し、日本全国で茶の魅力を伝える茶会を開催する。富士山麓にある茶園「長春片倉」の管理や、茶のプロデュースなども。

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