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「見る」より「聴く」が、優しい時代。盲目のお笑い芸人とブックコーディネーターが語る、音声コンテンツ

  • 2025.11.12
濱田祐太郎、内沼晋太郎

内沼晋太郎

濱田さんの本、すごく軽やかで面白かったです。文章はどういうプロセスで書かれたんでしょう。

濱田祐太郎

メインの章は、ライターさんの質問に答える形でしゃべったものを文章にまとめてもらいました。ただ、合間のコラムは自分でゼロから書いています。スマホの音声入力機能を使って文章を打ち込んだあと、編集の方に整えてもらう形です。文章を書くことは仕事やSNSを含めれば、ほぼ毎日の習慣ですね。

内沼

送信する前に読み上げ機能を使ってチェックするんですか?

濱田

そうですね。話し言葉のままだと違和感がある時は、書き言葉っぽく直したり。逆に、伝えたい内容によってはあえてしゃべっているままの文にすることもあります。

内沼

濱田さんの文は、オーディブルで読み上げられた時にスッと頭に入りそうだなと思ったんです。なるほど、書き言葉と話し言葉の使い分けを意識しつつ、「話す・文になる・聴く」というプロセスを経た文章なんですね。

濱田

内沼さんはたくさんの本を読んできはったと思うんですが「目で読むこと」と「耳で聴くこと」、それぞれコンテンツの受け取り方にどう違いがあると思いますか?

内沼

音声コンテンツはたくさん聴いてますが、僕が感じるのは、「見る」世界がカオスになってきていること。YouTubeでもSNSでも、過激な映像や強い言葉が次々と目を奪いに来て、アテンションの取り合いになっている。一方で音声コンテンツは、何かを聴いている人の耳を、別のものが奪いに来ることが起こりにくいじゃないですか。だから、安心して伝えたいことを伝えて、聴きたい話を聴くことができる。最近ポッドキャストを始める人が増えているのも、目で把握するコミュニケーションに疲れたからなのかなって思います。

濱田

目と耳で言うと、テレビのファンとラジオのファンは違うってよく言われますよね。テレビで紹介されたお店は一瞬人気が出てもすぐ飽きられてしまうけど、ラジオで紹介されたお店は、そのパーソナリティのファンが何年も通うようになったりする、って。

内沼

まさしく、そこが音声コンテンツの魅力。ほかのどこよりもパーソナリティに近い場所にいる感じがするというか。親密さが守られている感じが、根強いファンを作るんだと思います。

濱田

僕も音声配信プラットフォームのstand.fmで、身の回りのことやネタを配信してるんですが、疲れてる時こそ聴きたくなる番組にしたいんです。元気じゃないと聴いてられない番組じゃなくて、聴く人がどんな体調でも受け入れられるような。

内沼

わかります。インターネットの世界では耳のコンテンツこそが、安心して覗きに行ける優しい場所になっている、そんな気がしますよね。

2人の好きな「耳で聴く」コンテンツ

濱田祐太郎

Radio『火曜JUNK 爆笑問題カーボーイ』
1997年から続く、長寿深夜番組。「太田光さんのエッセンスがたっぷりの、振り切った話を聴ける時間が本当に大好き。2時間番組の冒頭40分がフリートークなこともあるほどです」。毎週火曜25時~27時(TBSラジオ)。
Radio『月曜JUNK 伊集院光 深夜の馬鹿力』
通称『しんばか』は今年30周年。「どんな時でも純粋に楽しめる、僕が思う理想のラジオです。“伊集院さんっぽい何か”がにじみ出ている一人しゃべりと、ちりばめられたギャグが好き」。毎週月曜25時~27時(TBSラジオ)

内沼晋太郎

Podcast『深井・けんすうのまぼろし会議』
COTENラジオの深井龍之介と起業家のけんすうによる、1週間で消える番組。「誹謗中傷したら罰金、みたいな利用規約あり。SNSのくだらないツッコミから逃れ、自由にしゃべることが守られている場所に見えます」
Podcast『ながらAIラジオ』
usutakuとハヤカワ五味による、生成AIの最新情報を解説する番組。「狭すぎるターゲットに向けて作られている点がポッドキャストらしいし、信頼できます。情報のレベルが高く、変化をキャッチアップするのにも便利」

Information

濱田祐太郎『迷ったら笑っといてください』

『迷ったら笑っといてください』

先天性の視覚障害がある盲目の芸人、濱田祐太郎による初のエッセイ。太田出版/1,980円。今年9月より、audibleにてオーディオブックも配信。濱田の普段の語り口に合わせて、読み上げは関西弁に。

profile

濱田祐太郎

濱田祐太郎

はまだ・ゆうたろう/1989年生まれ。お笑い芸人。『R‒1ぐらんぷり2018』優勝。YouTubeチャンネル『濱田祐太郎 official』、stand.fm『濱田祐太郎の盲目ライフを盗み聴き』。

profile

内沼晋太郎

内沼晋太郎

うちぬま・しんたろう/1980年生まれ。書店〈B&B〉などに関わるブックコーディネーター。今年1月に始めたポッドキャスト『本の惑星』が本好きや書店関係者を中心に大人気。

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