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【食欲が止まらない】ときの賢い過ごし方。食べ過ぎを止める方法を医師が解説

  • 2025.11.9
教えてくれたのは……
奥田昌子先生

医学博士/内科医 予防医学の理念に基づき、健診や人間ドック実施機関でのべ30万人以上の診察、診療にあたる。現在は航空会社産業医を兼務し、ストレス対応を含む総合診療を続けている。

食欲が止まらない原因1「満腹感に鈍感になっている」から!

奥田先生

脳には、お腹がいっぱいになると「もう食べなくてもいいよ」とシグナルを出す満腹中枢と、エネルギーが不足すると「食べなさい」というシグナルを出す空腹中枢の2つがあります。これらのシグナルに従っていれば、食べ過ぎてしまうことはありません。

食欲が止まらない人は、満腹中枢が鈍感になっている可能性があります。「残すのがもったいないから」、「お腹は空いてないけど、昼だからランチを食べなきゃ」など、脳からの満腹シグナルを無視した食事を続けていると徐々に満腹中枢が鈍感になり、食欲が止まらないという事態に。

そして、正しい空腹シグナルは、お腹がグーッと鳴るくらい胃が収縮しているとき。お腹が鳴ってから食べるのを習慣にすれば、過度な食欲を抑えることができるでしょう。


「ながら食べ」していると満腹シグナルに気付けない!

奥田先生

満腹・空腹シグナルはとても繊細で弱いため、「ながら食べ」もシグナルに対して鈍感になってしまう要因に。スマホを見ながら、仕事をしながらなど、何かをしながら食事をすると意識がそちらに向いてしまうため、満腹シグナルが出ても気づくことができません。食事中は、味や歯応えを楽しむなど、食べることに集中するのがおすすめです。


食欲が止まらない原因2ドーパミンの奴隷になっているから!

奥田先生

おいしそうなものを見て「食べたい!」と思うと、快楽ホルモンと呼ばれるドーパミンが出ます。ドーパミンが分泌された状態で食事をすると「食べて本当によかった」と、幸せな気持ちで満たされて、ストレスも吹き飛ぶんです。すると、さらに幸せを味わいたいとドーパミンがどんどん分泌されて、もっと食べて快楽を得ようとします。お腹がいっぱいなのに、「おいしい、幸せ」と食欲が止まらない状態は、まさにドーパミンの奴隷になった状態です。ドーパミンは非常に強烈な力を持つ物質なので、一度出始めてしまうとそれに逆らうのは大変なこと。食べ続けてしまうのも仕方ありません。せめて「今、ドーパミンが出ているな」と自分を客観視できるよう意識しましょう。


「甘いものは別腹」は、脳内物質・オレキシンのしわざ!

奥田先生

満腹なはずなのに「デザートは別腹だから」と、ペロリと食べられることがあると思います。デザートを見て「おいしそう、食べたい」と思うと、脳からオレキシンという物質が分泌されます。オレキシンは胃の働きを活発にして、胃の中に残っている食べ物を腸に送り出して空っぽにする働きがあります。胃の中にスペースができるので、満腹でもデザートが食べられます。これが別腹の仕組み。オレキシンは感情や思考と連動しているので、スイーツ好きではない人がケーキを見てもオレキシンは分泌されません。そういう人は「甘いものは別腹」にはならないのです。


「秋」と「生理前」に食欲が止まらない理由も解説!

食べたい欲求が止まらなくなるという声がよく聞かれるのが「秋」と「生理前」。季節やホルモン周期の影響とそのメカニズムを教えてもらいました。

秋は摂取カロリーが約8%増加する

奥田先生

秋から冬にかけて徐々に気温が下がってくると、私たちの体は基礎代謝を上げて体温を維持しようとします。普段よりエネルギーを必要とするため、夏に比べて摂取カロリーが約8%増加することがわかっています。ただ、摂取カロリーが少し増えても体温を上げるために使われるので太ることはありません。問題は、その食欲に流されて、必要以上に食べてしまうこと。ほかの季節より食欲が増す秋こそ、食べ過ぎに注意しましょう。


クリスマス・正月の食べ過ぎは翌年の夏にも影響する?

奥田先生

また、食べ過ぎでとくに注意したいのは、イベントの多い年末年始、クリスマスやお正月の時期です。冬場は体温維持のため代謝が上がるので太りづらいとはいえ、調子に乗って必要量を超えてしまえば当然太ります。その食欲を維持したまま代謝の落ちる夏を迎えると、もっと太ってしまうことになるので気をつけて。


生理前の食欲増加は、仕方がない!

奥田先生

生理前の食欲増加は女性ホルモンのひとつ、黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響です。黄体ホルモンは妊娠に備えて栄養を蓄えようと食欲を高める作用があるのですが、生理前にも黄体ホルモンが出るので、妊娠中と同じように食欲が増します。その食欲を理性で抑えるのは、なかなか難しいのです。そこで「生理3日前から生理2日目までは食べていいことにする」など、無理のないルールを決めておきましょう。1日にどれだけのカロリーを摂取したか、ではなく、1ヵ月など少し長いスパンで摂取量を考えて、生理期間以外の残りの日にちでカロリー制限をして調整していくのがよいと思います。


「食欲が止まらない!」そんなときは鏡をチェック

食欲を「今すぐ」抑えるアクション2つ

  • 鏡を見る
  • 理想の体型の写真を見る
奥田先生

ドーパミンが出ているときに抗うのは難しいのですが、食い止めるための方法として、視覚的な情報が役立つという研究があります。視覚情報は五感のうちの8割を占めているといわれており、「見て意識すること」が食欲抑制につながると考えられます。そこで有効なのが、食欲が止まらないときに鏡で自分の顔を見ること。食卓に鏡を置いて、ドーパミンに取りつかれて食べる浅ましい自分の姿を鏡で見ると、ふと我に返ります。その姿に「今お腹すいていないよね」と理性の力が働いて、ドーパミンがサーッと引くことがあります。

また、海外の研究では、理想の体型をしたモデルさんの写真や絵を貼っておくと、無意識のうちに食欲にブレーキがかかることも明らかになっています。日常的に目に入ったほうがいいので、テーブルに貼っておいたり、スマホの待ち受けにするのもよいでしょう。


食欲の暴走を抑える「おすすめ生活習慣」

  • 食事中のスマホ習慣を控える
  • 食材は大きく切って、硬めに調理
  • お菓子は「袋食べ」をやめて皿に盛る
  • 睡眠時間を確保する
奥田先生

毎日の生活の中でドーパミン分泌を抑える行動を続けると、満腹シグナルに敏感になり、食べ過ぎにストップをかけることができます。
まず、食事中スマホを見るのは避けましょう。とくにショート動画など展開が早く興奮しやすい映像は食欲の暴走を招きます。
料理で工夫するのもおすすめです。大きく切る、硬めにゆでるなど、食材の歯応えを意識すると、必然的によく噛む習慣が身につきます。よく噛めば食事に時間がかかるので、満腹シグナルを感じやすくもなるはず。
食関連でもうひとつ。お菓子を袋のまま食べると、どれくらい食べたのかが曖昧になり、気がついたら全部食べ切ってしまったということが起きがちです。面倒でもお皿に盛って食べた分量が視覚でわかるようにしましょう。

また、睡眠不足の翌日、無性に何かを食べたいと感じることはないでしょうか? 睡眠時間が足りないと、食欲を高めるグレリンというホルモンが出て、同時に食欲を抑えるレプチンというホルモンが減ってしまいます。食欲を抑えるためにはしっかり睡眠をとることも重要です。


食欲の暴走を放置すると、生活習慣病や乳がんなどのリスクが高まる!

奥田先生

暴走する食欲に操られるまま食べてしまえば、当然太ってしまいます。太ることでお腹に内臓脂肪が過剰につき、それにより糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが上がります。また、脂肪の多い人ほど乳がんになりやすいというデータも。乳がんはほかのガンとは違い、30代くらいから増え始めるので、30歳を過ぎたら定期的に乳がん検診を受けていただきたいですね。


「食欲が抑えられる」と噂のアクションのウソ・ホントを医師が回答!

食事中はたくさん噛む

ホント。たくさん噛んで食事時間に15分以上かけると◎

奥田先生

食べてから満腹中枢が働くまで15分ほどかかります。飲み込むように早食いをすると、満腹中枢が働く前に全部食べてしまいます。しかし、しっかり噛むと必然的に食べる速度が遅くなりますから、食事の途中で満腹中枢のシグナルを感じるので、食べる量を減らせます。


プロテインを飲む

プロテインに食欲を抑える作用はナシ

奥田先生

プロテインに食欲を抑える作用はありません。プロテインは結構カロリーが高いので、摂取することで食欲がおさまったと感じるのでしょう。それでいて、満腹シグナルは血糖値の上昇によってしか反応しないので、たんぱく質をとってもシグナルは作用せず、本当の満足感は得られません。食欲を抑えたいなら、たんぱく質よりも糖質であるごはんを食べたほうが、満腹シグナルが作用して食欲が抑えられますよ。


1日3食をしっかり食べる

「1日3食」にこだわると満腹シグナルに鈍感になる可能性も

奥田先生

お腹が空いていないのに、朝食、昼食、夕食の時間が来たからといって食べる必要はありません。それは栄養不足の時代のお話。お腹が空いていないのに食べることで、満腹中枢や空腹中枢からのシグナルを感じにくくなります。食べる前に本当にお腹が空いているのかを自分に問いながら、「1日3食」にこだわらず、お腹が空いたら食べる習慣をつけましょう。もちろん、1日3食が体に合っているのであれば、そのままで問題ありません。


食欲を抑えるツボを押す

素人がツボ押ししても効果は期待できない

奥田先生

食欲を抑える「神門」や「胃点」というツボはありますが、自分で押しても効果を感じにくいと思います。鍼灸院などで寝転がって鍼灸師の方に刺激してもらえば、心身ともにリラックスできて脳の活動が鎮まるので、ドーパミンなどの分泌を抑えてくれることがあるかもしれません。


「食欲がない状態」が続くなら専門医に相談を

奥田先生

「食欲がない」と感じる原因にストレスが挙げられることがよくありますが、それだけでは済まないことも。食道や胃腸の病気や、まれにガンの可能性も考えられます。また、30~40代の女性に多い病気として甲状腺機能低下症でも食欲不振が長く続く場合があります。

最近、比較的若い女性に多いと話題になっているのが『機能性ディスペプシア』です。食欲不振のほか、食後の胃もたれやむかつき、みぞおちの痛みなどの症状があるのですが、検査をしても胃や消化管に異常は見つからず、ストレスと関係が深いといわれています。
食欲不振が長く続き、胃腸や消化器に不調を感じたらまずは専門医に相談してください。そして検査結果に問題がないようなら、心療内科に相談をすることも選択肢のひとつとして考えておきましょう。


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写真協力/ShutterStock 取材・文/山本美和

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