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卵が“貴重品”に…「エッグショック」で価格高騰→賞味期限切れの卵、実際“いつまで”食べられる?【管理栄養士が解説】

  • 2025.11.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「エッグショック」と呼ばれる鶏卵の価格高騰や供給の話題を耳にすることが増え、私たちの食卓に欠かせない卵が、以前にも増して貴重な食材となっています。SNSでは、「エッグショック」に対して「心配」「やめてほしい」との懸念の声も。

スーパーで買う卵のパッケージには「賞味期限」や「消費期限」が書かれていますが、その意味の違いを正しく理解していますか? 価格が上がっている今だからこそ、購入した卵を一つも無駄にせず、安全に最後まで使い切る知識がこれまで以上に重要になっています。

この記事では、卵の賞味期限と消費期限の違い、そして家庭での正しい保存方法や調理のポイントについて、管理栄養士の見解をもとにわかりやすく解説します。賞味期限を過ぎた卵の扱いに迷う方も多いはず。正しい知識を身につけて、食の安全と家計の両方を守りましょう。

卵の賞味期限と消費期限の違いと保存のポイント

卵に表示されている「賞味期限」は、「おいしく生で食べられる期間」を意味します。一方、「消費期限」は「安全に食べられる期間」を指します。

日本のスーパーで販売されている卵のほとんどは生食を前提としているため、「賞味期限」で表示されています。つまり、賞味期限を少し過ぎたからといって、すぐに危険というわけではありません。

大切なのは保存の仕方です。殻のまま冷蔵庫(10℃以下)で保管していれば、賞味期限を過ぎても、だいたい1〜2週間は食べられることが多いとされています。ただし、そのまま生で食べるのはNG。白身も黄身もしっかりと固まるまで火を通すことが必要です。具体的には、中心が70℃以上になり1分以上加熱するのが安心です。

とはいえ、絶対安全と言い切れるものではありません。ひび割れがある、殻が濡れている、割ったときに変なにおいや色がする、長時間常温に置かれていた可能性がある場合は、無理に食べずに処分しましょう。ポイントは「生で無理に食べない」「少しでも違和感があれば捨てる」ことです。賞味期限後はしっかり加熱して使い切ることで、衛生面でも家計面でも安心して卵を活用できます。

家庭での卵の安全な加熱方法と調理の目安

卵を安全に食べるために重要なのは、「しっかり中まで熱を通すこと」です。

卵を食べる際に心配されるのはサルモネラ菌という細菌ですが、これは熱に弱く、中心が75℃で1分以上、または70℃で3分以上加熱すればほぼ死滅するとされています。

数字だけだとイメージしにくいので、調理の目安をお伝えします。白身も黄身も完全に固まる状態が安全ラインです。ゆで卵なら固ゆでにし、目玉焼きは両面を焼くかフタをしてしっかり火を通しましょう。炒り卵や卵焼きは断面が生っぽくなく、しっかりと火が通っていることを確認してください。

逆に、半熟オムレツや温泉卵、卵かけご飯は中心温度が足りないため、賞味期限切れの卵では避けたほうが無難です。食材と一緒に炒める場合も熱が十分に通るまで加熱を続けることが大切です。数字と見た目の両方を意識して、安全に卵料理を楽しみましょう。

ひび割れ卵やゆで卵の扱い方と保存の注意点

スーパーで卵の殻にひび割れを見つけたことはありませんか?

卵の殻はもともと細菌が入りにくい構造ですが、ひびが入るとその防御が弱まり、菌が内部に入りやすくなります。購入時にひび割れがあった卵は、運搬や店頭での衝撃などで汚れがついている可能性もあるため、特に注意が必要です。

ひび割れ卵は生食を避け、できるだけ早くしっかり加熱して使い切るのがおすすめです。その際、割ったときに異臭や変色がないか、また長時間常温に置かれていないかをよく確認し、少しでもおかしいと感じたら捨てましょう。

また、ゆで卵は「生より日持ちしそう」と思われがちですが、実は保存期間は短めです。殻付きのまま冷蔵庫に入れても3〜4日が目安で、殻をむいた場合は1〜2日以内に食べ切るのが安心です。カットしたゆで卵や卵サンドは菌が増えやすいため、当日中に食べるのが理想です。調理後は常温で放置せず、粗熱が取れたらすぐに冷蔵庫に入れて保存しましょう。ゆで卵は便利ですが、家庭での衛生管理にばらつきがあるため、「早めに食べる」意識が安全でおいしく楽しむコツです。

エッグショックの今こそ! 貴重な卵を無駄にしないための心得

卵の賞味期限はあくまで「おいしく生で食べられる期間」を示し、消費期限は「安全に食べられる期間」を指します。賞味期限を過ぎても、適切に冷蔵保存し、しっかり加熱すれば安全に食べることが可能です。 ひび割れや変なにおい、色の変化がある卵は、たとえ貴重でも 無理に食べず捨てることが大切です。また、ゆで卵は保存期間が短いため、早めに食べ切ることを心がけましょう。

エッグショックなどで卵の価格が気になる今だからこそ、家庭での安全な卵の取り扱いが重要です。 「正しい保存」と「しっかり加熱」を基本に、大切な卵を無駄なく、安全に、そしておいしく楽しみましょう。


監修者:工藤まりえ
大学にて栄養学と分析化学を専門とし、管理栄養士免許を取得。卒業後は都内飲食系会社にてフードコーディネーターとして勤務。また、管理栄養士としてはスポーツジムに通う方を対象に、体質改善・ダイエットのための栄養指導を実施。短期的な痩身だけではなく、健康的で太りにくい体質への改善を目指した、専門的かつ行動に移しやすいアドバイスを毎月100名程に対して行っている。