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「節約したい」「寒さは我慢したくない…」物価高の冬はどう乗り切る?→光熱費を下げる、“最も効果的”な方法【FP1級が回答】

  • 2025.11.27
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

物価の上昇が続く中、今年の冬も「光熱費をどう抑えるか」に悩む人が増えています。

特に暖房代は家計への影響が大きく、「できれば節約したい。でも、寒さは我慢したくない…」と感じている方も多いのではないでしょうか。実際、暖房を控えすぎると体調を崩しやすくなり、日常生活や睡眠の質にも悪影響が出ると言われています。

そこで本記事では、健康を損なわずに冬を快適に乗り切るための「ムリのない節約術」を、1級ファイナンシャル・プランニング技能士 中川 佳人さんにお伺いしました。

特に効果の高い断熱対策や、暖房効率を上げるポイントを押さえることで、家計と体の両方を守るヒントが見つかります。寒さが本格化する前に、ぜひチェックしておきましょう。

光熱費の上昇と寒さ対策の悩み

光熱費の上昇が続く中、多くの家庭は“光熱費を節約しながら寒さを乗り切るという課題に直面しています。物価上昇が続き、必要な暖房まで控えてしまう家庭が増えていますが、健康を害さないようにバランスよく節約していく必要があります。

---光熱費高騰が続く中、多くの家庭が冬の寒さ対策において直面する具体的な課題や、寒さが健康に与える影響の背景について、どのようにお考えでしょうか?

中川 佳人さん:

「物価上昇の状況を見てみると、2025年9月の消費者物価指数(総合)は前年同月比で+2.9%上昇しました。

一方で、9月の実質賃金(物価上昇を差し引いた賃金)は、前年同月比-1.4%となっており、9か月連続でマイナスが続いています。これは、賃金の伸びが物価上昇に追いついていない状態であり、家計の負担は増え続けています。

このような状況の中、必要な暖房までも控え、支出を抑えようとする家庭が増えているのです。

また、寒さ対策を考える際には、「家の中で快適に過ごせるか」という観点も大切です。寒い部屋では体が冷えて動きが鈍くなり、家事や育児、仕事にも影響しやすくなります。生活リズムの乱れや、気分が沈むといった生活面の負担が生じる可能性があり、注意が必要です。特に、在宅時間が長い高齢者や小さな子どもがいる家庭では、日中の寒さが心理的な負担になるという声も聞こえます。
寒さは体調だけではなく、生活の質そのものに影響する点を見落とさないことが重要です。

このような背景を踏まえると、光熱費を抑えながらも、必要な暖房は使用して健康を大切にしていく必要があると考えています。」

暖房を我慢すると健康や住まいに悪影響が

---光熱費を抑えるために暖房を我慢したり、エアコンの設定温度を極端に下げたりすることが、健康リスクや住環境の悪化につながるケースはありますでしょうか?

中川 佳人さん:

「光熱費が上がり、暖房費を少しでも抑えたいと考える方は多いと思います。しかし、暖房を我慢したり、エアコンの設定温度を極端に下げることは、健康リスクの増加や、住環境の悪化につながります。

例えば、気温が下がると体は熱を逃さないように血管を収縮させます。その結果、血圧が上昇し、心疾患や脳血管疾患のリスクが高まります。特に高齢者の方は、リスクが高く、ヒートショックや低体温症などに注意が必要です。

また、寒い環境は免疫力を下げるため、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。他にも、寒さが原因で自律神経が乱れ、睡眠障害につながるリスクもあります。肩こりや頭痛などの日常的な不調を引き起こすこともあり、注意が必要です。

さらに、エアコンの設定温度を下げすぎることで、住環境の悪化にもつながります。
室内と外気の温度差が大きいと結露が発生し、放置すればカビの繁殖を招きます。発生したカビは住宅を劣化させるほか、アレルギーや皮膚トラブルにつながり、健康を損なう原因になります。

光熱費の上昇が続く中、暖房を我慢する家庭が増えていますが、健康を損なうほどの我慢は本末転倒です。結露が発生し、カビが繁殖すれば、住宅自体の劣化にもつながります。無理な節約よりも、エアコンのフィルターを掃除するなど、効率的な暖房の使い方を心がけることが大切です。」

すぐできる!窓やドアの隙間をふさぐ断熱対策

---光熱費を抑えながら冬の寒さを乗り切るために、読者が自宅で明日からすぐに実践できる、最も効果的な「最初の一歩」や「簡単な工夫」を一つ教えていただけますでしょうか。

中川 佳人さん:

「光熱費を抑えながら冬の寒さを乗り切るために、最も効果的な「最初の一歩」は、「窓やドアの隙間をしっかり塞ぐこと」です。特に、明日からすぐに取り組めて効果が大きいものが「窓の断熱対策」です。暖房で温めた空気は窓から逃げてしまうことが多いため、窓の隙間を塞ぐことで室内の暖かさを保つことができます。

具体的には、市販の断熱シートを窓に貼ることや、隙間テープで冷気の侵入を防ぐといった方法が効果的です。断熱シートは、窓全体を覆うタイプのほか、貼って剥がせる簡易タイプもあり、賃貸でも使いやすいです。どれも数百円から千円程度で購入でき、貼るだけで室温が下がりにくくなります。また、カーテンは丈の短いものより床まで届くタイプに替えることで、冷気が入ってくることを抑えられ、部屋の温度が下がりにくくなります。

断熱シートの効果はすぐに実感でき、「部屋が冷えにくくなった」「設定温度を下げても寒くない」といった声が多くあります。特に窓の面積が大きい部屋や、北側の部屋では効果が出やすい傾向があるため、優先的にシートを貼ると良いでしょう。

光熱費の高騰が続く中、まずは「窓やドアの隙間をしっかり塞ぐこと」が、すぐに取り組めて最も効果が高い方法です。暖かい部屋を維持しながら、上手に節約していくために、ぜひ実践してみてください。」

健康を守りつつ賢く節約するために

光熱費の値上がりが続く今、暖房を必要以上に我慢するのは健康や住環境の悪化につながり、かえって負担が大きくなってしまいます。

賢く節約するためには、まず「窓やドアの隙間をしっかり塞ぐ」ことが最も効果的で、すぐに始められる方法です。

快適な室内環境を保ちながら、健康も守ることを心がけ、効率的な暖房の使い方を実践しましょう。光熱費を抑えつつ冬を快適に過ごすために、ぜひ今回ご紹介した断熱対策を取り入れてみてください。


監修者:中川 佳人
監修者:中川 佳人(なかがわ よしと)
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。
20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。
専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。