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「約20km離れた地域で苦情も」野外フェスでの“騒音問題”→近隣住民から「うるさい」「不快」の声も…規制が“ほぼ不可能なワケ”

  • 2025.11.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

音楽フェスやイベントの開催が増える中で、近隣住民からの「音がうるさい」「不快だ」という声も少なくありません。

こうした騒音問題は、法的にはどのように規制されているのか、また住民はどんな対応が可能なのか、そして主催者側はトラブルを避けるために何をすべきか、アディーレ法律事務所名古屋支店 正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) の見解をもとに解説します。

騒音問題に直面したときに知っておきたいポイントを押さえましょう。

フェスの騒音に特別な規制はないが、一般的な騒音基準が適用される

フェスやイベントの騒音に関しては、特別な法律や規制は設けられていません。

代わりに、一般的な騒音に関するルールが適用されます。これは「環境基本法」に基づくもので、地域の種類や時間帯によって音の大きさの基準が決められています。

例えば、療養施設など静かな環境が必要な場所では、昼間(午前6時~午後10時)は50デシベル以下、夜間(午後10時~翌午前6時)は40デシベル以下といった基準があります。住居地域では昼間55デシベル以下、夜間45デシベル以下、商業や工業地域では少し高めの基準が設定されています。

数値のイメージとしては、図書館の静けさが約40デシベル、家庭用エアコンの室外機や小声が50デシベル、普通の会話や走行中の車内で約60デシベルです。どの基準が適用されるかは開催地がある自治体の条例で決められていますので、騒音問題があればまず開催地の規制を確認することが必要です。

なお、フェスの場合、一般的には開催地の境界線上で音を測り、基準を超えていれば違反になりますが、罰則は設けられていません。

「うるさい」と感じるだけで違法とは限らない…騒音被害が認められる条件とは?

フェスの音が「うるさい」や「不快」と感じるかどうかは人それぞれです。

社会では多くの人が共に生活しているため、ある程度の騒音はお互いに我慢し合う必要もあります。法的に違法な騒音かどうかは、音の大きさが、社会生活上我慢すべき限度(受忍限度)を超えているかで判断されます。

具体的には、音の大きさだけでなく、フェスの内容や音の性質、発生頻度、時間帯、被害の程度、主催者が防止策をとっていたかなど様々な事情を総合的に考慮します。環境基準を超えていても必ず違法になるわけではありませんが、判断材料の一つとして重要視されます。

違法な騒音で損害を受けた場合、住民は主催者に損害賠償や開催の差し止めを求めることも可能です。

開催前の対応は難しいが、主催者は慎重な音響設計でトラブル回避を

自宅近くで騒音を出すフェスが開催されると知った場合、違法行為の恐れが明らかであれば開催差し止めを求めることはできます。しかし、主催者には営業の自由があり、差し止めは違法性が高い場合でなければ認められにくいのが現状です。

主催者側は、静かな地域を避けることはもちろん、公的な音量や拡声器の使用に関する規制などを守ることが基本です。しかし過去には、ももいろクローバーZのライブが約20キロ離れた地域で苦情が出たり(2017年)、Mrs.GREEN APPLEのライブで約15キロ離れた場所でも音が聞こえるとSNS投稿が相次いだケース(2025年)もあります。

そのため、会場や周辺の地形や気象などを考慮した音響設計や騒音対策を行い、事前に音が届く可能性がある場所で音量テストを実施して規制値を超えないようにするなど、慎重な準備が求められます。

騒音問題は地域の規制と個別事情を理解し、冷静な対応が大切

フェスやイベントの騒音は特別な法律があるわけではなく、一般的な騒音規制が適用されます。

住民が不快に感じても、それが法的に違法と認められるためには、音の大きさだけでなく様々な事情が考慮されます。違法と判断されれば損害賠償や開催差し止めも可能ですが、開催前の法的対抗は簡単ではありません。

主催者は地域の規制を守り、周囲の環境を踏まえた音響対策を講じることが求められます。騒音問題に直面した際は、まずは開催地の規制内容を確認し、冷静に状況を見極めることが重要です。


監修者:正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) アディーレ法律事務所名古屋支店

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正木裕美 弁護士(愛知県弁護士会所属) アディーレ法律事務所名古屋支店

一児のシングルマザーとしての経験を活かし、不倫問題やDV、離婚などの男女問題に精通。TVでのコメンテーターや法律解説などのメディア出演歴も豊富。コメンテーターとして、難しい法律もわかりやすく、的確に解説することに定評がある。
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