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20年前、クールなイメージを脱却して見せた素顔 “エロかっこいい”を脱いだワケ

  • 2025.12.8
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2007年、「第18回日本ジュエリーベストドレッサー賞」表彰式に出席した倖田來未(C)SANKEI

「20年前、冬の街で流れていた“あの軽やかさ”を覚えてる?」

年末のイルミネーションが輝きを増し、街を急ぐ人の吐く息が白くほどけていった2005年。音楽シーンには、毎週新しい話題が投下されるような高揚感があった。そんな空気の真ん中で、ひときわ強くきらめいたのが、この曲だった。

倖田來未『Birthday Eve』(作詞:Kumi Koda・作曲:Kosuke Morimoto)――2005年12月14日発売

当時の彼女は、12週連続でシングルをリリースするという前代未聞の大型プロジェクトに挑んでいた真っ最中。その第2弾として放たれた本作は、季節の寒さを忘れさせるようなポップな空気をまとい、冬の空気を軽やかに変えていった。

ときめきを運んだ“軽快なウィンターソング”

『Birthday Eve』は、倖田來未の中でも珍しい“無邪気なきらめき”を前面に出したポップソングだ。誕生日を迎える前夜のわくわく感を切り取ったような世界観で、聴く側の心を自然に弾ませる軽やかさがある

メロディは明るく跳ね、サウンドは華やかな冬の街をそのまま写し取ったかのようだ。彼女のクールなイメージだけでなく、チャーミングな一面を引き出す構成になっているのも印象的で、この時期の多彩な活動を象徴する1曲でもあった。

“12週連続”の中で光った、素直なかわいらしさ

2005年の倖田來未といえば、アーティストとしてもエンターテイナーとしても勢いが最高潮に達していた時期。12週連続シングル企画は、毎週のように話題を独占し、音楽シーンに新しい“楽しみ方”をもたらした。

その中で『Birthday Eve』は、“肩の力を抜いたポップさ”が際立つ存在だった。聴けばすぐに気分が明るくなる、そんな魔法のような即効性があり、冬の空気にやさしく馴染む。企画全体の流れの中でも、この曲がもつ“温度”は特別だった。

制作陣がつくり上げた“冬の彩り”

作曲は森元康介。透明感のなかに温度を持たせるポップメロディが得意で、本作にもその美点が存分に表れている。倖田來未自身が手がけた歌詞も、難しいことを語らずに、気持ちが高まっていく瞬間をすくい取っているのが心地いい。

渡辺徹による華やかなアレンジに包まれながらも、どこか“日常の延長線上”にあるような温かさが残るのは、このメンバーならではだろう。

冬の記憶にそっと残る“前夜の輝き”

クリスマスソングでもラブバラードでもない。それなのに、冬になるとふと聴きたくなる理由は、この曲が“特別な日の前夜”という普遍的なテーマをポップに描いているからかもしれない。

明日がちょっと楽しみになる。それだけで季節の色が変わる。『Birthday Eve』は、その小さなときめきを鮮やかに閉じ込めた一曲だ。

きらめく冬の街にそっと似合う、20年前の“前夜の物語”。今聴いても、その軽やかさは変わらず胸の奥を明るく灯してくれる。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。