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「サカナクション」山口一郎が直面した「うつ病の揺り戻し」とは?回復の“3つの時期”と再発させない注意点

  • 2025.11.3

「うつ病」が回復するまでの流れ

山口一郎さん(2019年08月05日撮影、時事通信フォト)
山口一郎さん(2019年08月05日撮影、時事通信フォト)

ロックバンド「サカナクション」のボーカル山口一郎さんが8月19日、自身のインスタグラムを更新。「忘れてた終わりだと思ってた鬱の影は大きな楕円を描き、揺り戻ってきた」と体調の変化を告白しました。“うつ病は、誰がいつなってもおかしくない病気”という認識が広まっており、自ら公表する芸能人も増えています。山口さんも、昨年1月のソロステージでうつ病を公表し、治療を続けながら音楽活動を行ってきました。うつ病を発症すると、どのようなプロセスを経て回復していくのでしょうか。本記事では、発症から回復までの流れや回復に向けて注意すべき点を、公認心理師の筆者が解説します。

うつ病は、治療を始めてもすぐに治るものではありません。回復に月・年単位の時間がかかるのが一般的で、良くなったり悪くなったりという小さな波を繰り返しながら、少しずつ回復していきます。回復過程は、「急性期」「回復期」「再発予防期」という3つの期間に分けられます。

【急性期】うつ病の症状が強く出る時期です。目安としては、診断から1~3カ月ほど続きますが、人によっては半年以上かかるケースもあります。この時期は休養が何よりも大切なため、薬を飲み“休むのが仕事”と割り切って十分に休むことが重要です。仕事がストレスになっている場合は、主治医の指示のもと、職場から離れて休職するケースもあります。薬物療法は、少量から開始して、様子を見ながら必要な量まで徐々に増量していきます。効果が出るまでには時間がかかりますが、主治医の指示に従って服薬を続けるのが大切です。

【回復期】急性期の激しい症状が落ち着き、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に回復していく時期です。目安の期間は4~6カ月ほどですが、回復状況によって長引くケースもあります。この時期は、薬物療法を続けながら、必要に応じて精神療法(カウンセリング)を行い、症状の改善を目指していきます。また、生活リズムを整え、健康的な生活習慣を意識するのも重要です。起床・就寝の時間を一定にし、朝起きたら日光を浴びると、1日のリズムが整いやすくなります。無理のない範囲で、軽い運動や栄養バランスの整った食事を取り入れるのも効果的です。薬物療法や精神療法、生活習慣の改善で症状が出なくなり、以前のような元気を取り戻すと、寛解の状態を迎えます。

【再発予防期】うつ病から回復し、症状が落ち着いている時期です。ただし、体調が安定して社会復帰を果たしてからも油断はできません。うつ病は再発しやすいため、寛解後も1~2年は薬物療法で体調のいい状態を維持することが求められます。また、回復期に引き続き、健康的な生活習慣の維持も不可欠です。

うつ病から回復するには、以下の2点に気をつける必要があります。

(1)症状が良くなってもすぐに薬をやめない うつ病の症状が改善されても、すぐに薬をやめるのは危険です。寛解後や再発予防期は、「もう薬がなくても大丈夫」と思ったり、飲み忘れたりして服薬しなくなる人が珍しくありません。しかし調子の良い日が続いたからといって自己判断で薬をやめると、症状が悪化・再発して、回復にますます時間がかかってしまう恐れがあります。薬を減らすタイミングは、主治医と相談しながら慎重に決める必要があります。長期服薬の影響を不安に思うかもしれませんが、症状の悪化や再発を防ぐには、あせらず薬物治療を続けるのが肝心です。

(2)復職を急がない 休職した場合は、復職を急がないことも重要です。職場を離れて休養し、家でゆっくり過ごせるようになると「早く復帰したい」と思うかもしれません。しかし、うつ病の再発率は60%、再発を繰り返すと再発率がさらに高くなるといわれており、あせって復職すると症状が悪化して再休職につながる恐れもあります。症状が落ち着いたら、まず散歩をしたり図書館に行ったりするなどして、日中の活動量を無理なく増やしながら、生活リズムを整えることが大切です。また、医療機関や障害者職業センターが運営する「リワークプログラム」を利用すると、職場に近い環境で復帰に向けたウォーミングアップが受けられます。復職後もいきなり休職前と同じように働くのではなく、短時間勤務や出張・残業制限などの配慮が得られると、再発予防につながります。悪化や再発を防ぎながら働くためにも、主治医や職場と話し合いが必須です。

【まとめ】うつ病は、いつも右肩上がりに回復するものではありません。山口さんのように、調子が良い日が続いていたにもかかわらず突然、揺り戻しが起こるケースもあります。しかし、うつ病は適切な治療を根気よく続ければ、良くなったり悪くなったりを繰り返しながらも少しずつ回復します。早期の治療開始が早い回復につながるため、気分の落ち込みや意欲の低下などの不調が2週間ほぼ毎日続いたら、早めに医療機関に相談しましょう。

(やっちゃそ)

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