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再現の難しい高地環境を部屋に!LED栽培の愉しみかた 〜高地性植物編〜

  • 2025.11.3
再現の難しい高地環境を部屋に!LED栽培の愉しみかた 〜高地性植物編〜

明るくて、涼しくて、ジメジメな再現の難しい高地環境を部屋に作る

一部のジャングルプランツ愛好家の間で「宝箱」と呼ばれ、究極の栽培環境といわれるシステムがあった。それがこの「かれっくす式高地性植物栽培ケース」だ。名古屋のペットショップに勤務するかれっくすさんが開発したもので、照度はそれなりにありながら、中は常時20℃前後と涼しく、湿度も一定、それがほぼ自動で保たれるという。ケース内部の温度や湿度は常にスマホで確認できるという、至れり尽くせりのシステムだ。

「もともとは20年前に、高地性の小型着生蘭であるレパンテスを綺麗に育てたい、と思って作り出したシステムなんです。中の温度を下げるのも、普通にクーラーを使って下げると乾燥してしまう。そのため、クーラーで冷やした水をケース内に循環させる水冷式にしています。冷水を回すだけだと中の湿度が上がりすぎてカビが発生してしまうので、循環する水の流れの上を防水シートで囲って冷水からの湿度を抑え、内部の湿度はタイマー付きのミスト装置で管理しています。

防水ファンも組み込んであるので、風も回っています。ケース自体は、熱帯魚用の水槽に発泡スチロールの板を張り込んで断熱。水槽と発泡スチロールの間に隙間ができないようビッチリとパテで埋めないと、結露が滝のように流れてくるので要注意です」

その結果、勝手に自家受粉したレパンテスの実生株(みしょうかぶ)があちこちから生えてきたりするくらい良好な環境を作り出すことができたそう。このシステムは植物探検家の長谷圭祐さんの自宅に移設され、今後は長谷さんの採集してきた高地性植物たちを育むことになった。

かれっくす式高地性植物栽培ケース
ライトは電球型をチョイスすることで発光部のみを中に、発熱部はケース外にできる。内部の銀色のシートの外側には冷水が流れている。灌水はミスト装置で行う。中には長谷さんが今後このシステムで管理する植物がぎっしり。
タイマー類
ケース上部にはさまざまなタイマー類がズラリ。これで照明やクーラー、ミスト装置のオンオフを管理する。
ディスコカリクス ディスセクタ
西パプアの標高2,000m付近で採集されたマンリョウの仲間。生長が非常に遅く、採集から5年が経過してもいまだ一進一退。このシステムで大きく育ちそう。
セリグエア ヘルウィギー
パプアニューギニアの高地雲霧林に分布する小型のシダ植物。冬の間に生長しても、夏になると葉を落としてしまう典型的なクール系である。
アスプレニウム不明種
おそらくエクアドル高地産の繊細なアスプレニウム。蘭展などでしばしば見かけるようになったが、夏場にしっかり冷やしてやらないと調子を崩すことが多い。
フペルジア不明種
パプアニューギニア高地の小型フペルジア。冷涼で湿度の高い風が必要という非常に厄介な性質のため、このシステムはうってつけだ。

用途別LEDライトカタログ!

E26口金が使えるソケットに取り付ける電球タイプのライト。集光レンズによりスポットで光を当てることができ、強い光を好む植物に向く。1鉢または少数の鉢を照らすのに向くが、最近は、配光を広角にすることで直下照度は弱まるものの広い範囲を照らせるタイプも出てきた。

フルスペクトルライト「CERAPHIC電球」
太陽光に限りなく近いフルスペクトルライト「CERAPHIC電球」。E26口金のさまざまな灯具に合わせやすい。
高光量の大型電球「CERAPHIC いきもの育成ライト」
高光量の大型電球「CERAPHIC いきもの育成ライト」。スポットと広角の2タイプあり。各17,600円(共にCERAPHICお問合せ窓口 info_ceraphic_sh@kyocera.jp)

パネルタイプ

パネルに無数のLED素子が取り付けられた、広範囲を照らすタイプのライト。管理する鉢数が増えた際、1つのライトで複数の植物をまとめて照らすことができるので便利で、メタルラックに載せたり、ワイヤーで天井から吊して使う。電球タイプより光量がやや劣るものの、最近はパネルタイプでも十分に光量があり、さまざまな植物に対応できる。光量調整機能も付いており、植物に応じて光量を調整できる。

紫外線も出る高性能パネルライト
紫外線も出る高性能パネルライト。GL-BOARD6400 EVO 13,670円(HaruDesign harudesign.shop)

小型タイプ

小型のガラスケースや鉢などを個別に照らすためのライト。1つの鉢やケースに1つのライトを使う。インテリアのアクセントとしてLEDライトによるインドアグリーンの栽培を取り入れる際などに使いやすい。

マグネットでメタルラックに貼り付けられる小型ライト、マグネットライトGスリム
マグネットでメタルラックに貼り付けられる小型ライト、マグネットライトGスリム8,250円(アクアデザインアマノ サービスセンター support@adana.co.jp)

スマートタップ

LEDライト栽培で困るのが、旅行や出張などの際に、ライトのオンオフができないこと。そんな時スマートタップが便利。アプリでライトの電源のオンオフ時間を自由に設定でき、曜日ごとの照射時間も設定できる。

専用アプリを使って、スマホから細かなタイマー設定が可能なスマートWi-Fi電源タップ、Tapo P300
専用アプリを使って、スマホから細かなタイマー設定が可能なスマートWi-Fi電源タップ、Tapo P300 5,390円(ティーピーリンクジャパン tp-link.com/jp/)

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かれっくす

かれっくす(ペットショップ勤務)

水草をはじめとした植物全般に精通し、特にこの高地性植物栽培ケースは、SNSなどで大いに注目を浴びた。レパンテス栽培卒業を機に、長谷さんの自宅栽培場にシステムを移設した。Xでも情報発信を積極的に行っている。
X:@Carex_minima

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