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「民藝」「北斎」「アールデコ」...注目展覧会がめじろ押し!50代の知的好奇心をくすぐるアート展3選

  • 2025.11.4

1925年に生まれた「民藝」という新しい美の概念。
日用品に価値を見出すその思想は暮らしを変革し、やがて世界へと広がります。貴重な蒐集品を通じて、日常に潜む美しさを見つめ直します。

「民衆的工芸=民藝」その思想の原点と広がりを辿る

1925(大正14)年に生まれた「民衆的工芸=民藝」という言葉は、京都に転居してきた思想家の柳宗悦、陶芸家の濱田庄司、河井寬次郎の出会いから生まれました。
このたび、民藝誕生100年を記念し、その思想の原点と広がりをたどる展覧会を開催します。

柳らは、それまで誰も関心を注ぐことのなかった、無名の工人が作った雑器の美に新たな価値を見出しました。
この「民藝」の歩みは、明治末から大正、昭和と近代化が推し進められる時代に重なり、衣食住の概念を変革させ、その活動は京都から日本、そして世界に向けて広がっていきます。

本展では、まず「民藝」誕生のきっかけとなった木喰仏をはじめ、京都で新たに民藝を生み出そうとした青田五良や黒田辰秋による上加茂民藝協団の作品を紹介します。

その後、京都の朝市を起点に、柳宗悦らにより日本全国から集められた蒐集品の数々、民藝運動を推進した個人作家、河井寬次郎、濱田庄司、バーナード・リーチ、棟方志功、芹
沢銈介らの優品を展示します。

また英文学者の寿岳文章が手掛けた書物の美、京菓子の鍵善良房、牛肉水炊きの祇園十二段家、民藝の建築を推し進めた上田恒次など、京都における民藝運動の推進者や支援者をめぐる作品や資料もあわせて展示し、京都という土地が民藝の歩みに深く関わってきた事例を振り返ります。

「民藝」の思想は、現在も私たちの生活に息づいています。「民藝」の、ものの美しさを見出す視点にならって、日々の何気ない暮らしに豊かさを見出すきっかけになれば幸いです。

トップ掲載写真:旧上田恒次家住宅(撮影:原田祐馬)

教えてくれたのは・・・
京都市京セラ美術館
学芸係長
後藤結美子さん
京都の近現代美術・西洋美術を担当。近年ではリニューアル記念展であった『京都の美術250年の夢』(2020)や『綺羅めく京の明治美術』(2022)、『竹内栖鳳展』(2023)、『奥村厚一展』(2024)などを企画担当。学芸係長

特別展『民藝誕生100 年 —京都が紡いだ日常の美』

場所:京都市京セラ美術館(京都府)本館 南回廊1階
開催:開催中~12月7日(日)
開館 :10:00~18:00(入場は閉場30分前まで)
閉館 :月曜日(祝日の場合は開館)
075-771-4334

こちらの展覧会にも注目!

編集部がおすすめする注目の展覧会をピックアップ。

『HOKUSAI -ぜんぶ、北斎のしわざでした。展』

生涯で3万点以上の作品を生み出し、93回の転居や30以上の画号を使い分けるなど、型破りな生き方でも知られる葛飾北斎。
本展では「集中線」「ギャグ描写」など、北斎の表現が現代のマンガ・アニメに与えた影響に着目し、『北斎漫画』をはじめとする300点以上の作品を展示。
北斎の独創性と斬新さにあらためて驚かされそうです。

開催中~11月30日(日)
CREATIVE MUSEUM TOKYO(東京都)

『新時代のヴィーナス! アール・デコ100年展』

今から100年前の1925年、フランス・パリでは「アール・デコ」という装飾様式の語源となった現代産業装飾芸術国際博覧会が開催されました。
本展では「アール・デコと女性」をテーマに、ポスターやジュエリー、香水瓶、ドレス、車などを展示。
アールデコ様式の多面性を示すとともに、当時の“新しい女性像”との関連性を紐解きます。

10月4日(土)~2026年1月4日(日)
大阪中之島美術館 5階展示室(大阪府)


文/工藤花衣
 
大人のおしゃれ手帖2025年10月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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大人のおしゃれ手帖編集部

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