エルメス財団が金属の美と技を探る。書籍刊行＆銀座メゾンエルメスで展覧会『メタル』開催

エルメス財団が、岩波書店より書籍『Savoir & Faire 金属』を刊行した。本書は、自然素材を巡る職人技術や手わざの再考・継承・拡張を試みるプログラム スキル・アカデミーの一環であり、『木』（2021年）、『土』（2023年）に続く第3弾となる。内容は、仏語版『Savoir & Faire le métal』（2018年、アクト・スッド社とエルメス財団の共同編集）から精選したエッセイやインタビューの邦訳を中心に、日本語版オリジナルとして専門家やアーティストによる論考、インタビュー、ポートフォリオなどを編纂したものである。

刊行を記念し、東京・銀座メゾンエルメス ル・フォーラムでは、金属の属性を考察する展覧会『メタル』が開催される。金、銀、鉄、鉛、真鍮など、青銅器時代から現代に至るまで人類の文明とともに歩んできた金属は、原材料となる鉱物の多様性や加工技術の発展といった独自の特性を有している。スキル・アカデミーのフランスにおける監修者である社会学者・歴史家ユーグ・ジャケは、書籍のなかで金属の特徴を「両義性」と呼んでいる。素材に備わるこの物理的な性質は、文化的な側面においてどのような意味を持つのだろうか。

展覧会『メタル』では、この両義性を音楽・映像・造形の観点から3人のアーティストが読み解き、再考する。 メタル音楽を記号論的に解釈するエロディ・ルスール、日本古来の朱と水銀を媒介に内的宇宙と外的象徴を描き出す映画監督・遠藤麻衣子、そして、鉄球としての地球に人間活動を重ね合わせ、廃材を用いた作品を制作する榎忠だ。

金属が歴史のなかで形成してきた多面的な属性にアプローチする本展と書籍は、多くの人々の知的好奇心を刺激するに違いない。

「メタル」展 榎忠、遠藤麻衣子、エロディ・ルスール

会期／〜2026年1月31 日（土）

会場／銀座メゾンエルメス ル・フォーラム8・9階 東京都中央区銀座5-4-1

開館時間／11:00～19:00（入場は18:30まで）

・休館日：水曜日

※開館日と開館時間についての最新の情報はウェブサイトをご確認ください。

入場／無料

TEL／03-3569-3300

URL／https://www.hermes.com/jp/ja/content/maison-ginza/forum/251030/

Text: Ai Yano

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