1. トップ
  2. 「生きてる間に観られるとは…」“30年ぶりの再放送”が熱狂生んだ…「NHKの最高峰ドラマ」語り継がれる至高作

「生きてる間に観られるとは…」“30年ぶりの再放送”が熱狂生んだ…「NHKの最高峰ドラマ」語り継がれる至高作

  • 2025.12.3

しばらくその世界から抜け出せなくなるようなドラマがあります。それは単なる娯楽を超えて、私たちの「当たり前」を問い直すきっかけをくれる作品たちです。今回は、派手な演出ではなく、物語そのものの強さで圧倒する傑作をセレクトしました。

本記事では、第5弾として、NHKドラマ『エトロフ遥かなり』をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

undefined
女優・沢口靖子 新・ゴジラ像除幕式に出席(C)SANKEI
  • 作品名:エトロフ遥かなり(NHK)
  • 放送期間:1993年8月8日〜1993年8月11日(初回放送時)
  • 出演者:沢口靖子、永澤俊矢、阿部寛他

昭和16年、日米開戦前夜。ロシア人の父を持つゆき(沢口靖子)は、島を訪れた日系二世の男・賢一郎(永澤俊矢)と運命的な恋に落ちる。しかし彼の正体は、米海軍により日本へ送り込まれたスパイだったのです。二人は惹かれ合い恋に落ちますが、賢一郎は日本海軍の動向を探り、真珠湾攻撃の機密情報を米国へ伝えなければなりません。愛と任務の狭間で揺れる彼の心に、憲兵の影が迫りますーー。

NHKドラマを支えた沢口靖子の存在感

NHKドラマ『エトロフ遥かなり』は、放送当時大きな話題を呼び、称賛が殺到した歴史サスペンスです。

佐々木譲氏による小説『エトロフ発緊急電』(新潮文庫)を原作としたドラマ化作品で、原作小説は山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞しています。

華々しい功績を残した小説に劣らず、ドラマ作品の放送にも称賛が殺到。今でも再放送を願う声がやまず、NHK作品の中でも記憶に残る力作として語り継がれています。

最大の見どころは、主演・沢口靖子さんの快演にあります。ロシア人を父に持つ娘・ゆきという難しい役柄を、繊細さと力強さを兼ね備えた表現で演じ切り、視聴者の心を深く揺さぶりました。彼女の眼差しや沈黙の間に込められた感情は、戦争に翻弄される女性の苦悩を鮮烈に伝えています。さらに、永澤俊矢さん演じる日系二世のスパイとの緊迫した関係性は、愛と任務の狭間で揺れる人間の葛藤をリアルに描き出しました。

戦争と愛の狭間を描く――NHKドラマ史に残る『エトロフ遥かなり』

NHKならではの重厚な映像美、緻密な時代考証をもって圧倒的スケールで描かれたドラマ『エトロフ遥かなり』。SNS上では当時を知る人からは「NHKの最高峰ドラマだったと思う」「原作が素晴らしいからこそ映像化の力が際立った」といった評価が未だ続き、作品の重厚さを改めて語る投稿も多く見られます。

そして、なんと2023年10月、30年ぶりにNHK BSプレミアム/BS4Kにて再放送されたのです。今回の再放送で初めて作品にふれる視聴者は「すごいな…見入ってしまう」とクオリティーに驚きを隠せない様子でした。

また、当時を知る視聴者からは「生きてる間に観られるとは…」と歓喜の声も寄せられたほか、「沢口靖子さんの存在感がすごい」「誰かと思ったら若い頃の阿部寛だ!」など、出演者への意見も寄せられていました。

世代や状況を超えて共感を呼び、放送から年月を経てもなお人々の心を揺さぶるのは、このドラマが持つ普遍的な力ゆえでしょう。沢口靖子さんの快演をはじめ、キャスト陣の熱演とNHKならではの映像美が融合した『エトロフ遥かなり』は、まさに称賛に値する歴史サスペンスの傑作です。


※記事は執筆時点の情報です