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「あまりにも生々しい」「リアルに叫んだ…」“凄まじい完成度”に絶句…「自己責任で観てください」覚悟して観たい名映画

  • 2025.11.29

ドラマや映画には、人生のどこかで、ふと背中を押されたように感じる作品があります。価値観が揺れたり、世界の見え方が変わったり、知らなかった“感情の層”に触れてしまうような作品たち。そんな「人生を変える名作」5選の中で、今回は少し異色の一本を紹介します。

第4弾として紹介するのは、ただ“怖い”のではなく、観る人の思考と感覚の奥底に静かに入り込み、気づけば日常の影まで違って見えてしまう――そんな独特の余韻を残す和ホラー映画『残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋』(松竹)です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

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主演映画の初日舞台あいさつに出席した橋本愛(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋』(松竹)
  • 公開日:2016年1月30日
  • 出演者:竹内結子、橋本愛、坂口健太郎、滝藤賢一、佐々木蔵之介 ほか

小説家の「私」(故・竹内結子さん)のもとに届いた一通の手紙。それは、読者の久保という女性(橋本愛)からで、「今住んでいる部屋で、奇妙な“音”がするんです」という相談だった。調査を始めた二人は、部屋の過去を辿るうちに衝撃の事実へたどり着く――その部屋に住んだ人々は皆、引っ越し先の“別の土地”で、自殺・心中・殺人など、不可解な事件に遭遇していたのだ。

なぜ音のする“部屋”ではなく、別々の場所で不幸な末路を辿ったのか。浮かび上がるのは、数十年の時を超えて連鎖する“見えない何か”。

作家・平岡(佐々木蔵之介)、心霊マニアの三澤(坂口健太郎)、「私」の夫・直人(滝藤賢一)の協力を得ながら辿り着く真相は、物語の序章に過ぎなかった――。

すべてを結ぶ【穢れ】とは何か。真実の先にある、予定調和を許さない恐怖が静かに迫ってくる。

「あまりにも生々しい」生々しい恐怖に襲われる

今作は、その「音」は、どこから来るのか。その「場所」には、何があったのか――。 日本のホラー界を牽引する豪華スタッフが集結し、日常に潜む底知れぬ恐怖を描き出した本作。その盤石の制作布陣をご紹介します。

本作の原作は、数々の傑作を世に送り出してきた作家・小野不由美さんによる小説『残穢』(新潮文庫刊)です。 第26回山本周五郎賞を受賞したこの長編小説は、ドキュメンタリーの手法を用いたリアリティ溢れる筆致で「家」と「土地」に憑いた穢れ(けがれ)の連鎖を掘り下げ、読者を震撼させました。

映像化に挑んだのは、実力派の二人です。 監督を務めるのは、サスペンスからコメディまで幅広く手掛け、ホラー演出にも定評のある中村義洋さん。そして脚本は、Jホラーの黎明期から活躍する鈴木謙一さんが担当しています。

中村義洋さんと鈴木謙一さんといえば、かつて『ほんとにあった!呪いのビデオ』シリーズなどでタッグを組んだ、いわばホラーを知り尽くした盟友同士。この二人が再び手を組み、小野不由美さんが描いた「逃げ場のない恐怖」を、じわりと足元から這い上がるような映像世界へと昇華させました。

この映画をみた方が寄せるSNSでは「あまりにも生々しい」「リアルに叫んだ…」「自己責任で観てください」といった声が並びました。本作が描き出しているのは、派手なジャンプスケアではなく“音・気配・空気”で恐怖を積み上げていく恐怖。だからこそ、観客の想像力が刺激され、生々しい恐怖へ変換されてしまうのでしょう。

日常の中の“聞こえるはずのない音”が、どこかで繰り返し再生されるような感覚。派手さよりも、現実の地続きにあるような不気味さ。見えない存在がじわりと近づいてくる感触。伏線の回収も緻密で、恐怖が“論理として積み上がる”構造はジャパニー・ホラーならでは。竹内結子さんの静かな緊張、橋本愛さんの息遣いの怖さが加わり、観客の恐怖が倍増するという声も多く見られました。

橋本愛さんが体現した“静かに沈む怖れ”

じわじわと迫りくる恐怖を描ききった本作。演出はもちろん、キャスト陣の鬼気迫る演技も、重要なエッセンスとして機能しました。中でも、橋本愛さんが演じた久保という女性は、いわば“観客の代弁者”。彼女の存在そのものが作品の“底の深さ”を形づくり、静かで重い恐怖をスクリーンに留める役割を果たしました。橋本愛さんは“怖がり係”として、表情の揺らぎのひとつひとつが観客の緊張を代弁し、物語全体の不穏な空気を見事に支えています。

SNSでも橋本さんの演技について、「ホラー女優向き」「ホラー系ミステリ系が合う」「演技力すごい」と、好評を集めていました。

映画『残穢』は、どこにでもありそうな部屋、普通の生活や小さな違和感を通して、私たちのすぐ隣にある恐怖を形にしたホラー映画です。ただ怖いだけではなく、「なぜこんなに不安になるのか」「この感覚はどこから来るのか」と考えさせられる“知性のある恐怖”が作品を支えています。竹内結子さんの静かな緊張感、橋本愛さんの沈み込むような演技が、不穏な世界観をより濃く、美しく仕上げています。観終わったあとも、しばらく“あの音”が耳の奥に残る。そんな、人の心の奥を揺らす名作です。ぜひご覧ください。


※記事は執筆時点の情報です