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「かなりキツい」「エグられる…」“生々しさを描き切った”名映画…「全人類観るべき」大絶賛の至高作

  • 2025.11.28

人生を見つめ直すきっかけになる映画やドラマは、必ずしも大きな希望や明るい感動だけを描く作品ではありません。むしろ、“孤独”“生きづらさ”“わかり合えなさ”と真っ向から向き合った作品こそ、心の深いところに届き、人生の見え方さえ変えてくれます。
そんな今回は、「人生を変える名作」5選をセレクト。第2弾として映画『正欲』(ビターズ・エンド)をご紹介します。誰もが生きづらさを抱えるいまだからこそ観てほしい、静かで痛烈な一作です。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

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映画「正欲」舞台あいさつに登壇した新垣結衣(C)SANKEI

・作品名(配給):映画『正欲』(ビターズ・エンド)
・公開日:2023年11月10日

横浜で暮らす検事・寺井啓喜(稲垣吾郎)は、不登校の息子への向き合い方を巡って妻と衝突を繰り返し、家庭のバランスを失いかけていた。一方、広島のショッピングモールで働く桐生夏月(新垣結衣)は、変化のない日々に停滞を感じながら暮らしていた。そんな中、夏月は中学時代の同級生・佐々木佳道(磯村勇斗)が地元に戻ってきたことを知る。大学では、準ミスターにも選ばれる存在感を持つ諸橋大也(佐藤寛太)が注目を集め、その出演を計画する神戸八重子(東野絢香)とも、やがて物語の線がつながっていく。

家庭環境、性的指向、孤独、容姿。まったく異なる背景を持つ5人の人生は、ゆっくりと、しかし確実に交差していく。理解できないかもしれない。受け止めきれないかもしれない。それでも、つながれない苦しさと、つながりたいと願う切実さが、観る者の胸に深い痛みを残していく。観終わった後、もう観る前の自分には戻れない。そんな余韻を運んでくる一作です。

映画『正欲』が観客に残した衝撃

映画『正欲』を観た方々が寄せるSNSのコメントでは、「生々しい」「かなりキツい」「エグられる…」と作品内の“攻めた描写”は情報ではなく、視覚的な実感として迫り、観客に強烈な息苦しさをもたらしたようです。それだけテーマが深く鋭いということでもありますが、重さだけで押し込む映画でもありません。絶望の中にも人間らしい可笑しさがあり、その揺れ幅が作品のリアルさをより引き立てています。映画『正欲』は、好き・嫌いでは語れない、“体験としての衝撃”を残す映画でした。

新垣結衣さんが体現した“静かな痛み”としての夏月

桐生夏月という人物は、声を荒げることもなく、言葉より沈黙の温度で“生きづらさ”を抱える女性です。その難しい役を、新垣結衣さんは驚くほど繊細に演じ、それが夏月の静かな存在感につながっています。静かな役だからこそ、感情の揺れ方ひとつで作品全体の温度が変わる。新垣さんはその繊細なバランスの中心に立ち、夏月の痛みと静けさを丁寧に積み重ねていました。

映画『正欲』は、理解しやすい作品ではありません。登場人物の苦しみも生き方も、観客に優しく説明されることはありません。それでも、“つながれない痛み”“つながりたいと願う切実さ”という、私たちが生きるうえで避けられない感情が確かに描かれています。観る前の自分には戻れないほどの余韻を残す作品。だからこそ映画『正欲』は“人生を変える名作”として、この時代に必要とされているのだと思います。「全人類観るべき」と称される映画『正欲』ぜひご覧ください!


※記事は執筆時点の情報です。