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原作者が45歳で始めた“不妊治療の道のり”→実写化映画に「女性だけの問題じゃない」「多くの人に観てほしい」相次いだ絶賛の声

  • 2025.11.22

心に響く作品は必ずしも視聴率だけで測れるものではありません。俳優たちの熱演、丁寧に描かれる人間ドラマ、そして音楽を通じて紡がれる感動のストーリー。今回は、そんな「キャストの快演が光る名作」5選をセレクト。

本記事では、第3弾として2019年公開の映画『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』をご紹介します。

※本記事は、筆者個人の感想をもとに作品選定・制作された記事です。
※一部、ストーリーや役柄に関するネタバレを含みます。

あらすじ

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美容家電ブランド「KINUJO」のブランドアンバサダー就任&TVCMお披露目発表会に登場した北川景子(C)SANKEI
  • 作品名(配給):映画『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』(東急レクリエーション)
  • 公開日:2019年10月4日

49歳の人気作家・ヒキタクニオ(松重豊)は、一回り以上年の離れた妻・サチ(北川景子)と仲睦まじく暮らしています。サウナとビールが大好きで、ジム通いのおかげで健康には自信があるヒキタさん。夫婦で子どもは作らずに二人だけで生きていくと決めていた矢先、ある日サチさんから「ヒキタさんの子どもに会いたい」という言葉をかけられます。その一言をきっかけに妊活を始めますが、クリニックで衝撃の事実を告げられます。「精子の運動率は20%。8割が動いていません」。不妊の原因が自分にあったことを知ったヒキタさんは、妻と二人三脚で長い不妊治療の道を歩み始めます。

実体験が生んだリアルなドキュメンタリー

本作の原作は、作家・ヒキタクニオさん自身が体験した不妊治療を綴ったエッセイ『「ヒキタさん!ご懐妊ですよ」男45歳・不妊治療はじめました』です。45歳で不妊治療を始め、35歳の妻と共に歩んだ長い道のりが、笑いと涙を交えて描かれています。

SNS上では「不妊は女性だけの問題じゃない」「多くの人に観てほしい」という声が寄せられています。男性不妊という、これまであまり語られてこなかったテーマを正面から描いた本作は、当事者の実体験だからこそのリアリティと説得力を持っています。原作者自らが体験した精子検査、タイミング法、人工授精など、具体的な治療過程が丁寧に描かれており、不妊治療についての理解を深める作品となっています。

現実の辛さが描き切れていないという指摘も

一方で、実際の不妊治療の厳しさが十分に表現されていないという意見も存在します。SNS上では「不妊治療をよく知らない人は勉強になりそう」「辛さは全く描いていない」という声がありました。

確かに本作では、ヒキタさん夫婦が協力的で理解し合える関係性として描かれており、現実の不妊治療で多くのカップルが直面する夫婦間の温度差や、仕事との両立の困難さといった側面は控えめです。原作者の実体験がベースとはいえ、映画としてのエンターテインメント性を保つために、辛い部分が美化されているのではないかという指摘は理解できます。それでも、男性不妊という視点から不妊治療を描いた作品として、多くの人に問題提起をした意義は大きいでしょう。

北川景子さんの繊細な演技が光る

本作で妻・サチさん役を演じた北川景子さんの演技は、多くの視聴者から高い評価を受けています。普段はキャラクターの濃い役柄を演じることが多い北川さんですが、本作では等身大の女性を自然体で演じきりました。北川さんの繊細な表情や仕草が、不妊治療に向き合う妻の複雑な心情を見事に表現していました。

多くの人に問題提起をした名作

映画『ヒキタさん!ご懐妊ですよ』は、男性不妊という難しいテーマを、松重豊さんと北川景子さんの快演によって温かく描いた作品です。原作者の実体験に基づくリアリティがありながら、美化されている部分があるという指摘もあります。

しかし、これまであまり語られてこなかった男性側の視点から不妊治療を描き、多くの人に問題提起をした意義は大きいでしょう。特に北川景子さんの自然体の演技は、作品に深みを与え、夫婦の絆の強さを際立たせています。


※執筆時点の情報です